長編「地球の子」

第三章 粉挽き小屋

レストランに到着

　そこまで話して、車がレストランに着いたので、皆は降りることにした。レストランは、周りにいくつかの広葉樹を配した庭の中にあり、蕾の膨らんだバラやデイジーの花がそこかしこに植えられていた。足元を照らす灯りが、芝生の中をレストランへと誘う石畳を照らし、どこからか流れてくるカンツォーネといい香りが着いた客を迎えてくれる。
　空腹に耐えかねた輝たちが扉を開けると、笑顔の男性が輝たちを迎えてくれた。彼は輝たちから上衣を預かり、手荷物以外を受け取ると、マルコのいる席に案内していってくれた。
　マルコは先に来ていた。ルフィナの格好は、ここまで来るまでの間、車中でクチャナが着替えさせた。服を持っていたカリーヌが運転中だったからだ。乱れていた髪も整えてやって、なんとか体裁を整えると、ひとり客が増えていると案内係の男性に告げた。男性は厨房に確認すると言うと、ルフィナの分の椅子もきっちり用意してくれた。
　キッチンとの連絡が取れると、案内係の男性は、大丈夫ですと言って笑顔で下がっていった。マルコは、最初、ルフィナがいたことにびっくりしたが、輝が事情を話すと理解してくれた。
　前菜の料理が来て食事が始まると、マルコとルフィナは双方の視点から、こんな話をしてくれた。