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聞きたい
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「来…夢?大丈夫なのか?」
「先輩…!」
来夢は部屋に飛び込んで来て俺を抱き締めた。
「来夢?」
「俺…先輩が俺の事を本当に大切に思ってくれてて嬉しいです。先輩の口からあんなに強い言葉が聞けた時は本当に…飛び上がりそうな程に嬉しかった」
「若しかして…さっきの聞いてたのか?」
来夢はこくりと頷いた。此奴聞いてたんだ。俺が轟と話してる内容を聞いてたんだ。そう思うと今更だけど恥ずかしい。心奪うから、とか守るから、とか色々と言ってしまった。あぁ、穴があったら入りたい。
「先輩は色んな覚悟をしてああいう風に言ってくれたんですよね。でも俺絶対に先輩以外の人なんて好きになりません。とっくに俺の心は先輩に奪われてますよ」
そう言うと来夢はにっこりと笑う。でも俺は其の言葉にほっとした。内心不安だった。轟が真っ向から勝負に掛かってきた時、若し来夢が心変わりしてしまったら如何しようかと。
「……俺…さっきなあんな風に大口叩いてたけど本当は不安だった。轟はお前の事は本気で好きみたいだし…捻くれてる奴だけど。それに轟と来夢の関係はきっと俺よりも長くて深いものだっただろうから。轟よりもまだ俺は来夢の事を知らないかもしれない。でもそれでも俺は…好きだから。彼奴に負けないくらい」
自分から好きと言ったのは何回目だろうか。俺からは滅多に言わないからちょっと擽ったい感じ。
「昔の事なんて関係ないんです。付き合ってきた長さとか深さとかそんなの関係ありません。どれだけ相手を想い愛せるかが重要なんです。其の時だけじゃなくてこれからもずっと。俺だってまだ先輩の事を知りきれてないです。きっと先輩の友達よりも知らない事が多い筈です。でも俺だって誰にも負けないくらいに先輩が大好きです」
来夢の目はいつも真っ直ぐで輝いている。何の迷いも見せない。
守るとか言ったけど力とかでは敵わないかもしれない。でも気持ちでは負けない。好きという気持ちでなら負けない。
「ところで体はどこもおかしくないのか?」
「大丈夫ですよ。多分薬を嗅がされたんだと思うんですけど咄嗟に息を止めて吸い込まないようにしたので」
「じゃああれは演技だったのか?」
「そうです。意識を失うフリをしてたんです。俺の部屋に二人で入って行って中から鍵を閉められた時は焦りましたけど…何かあったらドアを蹴破るつもりでいました」
演技してたのかよ。心配して損した。じゃあやっぱり最初から最後迄俺と轟の会話を聞いてたのか。
「彼奴と先輩の話もちゃんと聞いてました。彼奴が如何思ってたのかもさっき初めて知りましたよ」
苦しそうな笑顔を浮かべている。きっと心に受けた傷はまだ癒えてはいないんだ。
「俺と轟との関係を知りたいですか?」
「え…それは…」
知りたいけど知りたくない。絶対に俺が傷付くのは目に見えてるから。でも知らなきゃいけない事なのだろう。来夢だって自分が傷ついた思い出なんて話したくない筈なのに話してくれようとしてるんだ。恋人として向き合わなければいけない。
「俺は先輩になら何でも言えます」
「…聞きたい」
来夢は頷くと口を開いた。
「先輩…!」
来夢は部屋に飛び込んで来て俺を抱き締めた。
「来夢?」
「俺…先輩が俺の事を本当に大切に思ってくれてて嬉しいです。先輩の口からあんなに強い言葉が聞けた時は本当に…飛び上がりそうな程に嬉しかった」
「若しかして…さっきの聞いてたのか?」
来夢はこくりと頷いた。此奴聞いてたんだ。俺が轟と話してる内容を聞いてたんだ。そう思うと今更だけど恥ずかしい。心奪うから、とか守るから、とか色々と言ってしまった。あぁ、穴があったら入りたい。
「先輩は色んな覚悟をしてああいう風に言ってくれたんですよね。でも俺絶対に先輩以外の人なんて好きになりません。とっくに俺の心は先輩に奪われてますよ」
そう言うと来夢はにっこりと笑う。でも俺は其の言葉にほっとした。内心不安だった。轟が真っ向から勝負に掛かってきた時、若し来夢が心変わりしてしまったら如何しようかと。
「……俺…さっきなあんな風に大口叩いてたけど本当は不安だった。轟はお前の事は本気で好きみたいだし…捻くれてる奴だけど。それに轟と来夢の関係はきっと俺よりも長くて深いものだっただろうから。轟よりもまだ俺は来夢の事を知らないかもしれない。でもそれでも俺は…好きだから。彼奴に負けないくらい」
自分から好きと言ったのは何回目だろうか。俺からは滅多に言わないからちょっと擽ったい感じ。
「昔の事なんて関係ないんです。付き合ってきた長さとか深さとかそんなの関係ありません。どれだけ相手を想い愛せるかが重要なんです。其の時だけじゃなくてこれからもずっと。俺だってまだ先輩の事を知りきれてないです。きっと先輩の友達よりも知らない事が多い筈です。でも俺だって誰にも負けないくらいに先輩が大好きです」
来夢の目はいつも真っ直ぐで輝いている。何の迷いも見せない。
守るとか言ったけど力とかでは敵わないかもしれない。でも気持ちでは負けない。好きという気持ちでなら負けない。
「ところで体はどこもおかしくないのか?」
「大丈夫ですよ。多分薬を嗅がされたんだと思うんですけど咄嗟に息を止めて吸い込まないようにしたので」
「じゃああれは演技だったのか?」
「そうです。意識を失うフリをしてたんです。俺の部屋に二人で入って行って中から鍵を閉められた時は焦りましたけど…何かあったらドアを蹴破るつもりでいました」
演技してたのかよ。心配して損した。じゃあやっぱり最初から最後迄俺と轟の会話を聞いてたのか。
「彼奴と先輩の話もちゃんと聞いてました。彼奴が如何思ってたのかもさっき初めて知りましたよ」
苦しそうな笑顔を浮かべている。きっと心に受けた傷はまだ癒えてはいないんだ。
「俺と轟との関係を知りたいですか?」
「え…それは…」
知りたいけど知りたくない。絶対に俺が傷付くのは目に見えてるから。でも知らなきゃいけない事なのだろう。来夢だって自分が傷ついた思い出なんて話したくない筈なのに話してくれようとしてるんだ。恋人として向き合わなければいけない。
「俺は先輩になら何でも言えます」
「…聞きたい」
来夢は頷くと口を開いた。
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