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呼び辛い
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部活が終わってから帰る時はいつも来夢と帰っている。二人で手を繋いで。俺は繋ぎたくないけど。だって恥ずかしい。人の目があるし。
来夢が制服に着替え終わるのを待っていると着替え終わった轟が来た。最悪。2人きりとか最悪のシチュエーション。
「愛空先輩着替えるの早いんですね」
「轟もな」
「あの、轟って呼ぶのやめてくださいよ。下の名前で呼んでください。他の1年の子の事は名前で呼んでるじゃないですか」
俺たちの部活はみんな下の名前で呼ぶ。より関係を深める為だろうか。よく分からないけど俺が入部した時から、いや其の前からそうなっていた。きっと顧問の意向だろう。
だから新しく入部した1年の事はみんな下の名前で呼ぶ。でも此奴の事は下の名前で呼べなかった。何でか分からないけど。
「俺の名前が分かりませんか?」
「分かるけど…」
「けど何ですか?」
「…呼び辛い」
「俺が来夢先輩の元恋人だから?」
「っ…別に」
何でこうも痛い所をついてくるかな。態と言っているのが分かる。其れが嫌だ。うざい。
いきなり轟は俺との距離を縮めた。そして俺の耳元で囁く。
「愛空先輩…爽太って呼んでください」
よりによって何で耳元で…耳に息が掛かって俺は肩を小さく震わせた。耳弱いのに。
「耳弱いんですね」
「ん…ンな事ねぇよ…」
すると誰かが歩いてくる気配がする。離れなきゃ。また勘違いされかねない。
轟から離れようとすると轟が俺の腕を引いて耳元に口付けてくる。何して…
「ん…っ…やめろ」
「今度は耳をいただきました」
強い視線を感じて後ろを振り返る。其処には今一番居て欲しくない人が居た。来夢だ。来夢にこんな所を見られたのか…
「お前…俺の先輩に手を出すな」
「あれ、怒っちゃいました?でも言いましたよね?来夢先輩の大切な人を奪うって」
「……させない」
来夢は俺の腕を掴んで歩き出す。ちらりと後ろを振り返ると轟はまた嫌な笑みを浮かべていた。
来夢は怒っている。横顔から嫉妬と怒りが伝わってくる。何も言う事が出来ずただ腕を引かれるだけだった。
電車に乗っても来夢は一言も喋らない。俺も喋れなかった。来夢はずっと俺の手を握っている。強い力で。
来夢の最寄り駅で俺たちは降りた。俺の最寄りはまだ先だけど。
駅から歩く時も一言も言葉を交わさなかった。きっと来夢の家に向かっているのだろう。相変わらず俺の手を握る力は強い。
来夢の家に着いて家の中に入った瞬間抱き締められた。
「来夢…」
「先輩…俺耐えられません。先輩と彼奴が仲良くしてるのを見ると…頬や耳に口付けたりしてるのを見ると胸が苦しくて…」
「ごめん」
「すみません。先輩が謝る事はないんです。俺が嫉妬深いだけです」
「抵抗出来なかった俺も悪い。今度からは気を付けるから」
「はい…」
来夢は俺の頬や耳に何度も口付ける。そして俺の首筋に吸い付いては痕を残した。
「俺のモノって印俺にも付けてください」
「え…俺やった事ねぇし上手くいくか如何か…」
キスマなんていつも付けられてても付けた事はない。出来るか不安だ。
「大丈夫です。いつも俺がしてるみたいにしてください」
俺はドキドキしながら来夢の首筋に顔を寄せた。そして強く吸い付く。初めてでぎこちないものにはなったけどそこには紅い痕が付いた。俺が付けたんだ…初めて…
「ん…ありがとうございます」
いきなりカチャリと音がして玄関が開いた。誰…?驚いて振り返ると其処には轟が立っていた。何で此処に….
来夢が制服に着替え終わるのを待っていると着替え終わった轟が来た。最悪。2人きりとか最悪のシチュエーション。
「愛空先輩着替えるの早いんですね」
「轟もな」
「あの、轟って呼ぶのやめてくださいよ。下の名前で呼んでください。他の1年の子の事は名前で呼んでるじゃないですか」
俺たちの部活はみんな下の名前で呼ぶ。より関係を深める為だろうか。よく分からないけど俺が入部した時から、いや其の前からそうなっていた。きっと顧問の意向だろう。
だから新しく入部した1年の事はみんな下の名前で呼ぶ。でも此奴の事は下の名前で呼べなかった。何でか分からないけど。
「俺の名前が分かりませんか?」
「分かるけど…」
「けど何ですか?」
「…呼び辛い」
「俺が来夢先輩の元恋人だから?」
「っ…別に」
何でこうも痛い所をついてくるかな。態と言っているのが分かる。其れが嫌だ。うざい。
いきなり轟は俺との距離を縮めた。そして俺の耳元で囁く。
「愛空先輩…爽太って呼んでください」
よりによって何で耳元で…耳に息が掛かって俺は肩を小さく震わせた。耳弱いのに。
「耳弱いんですね」
「ん…ンな事ねぇよ…」
すると誰かが歩いてくる気配がする。離れなきゃ。また勘違いされかねない。
轟から離れようとすると轟が俺の腕を引いて耳元に口付けてくる。何して…
「ん…っ…やめろ」
「今度は耳をいただきました」
強い視線を感じて後ろを振り返る。其処には今一番居て欲しくない人が居た。来夢だ。来夢にこんな所を見られたのか…
「お前…俺の先輩に手を出すな」
「あれ、怒っちゃいました?でも言いましたよね?来夢先輩の大切な人を奪うって」
「……させない」
来夢は俺の腕を掴んで歩き出す。ちらりと後ろを振り返ると轟はまた嫌な笑みを浮かべていた。
来夢は怒っている。横顔から嫉妬と怒りが伝わってくる。何も言う事が出来ずただ腕を引かれるだけだった。
電車に乗っても来夢は一言も喋らない。俺も喋れなかった。来夢はずっと俺の手を握っている。強い力で。
来夢の最寄り駅で俺たちは降りた。俺の最寄りはまだ先だけど。
駅から歩く時も一言も言葉を交わさなかった。きっと来夢の家に向かっているのだろう。相変わらず俺の手を握る力は強い。
来夢の家に着いて家の中に入った瞬間抱き締められた。
「来夢…」
「先輩…俺耐えられません。先輩と彼奴が仲良くしてるのを見ると…頬や耳に口付けたりしてるのを見ると胸が苦しくて…」
「ごめん」
「すみません。先輩が謝る事はないんです。俺が嫉妬深いだけです」
「抵抗出来なかった俺も悪い。今度からは気を付けるから」
「はい…」
来夢は俺の頬や耳に何度も口付ける。そして俺の首筋に吸い付いては痕を残した。
「俺のモノって印俺にも付けてください」
「え…俺やった事ねぇし上手くいくか如何か…」
キスマなんていつも付けられてても付けた事はない。出来るか不安だ。
「大丈夫です。いつも俺がしてるみたいにしてください」
俺はドキドキしながら来夢の首筋に顔を寄せた。そして強く吸い付く。初めてでぎこちないものにはなったけどそこには紅い痕が付いた。俺が付けたんだ…初めて…
「ん…ありがとうございます」
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