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舞踏会に潜入!
しおりを挟む翌朝。
朝、目が覚めて朝日を浴びるためにテントから出ると、外には昨日まで見えなかったはずのお城が見えた。
「ミミ、向こうにお城がある!」
かなり大きなお城で、昨日まではなかったはずのものが存在している。
「これ、どういうこと?」
「キミたちが眠っている間に、物語が動いているニャ。このテントは魔法のテントニャ。この世界に合わせてテントが場所を移動してくれているのニャ」
「すごい、そんなことも出来るんだ……」
つまり、わたしたちはお城に向かわなくてもシンデレラを見届けられるようになっているってことか。
「さっそく向かった方がいいよね?わたし、陽太くん起こしてくる!」
わたしはもう一度テントの中に入って陽太くんの体を揺さぶる。
陽太くんはあいかわらず朝が弱そう……。
「陽太くん、起きて!お城があるんだよ!早くお城に向かおうよ!」
「うーん……」
彼はまだ眠そうな目をこすっている。
あの王子様のいるお城で舞踏会が開催されるんだよね。
舞踏会ってどうなってるんだろう。
絵本の世界で見てなんとなくは想像できるけど、広いのかな?
大きくてすっごくオシャレなところなのかな?
知らないことがたくさんある。
そんな世界を今から見られるなんて楽しみだ。
わたしと陽太くんはテントを出ると、お城が見える方向へ向かった。
「本当にデゲーな」
「王子様が住んでいるお城だもんっ!」
王子様にも会えるのかな。
ワクワクしながら足を進めていると、お城に近づくにつれてあたりがだんだん暗くなってくる。
「あれ……雨降るのかな?さっきまで晴れていたのに」
「雨じゃなくて、日にちを合わせてるんだニャ」
「あっ、そうか……」
舞踏会が行われるのは夜だから、お城に近づくごとに時間も調整されているんだ。
「なんだか変な気持ち……」
「これも魔法ってやつか」
不思議な気持ちになりながらも、わたしたちはお城の前までやってきた。
目の前には全てを見上げられないほど、大きくそびえたつお城がある。
当然入るのにも、大きな門があってそこにはたくさんの見張りの人が立っていた。
シンデレラが無事ここに到着したのか、お城の中に入れたのか見届けたいところなんだけど、わたしたちが簡単に入れそうな雰囲気ではない。
「ねぇミミ、このまま入口に行ったらマズいよね?」
「お前たちは子どもニャ。きっと追い出されて終わるニャ」
たしかに、舞踏会って子どもが入るところじゃないよね……。
「じゃあ他に中に入れる場所がないか考えないと……窓から入ったりしたら騒ぎになちゃうだろうし、人に見つからないでお城の中に入るためには、裏口とかになるのかな?」
「物語で出てきたりしないのか?」
「そんなの、ないよ……」
シンデレラは裏口から入ったりしないもん。
このお城の周りは見張りの人の人がびっしりついているし……裏口が本当に存在するのかも分からない。
「困ったな……」
そうつぶやくと、陽太くんが声をあげた。
「あっ!あれ……シンデレラの乗ってた馬車だよな」
陽太くんが指差す先をみてみると、大きな門より少し離れたところにシンデレラの乗っていた馬車と御者さん、そして召使さんたちがいた。
あの3人ならなにか聞けるかもしれない!
「行ってみよう!」
「ああ」
わたしたちが馬車のところへ向かうと、そこにシンデレラの姿は無かった。
「あの……」
わたしは側にいる御者さんに声をかけた。
「シンデレラは無事お城の中に入りましたか?」
「ええ、彼女は入って行かれましたよ」
「良かった……」
ほっとしていると、御者さんがなにかに気づいた。
「おや、あなたたちは……チーズをくれた親切な人ではないですか」
「えっ!」
驚いているわたしの代わりに答えたのが、カボチャの馬車だった。
「ああ、間違いない。僕はこの3人と旅をしてここに来たんです」
「わたしたちのこと覚えているの!?」
「当然です」
馬車は誇らしげに言った。
「あの時のお礼を伝えたかったんです。美味しいチーズを分けてくれてありがとう」
御者さんが言うと、今度は馬車さんも言う。
「僕をシンデレラの家まで連れてきてくれてありがとう」
「いえいえ、そんな……」
チーズは分けたっていうか、置いておいただけだし……。
すると、御者さんがわたしたちにたずねた。
「あなたたちは、どうしてこんなことをしているのですか?」
「それは……シンデレラを助けたくて……幸せになってほしいです!」
ハッキリと告げると、御者さんと馬車さんはニコっと笑った。
「僕らも同じです。シンデレラは本当に心優しき人……」
「ここに来るまでに何回も重たくないかと声をかけてくださいました」
馬車さんが言う。
「昔からシンデレラにはお世話になっていました」
御者さんも言った。
そうだったんだ……。
そうだ!それなら直接聞いてみるっていうのもいいかもしれない!
