病み彼

その話詳しく聞かせてくれない？

「なぁ聞いたか？隣りのクラスの奴が一年に喧嘩吹っ掛けられたらしいぜ」

「マジかよ。一年が？度胸あんなー」

「殴り合いになったらしいぜ。一年が超強かったらしい。隣りのクラスの奴は手出ししなかったって」


そんな会話が聞こえてきた。隣りのクラスの奴っていうのと一年というのが妙に引っ掛かる。嫌な予感がする。


「あのさ、その話詳しく聞かせてくれない？」


気になって俺は身を乗り出して話を聞いた。嫌な予感が的中しなきゃ良いんだけど。


「隣りのクラスの奴、確か愛空と去年同じクラスだった奴が一年に喧嘩吹っ掛けられたんだってよ。確かその一年ってのはバスケ部だったような…」


嫌な予感的中。やっぱりそうか、やっぱり…


「それでどうなったの其の二人」

「一年の方が喧嘩強くて暴力奮ったとか。隣りのクラスの奴は血だらけで保健室行きだってよ。一年は停学処分になるらしいぜ。今頃先生に説教でもされてんじゃねぇの」


停学….？来夢が停学？そんな事あるわけ…無い。そんな事…



昼休みに顧問の先生からメールが入った。今直ぐに職員室に来てくれと。とてもドキドキする。嫌な予感が再び湧き上がる。


内容は、今日は練習ではなくミーティングをするとの事だった。俺は聞かずともミーティングの内容が分かった。きっと来夢の事だ。否、でも若しかしたら違うかもしれない。さっき友達が話していた停学になった一年というのが来夢であるとは限らない。きっとそうだ。きっと…



ミーティングを行う部屋には既に後輩が来てセッティング等を進めてくれていた。でも来夢の姿がない。来夢は何処かと後輩に尋ねても首を傾げるばかりでみんな来夢の行方を知らないようだった。



先生が入って来た。先生が来る迄に来夢がいつ来るかいつ来るかと気にしていたけど結局姿を見せなかった。俺の不安はどんどん大きく膨れ上がっていく。



停学処分を受けたのは来夢だという事を知らされた。当分の間学校には来れないらしい。来夢が停学になった事で連帯責任として部活も暫く休部となった。OFFになった、と喜ぶ者も居たけど俺は喜べない。今は来夢の事で頭がいっぱいだ。来夢…如何して…