146 / 147
第十八章 ナチュラルブーケ
新しい命
しおりを挟む
アヒム、ダニエラ、レオの三人がクロヴィスたちの家に着いたのは、夕方よりも少し前のことだった。そこに住む全員に歓迎され、彼らは集落に入った。
入り口ではジャンヌが花束を手渡しし、農作業を早めに切り上げてきたエーテリエとセベルが手を振っている。集落はそんなに大きくないので、一時間もあれば見て回ることができた。
集落の全員が集まって酒屋で食事をする。レオは、懐かしい顔ぶれに、嬉しくなって、みんなとハイタッチをして回った。そして、シリウスの作る料理が大皿で出てくると、それを取り分けてみんなで食べ始めた。今夜はお酒を飲まないでやろう、と言うことになっていたため、誰一人アルコールを飲む人はいなかった。
宴もたけなわになってきて、料理が出てしまって、レオがシリウスに教わってダーツを楽しんでいると、母であるダニエラが少し疲れたと言ってくつろいでいた。そのうち、彼女は少し体が重くなり、お腹の下の方が軽く痛くなってきたと訴えた。
「俺の料理が当たるはずがない」
シリウスはそう言ったがみんなが疑うので、外で気分転換をしていたアースとエリクにそれを話すと、エリクが顔色を変えた。
「陣痛が始まっているかもしれないよ」
エリクがそう言うので、その場にいたジャンヌがダニエラに歩けるかと聞いた。
「まだ余裕だよ。でも、もし陣痛が始まっているんなら、どうしよう。ここに十分なお産の設備はないんでしょ?」
すると、クロヴィスが答えた。
「腕のいい医者とその助手ならいる。ちょっと見てもらってくれ」
そう言うので、ジャンヌとエリク、クロヴィスとアースに付き添われて、ダニエラは診療所まで歩いた。その間にお腹はどんどん痛くなっていった。診療所につく頃には、きつい陣痛が始まっていた。
「いつ生まれてもおかしくない。出産のできる部屋を作るから、ナリアとエリクは手伝ってくれ。アヒムとレオはこちらに」
アースはそう言って、アヒムとレオには陣痛の間隔を測り、彼女の求めに応じて水を飲ませたり励ましたりしてあげるようにと指示を出した。そしてそのまま奥の手術室に行って、いくつかの手術道具を用意しだした。
「て、帝王切開とか、やるの?」
ジャンヌが不安そうに聞くと、アースは首を横に振った。
「今のところ通常分娩だ。心配するな」
何時間経っただろう。そのまま不安そうに状況を見守る人間たちをそのままに、ダニエラは陣痛に耐えていた。ジャンヌとクロヴィスは病院に張り付いている。エーテリエやセベルたちは酒場でずっと、生まれるのを待っていた。
「こうなったら寝ちゃいられないね」
エーテリエはそう言って、シリウスの入れたコーヒーを口にした。
「陣痛ってこの世の終わりにみたいに痛いらしいぜ。すごいよな、母親ってさ。そんなひどい痛みに何時間も耐えるんだからさ」
それを聞いて、エーテリエは少しの間、何かを考えていた。しかし、それも束の間で、急に伸びをすると、コーヒーを片手に外に出て、凛とした涼しい夜の空気を吸った。
「エータは、自分の母親を知らないんだ」
セベルは、そう言ってカウンターに座り直し、シリウスに紅茶をオーダーした。
「この店さ、昼間は喫茶店のがいいよ。シリウスは腕がいいから」
そう言って笑うと、ふと外を見た。診療所が今どうなっているのかはわからない。分娩は始まったのだろうか。少し不安になったが、今はダニエラの生命力を信じるしかない。
その診療所では、すでに分娩が始まっていて、ダニエラがいきむ声が診療所の中ならどこからでも聞こえてきた。分娩をしている部屋にはナリアとエリク、そして遠くから見守るアヒムとレオがいた。
「頑張れ、頑張れ、お母さん!」
レオが必死で応援している。アヒムはもう怖くて泣きそうだった。エリクはダニエラの呼吸を整えつつ、ここで息を吸い、ここで吐くようにと指示を出していった。赤ちゃんを出すことに必死のダニエラは、自分の呼吸や精神状態を気にしている余裕がないからだ。
ダニエラはもう何度も、死ぬとかもうダメとかいうセリフを吐いた。その度にナリアが同意し、励ましていた。