「あの……わたしたち、本当にシンデレラが王子様と幸せになれるのか、お城に入って確認をしたくて……。でもわたしたち子どもじゃお城に入れないんです」
「確かにそうだ」
「それは困った」
わたしが相談をするとみんなが口々に言う。
そして御者さんがなにか思いついたように胸をポンと叩いた。
「そうだ、そういうことなら任せてください!わたしも心優しきシンデレラさんには幸せになって欲しいのです」
そう言うと彼は話を続けた。
「ここのお城の真後ろをまわっていただくと、すごく小さくて入りにくい特別な入口があります。ちょうどあなたたちがひとりずつ入れるくらいの大きさの入口です。そこには見張りの人が誰もいないから、きっと中に入ることが出来ると思います」
「本当に!?すごい、詳しいんだね!」
「ええ、そりゃ……お城の食べ物は特別ですから……毎晩忍びに入りお食事を……ごほん、ごほん」
咳払いをする御者さん。
そっか、ネズミの姿だった時にそこに入って食べ物を食べたことがあるんだな。
「ネズミさん!……じゃなくて今は御者さん!ありがとう!行ってみるね!」
わたしたちはお礼を告げると、すぐに裏口と呼ばれる場所に向かった。
ねずみさんの言った通り裏口には誰もおらず、その代わりにわたしたちが、かがまないと入れないほどの小さな扉があった。
「ここ、俺らが通るのが限界だな」
「だから見張りの人がいないんだね」
ギリギリはいれて良かった……。
陽太くん、ミミ、わたしの順番で中へと入っていく。
中は薄暗くて何が置いてあるのか分からない。
「ここは食料倉庫ぽいニャ」
「お城ってすごーい……倉庫まであるんだぁ」
「ここであのネズミは食ってたってことか……」
「ま、まぁ……ネズミさんのおかげでここが知れたわけだし……」
「話している時間はないニャ。いつ物語がおかしくなっているか分からないニャ」
そうだった!
急いでシンデレラを探さないとだよね。
「ねぇでもさ、ミミ。もし、間違えに気づかず物語が進んでしまったら……どうなってしまうの?」
するとミミはしばらく沈黙した後に答える。
「……過ぎた時間を取り戻すことはできないニャ。つまり、間違いを見逃してしまうと物語はそのまま進んでしまうニャ」
「えっ、わたしたちが見逃したら間違えたまま進んでしまうってこと?」
「もう修復はできないニャ」
修復できないってことは、わたしたちもこの世界から帰ることが出来なくなっちゃうってことだよね?
「おい、早く言えよ!」
1回きりの物語。
失敗するわけにはいかないってことなんだ……。
「帰れなかったらどうすんだ」
「加奈が『シンデレラ』大好きだから問題ないと思ったニャ」
なんか、ミミってちょっと楽観的?
でも大丈夫、問題ない。
わたしはこくんとうなずく。
大好きで何度も何度も読んできた本だ。
「間違えがあったら絶対に気づくよ」
真剣に答えると、ミミがふっと笑ったような気がした。
「急ぐニャ!」
わたしたちは倉庫の扉をそっと開いてみる。
すると、すぐ目の前に見張りの人がたくさん立っていた。
ま、まずい……。
中にもこんなにたくさん見張りの人がいるの!?
