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第一章 真夜中のラジオ
特別なラジオ
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高校二年生になったばかりの高橋輝は、学校と部活が終わったあと、夜十時まで飲食店でアルバイトをしていた。朝早く学校へ行き、サッカー部の練習を朝と放課後にこなしてからアルバイトに行っていた。休む暇もなく職場へ行ってしまうので、学校で行う授業の予習や復習は帰ってから深夜にやっている。だから、寝るのは深夜の十一時半を回ってしまう。
同じ家に住んでいる母親もパートに出ていて、朝早くから夜遅くまで仕事をしている。輝ほど派手な仕事ではないが、電子部品を組み立てる工場の勤務は毎日忙しかった。
父親は、輝が幼い頃に交通事故で亡くなっていた。母は再婚はしていないが、たまに知らない男性と付き合っていることがある。しかし、付き合う以上になることはなく、すぐに別れていた。
学校の授業を終え、部活を一通りこなすと、夜のバイトに行ってから十時に上がって家に帰る。暗い部屋に灯りをつけると、少しほっとした。
「ただいま」
小さな声でそう言って、台所を見渡す。
テーブルの上には、ラップにくるまったおにぎりが置いてある。いつも腹を空かせて帰ってくる輝のために母が作っておいてくれるのだ。そのおにぎりを持って自分の部屋に行き、真夜中のラジオを音量を抑えめにしてつけると、そこからは、軽快な音楽とともに、少しテンションを抑えたパーソナリティーのアナウンスが聞こえてきた。真夜中、普通の人間ならば眠りに落ちているこの時間が、輝はなんとも言えず好きだった。
「母さん、いつもありがとう」
ふと、感謝の言葉が出てくる。いつも忙しいのにおにぎりを作ってくれる母。彼女には、懸命に勉強して恩を返していこう。
ラジオを聴いていると、一日の疲れが吹き飛んでいくようだった。なぜかその、一人で過ごす深夜の時間に安心を覚える。
そんな真夜中のラジオは、輝にとって特別なものだった。
しかし、ある日から、輝は、真夜中のラジオを聴かなくなった。
それは、ある女子高生との出会い、そして、そこから広がる人間たちとのつながり、そのつながりがきっかけで発覚したある事件が発端だった。
同じ家に住んでいる母親もパートに出ていて、朝早くから夜遅くまで仕事をしている。輝ほど派手な仕事ではないが、電子部品を組み立てる工場の勤務は毎日忙しかった。
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学校の授業を終え、部活を一通りこなすと、夜のバイトに行ってから十時に上がって家に帰る。暗い部屋に灯りをつけると、少しほっとした。
「ただいま」
小さな声でそう言って、台所を見渡す。
テーブルの上には、ラップにくるまったおにぎりが置いてある。いつも腹を空かせて帰ってくる輝のために母が作っておいてくれるのだ。そのおにぎりを持って自分の部屋に行き、真夜中のラジオを音量を抑えめにしてつけると、そこからは、軽快な音楽とともに、少しテンションを抑えたパーソナリティーのアナウンスが聞こえてきた。真夜中、普通の人間ならば眠りに落ちているこの時間が、輝はなんとも言えず好きだった。
「母さん、いつもありがとう」
ふと、感謝の言葉が出てくる。いつも忙しいのにおにぎりを作ってくれる母。彼女には、懸命に勉強して恩を返していこう。
ラジオを聴いていると、一日の疲れが吹き飛んでいくようだった。なぜかその、一人で過ごす深夜の時間に安心を覚える。
そんな真夜中のラジオは、輝にとって特別なものだった。
しかし、ある日から、輝は、真夜中のラジオを聴かなくなった。
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