そして、分娩する部屋に入ってから二時間。
赤ちゃんが、生まれた。
女の子だった。彼女は元気な産声をあげた。臍の緒を切られるとすぐに生湯につけられた。取り上げたのは、エリクだった。
アースが部屋に入ってきて、ダニエラの状態を見た。胎盤はナリアが出す作業をしていた。アースは、エリクとナリアに細かい指示を与えていくと、今度は何かあった時のために二時間ほど、部屋の中にいて今後のことを夫と子供に話した。そして、ダニエラに赤ちゃんを抱かせた。
「レオの時はどっかを縫ったんだが、今回はなかったんだな」
赤ちゃんを抱いているダニエラのところに行く時、アヒムは少し頭がくらくらした。血を見たと言うのもあるが、気が抜けたと言うのもある。レオに支えられてダニエラのところに行き着くと、アヒムはため息をついた。
「怖かったなあ」
そう言って力無く笑う。腹が座らない。頭が混乱していて、先ほどのアースの説明も全く入ってこなかった。
アースもそれがわかっていたのか、あまり重要なことは話していなかった。ただ、今後一ヶ月は母体の養生と赤ちゃんのため、この集落にいた方がいいと言われたのは覚えている。
「お母さん」
レオが、ダニエラの手を握る。
産後二時間は何があってもおかしくない。しばらくこのまま見守るために何人かがここに残っていた。しかし、二時間が経つと、もう大丈夫だと、エリクとナリア、そしてアース以外は屋敷に帰っていった。
そして、ダニエラは、診療所にたった三つだけの病室に入った。
「お腹、空いたでしょう。今、作っていますから」
ナリアは、優しそうに笑って、ダニエラを見た。スヤスヤと眠る赤ちゃんのゆりかごを横にベッドに座る彼女に、ナリアは優しく語りかけた。
「お名前は決めてあるのですか?」
聞くと、一緒についてきたレオとアヒムが、顔をつき合わせて笑った。
「もう決まっているんだ。でも、今は内緒だよ!」
そう言って、赤ちゃんを見た。
そんなことをしているうちに、食事が来た。もうすっかり日も昇って昼になってしまったので、ランチの時間帯だった。しかし産後食と言うのもあり、きちんと栄養バランスを考えてある食事だった。
「アースは医者で料理人ですから、こう言うことができるんです」
ナリアはそう言い、ダニエラとは別の、アヒムたちと同じ食事をエリクを呼んで一緒に食べた。
ダニエラの後陣痛はそんなにひどくはなかったが、それでも一ヶ月間、この集落で暮らすことになった。少なくとも赤ちゃんの首が座るまでは遠出はできなかったので、自宅に帰るのはかなり先のことになってしまった。
アヒムたちは、数ヶ月間、この集落の屋敷の空き部屋に、部屋を借りた。
そこで、アヒムは出産の報告とともに、これから集落で行われるあることの報告を兼ねて、村へ手紙を出すことにした。
ここへはセリーヌの論文の回収のために、毎日と言っていいほど郵便屋が来る。その郵便屋に、アヒムは手紙を託した。
郵便屋に手紙を渡し、集落の入り口にある花屋で、小さな娘と妻にあげる花を選んでいると、花の手入れをしていたクロヴィスがやってきて、アヒムに一輪のバラを手渡した。
「今がシーズンのバラなんだ。棘はないから安心してくれ」
それは鮮やかなピンクのバラだった。
アヒムは、集落の全員に挨拶をしてから屋敷に帰り、妻と娘に、一輪ずつバラを手渡した。すると二人はひどく喜んだ。早速ダニエラが花瓶に挿す。
「あの二人、幸せそうだね、お父さん」
部屋の中にいたレオが、座っている椅子の上で足をバタバタさせていた。それを見て、先ほどのクロヴィスとジャンヌを思い浮かべた。
初夏をすぎ、夏になろうとしているこの集落は、まるで理想郷だ。
綺麗な水、美しい自然、街に近い立地、豊かなみのりのある森を抱いた豊かな土壌、木で作られた温かみのある建物が立ち並び、住んでいる人間も穏やかだ。
自分の住んでいる村も似たようなものだが、やはりこうありたいという理想はここまで叶えられてはいない。本当に、彼らはいい移住先を選んだ。
「来週、楽しみだな、レオ」
アヒムは、そう言って部屋の窓をあけ、新鮮な空気を部屋に取り込んだ。