わたしたちのような子どもが舞踏会に出入りしていたら、確実に子どもが来るところじゃないって追い出されちゃうよね。
「見張りの目を盗んで進んでいくしかないニャ」
幸い、お城には隠れられそうなところがいっぱいありそうだ。
大きな鉢の裏、ツボが展示された後ろのスペース、イスの下。
うん、行ける気がする。
わたしたちはそっとドアから様子を伺いながら、見張りの人たちが話をしているところを通りすぎた。
速足で走って、また隠れられそうなところに身を寄せて、どんどん進んでいく。
広くてどこがシンデレラのいる場所が分からない……。
「ねぇ、とにかく奥に進んでいるけどこれでシンデレラに会えるのかな?」
「なんにせよ部屋が多すぎるニャ」
「そうだ……人の多いところだ」
陽太くんが言う。
「ダンスホールって言うのは、人が集まる場所なんだろう?だったら人が向かっている場所に行けばいい」
「そっかぁ……陽太くん、頭いい」
「そんくらい普通だろ。お前は興味を持ったら突っ走りすぎなんだよ!」
たしかにそうだったかも……。
急がなくちゃいけないけど、こういうのはしっかりと頭も使わないとね。
「学校に行ってない陽太に言われてるニャ」
「ほんと……」
「どういう意味だコラ」
そんな話をしながら、わたしはドレスを着た人が向かっている方向をみる。
みんな、この通りの奥の方へ向かっているね。
「ついていこうぜ」
「うん!じゃああの人が視線を逸らした隙に出るね!」
見張りの人がよそ見をする機会をうかがう。
「おい、そういえば、この件はどうなっているんだ?」
すると別の見張りの人が話しかけたことで後ろを向いた。
今だ!
「行くよ、せーのっ!」
その隙にわたしと陽太くんは一気に走りだした。
急ごう、早くシンデレラに会わないと!
しかし……。
「あっ!」
わたしはお城に置かれていた植木を足にひっかけてしまい倒してしまった。
その場にズデンっと転ぶわたし。
まずい!バレたら追い出されちゃう!
植木が倒れた音で見張りの人がこっちを見る。
すると陽太くんがわたしの手をぐいっと引っ張りそのまま物陰に隠れた。
「よ、陽太くん……」
「シッ」
わたしたちはそっと様子を伺う。
「誰だ!?誰かいるのか!?」
辺りを見渡す見張りの人。
見張りの人はこっちへやってくる。
見つかっちゃう……!
どうしよう……。
そう思った瞬間、わたしたちと同じように物陰に隠れていたミミがひょいっと外へ出ていった。
「ミャー」
「あっ、陽太くん。どうしよう……ミミが……」
「大丈夫だ」
陽太くんの言った通り、見張りの人はミミを優しく抱き上げた。
「なんだ、キミか……もう悪いことしちゃダメだぞ」
「ニャー」
そう言って頭を撫でられ放されるミミ。
「良かった……」
ミミと陽太くんのナイスプレーでなんとかピンチを乗り越えることが出来た。
「ありがとね、ミミ」
戻ってきたミミの頭を撫でる。
「加奈は案外そそっかしいニャ」
「えへっ」
「あそこ、なんか人が多いぞ」
「行ってみようか!」
わたしたちは、人が大勢集まる場所に向かった。
見つかってはいけないから、大きな机の下に隠れる。
すると、そこには【広間】と書かれていた。
「ダンスパーティ、楽しみだわ」
「わたしもダンス踊るのなんて久しぶりだから、上手く踊れるかしら」
ドレスを着た女性が口々に話をしている。
「ここ受付になっているみたい。あそこの奥の広いところでダンスを踊るみたいだね」
「良かった、たどり着いたニャ」
あとはどうやってシンデレラを探すか……。
「ここにいると探せないニャ。奥のダンスルームに移動するニャ」
「そうだね」
すると、陽太くんが指をさした。
「あそこのカーテンの中に入っちまえばいいじゃねぇの」
ダンスパーティーの会場はやたらと幕があって、左右には豪勢なカーテンで仕切られている。
カーテンもなんだか厚みがあって、人が入ってもバレなさそうな作りになっている。
「あの中に入ろう!」
とはいえここは人がたくさんいる。
今いきなり飛び出していったら、多くの人に見つかってしまうだろう。
「どうやって人の気を逸らすかニャ……」
「う~ん」
こんなに大勢いたら、難しいよね。
みんなが見るようななにかがないと……。
その時。
「うわぁあ」っと歓声があがった。
何が起きたの!?
驚いていると、受付には王子様が現れた。
白いスーツを着ていて、ネクタイがピシっとしめられ堂々とあるいてくる。
すごい……、王子様ステキ……。
ぼぅっと見惚れていると、ミミが言う。
「今がチャンスニャ!」
「何してんだ行くぞ!」
わたしは陽太くんに手を引かれながら、ダンスホールへ移動することになった。
なんとか人の目を盗み、カーテンの中へと隠れることができたわたしたち。
「全く、同じように見惚れてるやつがいるかよ」
「だって……」
本物の王子様はこんなにカッコイイんだって思ったんだもん!
幸いみんなが王子様に目を奪われていたためか、わたしたちに気づく人はいなかった。
「お城のカーテンってすごいなぁ。こんな人がふたり入っても全然気づかれないんだもん!学校にも欲しくない?」
「こんなカーテン学校には不釣り合いだろ」
「そうかな」
カーテンの隙間から広間を覗いてみると、みんなが王子様に話しかけていて王子様は囲まれている。
「モテモテだね、王子様」
「これで違うやつ選んじゃうとかねぇだろうな」
「ないよ。だってシンデレラはもっともっとステキだもん!」
いくらバッドエンドにしようとしたとしても、そんなのわたしが許さないもん。
そんなやりとりをしていると、再び歓声があがった。
「おお、お美しい……」
「あの女性は一体誰だ……?」
「見たことないくらいキレイな人がいるわ」
「うわぁっ!」
わたしは大広間に入って来る女性を見て声をあげる。
やっと会えた!
「シンデレラだ……!」
シンデレラが一歩、また一歩と踏み出す度にまわりにいる人の視線を奪っていく。
控え目なのに華やかに見えて、思わず見とれてしまうくらいキレイなシンデレラ。
「陽太くん、やっぱりシンデレラが一番キレイでしょう?」
キラキラと光るドレスに目を惹く美貌。
みんながごくりと息をのむ。
これは王子様の目にとまるのもよく分かるよ。
王子様がシンデレラに気づいた。
初めてシンデレラと王子様の目と目が合う。
「なんて美しい人だろう……」
多くの女性に取り囲まれていた王子様は静かに言葉をこぼす。
まるで2人だけの世界がそこにあるかのように、2人は引き寄せられる。
「僕と一緒にダンスを踊ってくれませんか?」
その時、みんなが騒ぎだした。
「王子様……今まで誰も自分から誘わなかったのに……」
「でもあの子なら納得だわ。だって、美しいもの」
シンデレラが注目されているのを見て、わたしは微笑む。
「良かった、上手くいってるね」
わたしはヒソヒソ声で陽太くんに話しかけると、彼はポツリと言った。
「最初はみんな同じに見えると思ったけど、確かに、同じではないのは分かるな」
ふふん、陽太くんもだんだんわかってきたみたい。
王子様が選ぶ相手だもん。特別ですごく素敵な人なんだよ。
王子様がシンデレラにダンスを申し込むと、シンデレラは柔らかく微笑み伝える。
「よろこんで」
そしてみんながみている前で曲がかかって、ふたりは踊りだす。
シンデレラは王子様と踊ってとっても幸せそうな顔をしていた。
「ステキだな……」
わたしもいつか、自分の運命の人と出会ったら一緒に踊れるだろうか。
みんなに祝福されるだろうか。
「わたしね、シンデレラって一生懸命やっていたら、いつか誰かが気づいてくれるんだって、そう分かるところが好きなんだ」
「ふぅん、いつか誰かが気づいてくれるね」
陽太くんは目線をこちらにやることなくつぶやいた。
「つーか、いじわるな姉たちもいるじゃねぇか。シンデレラって気づいてねぇのか?」
「うん。シンデレラがキレイすぎて気づいてないんだよ」
ずっとシンデレラをイジメていたから、彼女の本当の姿をしらないんだよね。
キレイになる魔法はひとりの女性を変えることが出来る。
わたしはシンデレラが楽しそうに踊る様子をいつまでも見ていた。
「つーか、いい感じじゃね?これでハッピーエンドか?」
陽太くんがたずねたことで我にかえる。
「違うよ!これからさらに大事なシーンがあるの。12時のかねが鳴ってシンデレラは慌てて家に帰ろうとするの。でもその時にガラスのクツを落としてしまうの。それで王子様がガラスのクツを探しに来るんだ。たぶん、もうすぐかねが鳴ると思うんだけど……」
「かねなら壊れてるって、さっき移動してる時に見張りの人たちが話してたぞ?」
「えっ」
「さびて動かなくなってるんだと。今日はもう遅いから明日王様には伝えて専門の人に直してもらうとかなんとか……」
明日!?そんなのダメだ!
わたしはその言葉を聞いて声を荒げた。
「陽太くん、ヤバいよ……!」
「何がヤバいんだよ」
「シンデレラはね、12時のかねがとっても大事なの。かねが鳴って慌てて帰宅をするの。もし12時のかねが鳴らなかったら、気づかぬうちに魔法が解けてしまう。そしたら全部元通りの姿になっちゃうんだよ」
この場で魔法が解けてしまったら、家にも帰れないしみんなの笑いものにされてしまうだろう。
ガラスのクツはどうなる?
とにかく、物語通り進めるためには12時のかねをならさないといけない。
「陽太くん、かねをならしに行こう!」
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