一週間後に開かれる楽しみ。
それは、この集落の長、ゼンテイカ一家の家長、クロヴィスとジャンヌの結婚式だった。
入り口ではジャンヌが花束を手渡しし、農作業を早めに切り上げてきたエーテリエとセベルが手を振っている。集落はそんなに大きくないので、一時間もあれば見て回ることができた。
集落の全員が集まって酒屋で食事をする。レオは、懐かしい顔ぶれに、嬉しくなって、みんなとハイタッチをして回った。そして、シリウスの作る料理が大皿で出てくると、それを取り分けてみんなで食べ始めた。今夜はお酒を飲まないでやろう、と言うことになっていたため、誰一人アルコールを飲む人はいなかった。
宴もたけなわになってきて、料理が出てしまって、レオがシリウスに教わってダーツを楽しんでいると、母であるダニエラが少し疲れたと言ってくつろいでいた。そのうち、彼女は少し体が重くなり、お腹の下の方が軽く痛くなってきたと訴えた。
「俺の料理が当たるはずがない」
シリウスはそう言ったがみんなが疑うので、外で気分転換をしていたアースとエリクにそれを話すと、エリクが顔色を変えた。
「陣痛が始まっているかもしれないよ」
エリクがそう言うので、その場にいたジャンヌがダニエラに歩けるかと聞いた。
「まだ余裕だよ。でも、もし陣痛が始まっているんなら、どうしよう。ここに十分なお産の設備はないんでしょ?」
すると、クロヴィスが答えた。
「腕のいい医者とその助手ならいる。ちょっと見てもらってくれ」
そう言うので、ジャンヌとエリク、クロヴィスとアースに付き添われて、ダニエラは診療所まで歩いた。その間にお腹はどんどん痛くなっていった。診療所につく頃には、きつい陣痛が始まっていた。
「いつ生まれてもおかしくない。出産のできる部屋を作るから、ナリアとエリクは手伝ってくれ。アヒムとレオはこちらに」
アースはそう言って、アヒムとレオには陣痛の間隔を測り、彼女の求めに応じて水を飲ませたり励ましたりしてあげるようにと指示を出した。そしてそのまま奥の手術室に行って、いくつかの手術道具を用意しだした。
「て、帝王切開とか、やるの?」
ジャンヌが不安そうに聞くと、アースは首を横に振った。
「今のところ通常分娩だ。心配するな」
何時間経っただろう。そのまま不安そうに状況を見守る人間たちをそのままに、ダニエラは陣痛に耐えていた。ジャンヌとクロヴィスは病院に張り付いている。エーテリエやセベルたちは酒場でずっと、生まれるのを待っていた。
「こうなったら寝ちゃいられないね」
エーテリエはそう言って、シリウスの入れたコーヒーを口にした。
「陣痛ってこの世の終わりにみたいに痛いらしいぜ。すごいよな、母親ってさ。そんなひどい痛みに何時間も耐えるんだからさ」
それを聞いて、エーテリエは少しの間、何かを考えていた。しかし、それも束の間で、急に伸びをすると、コーヒーを片手に外に出て、凛とした涼しい夜の空気を吸った。
「エータは、自分の母親を知らないんだ」
セベルは、そう言ってカウンターに座り直し、シリウスに紅茶をオーダーした。
「この店さ、昼間は喫茶店のがいいよ。シリウスは腕がいいから」
そう言って笑うと、ふと外を見た。診療所が今どうなっているのかはわからない。分娩は始まったのだろうか。少し不安になったが、今はダニエラの生命力を信じるしかない。
その診療所では、すでに分娩が始まっていて、ダニエラがいきむ声が診療所の中ならどこからでも聞こえてきた。分娩をしている部屋にはナリアとエリク、そして遠くから見守るアヒムとレオがいた。
「頑張れ、頑張れ、お母さん!」
レオが必死で応援している。アヒムはもう怖くて泣きそうだった。エリクはダニエラの呼吸を整えつつ、ここで息を吸い、ここで吐くようにと指示を出していった。赤ちゃんを出すことに必死のダニエラは、自分の呼吸や精神状態を気にしている余裕がないからだ。
ダニエラはもう何度も、死ぬとかもうダメとかいうセリフを吐いた。その度にナリアが同意し、励ましていた。
そして、分娩する部屋に入ってから二時間。
赤ちゃんが、生まれた。
女の子だった。彼女は元気な産声をあげた。臍の緒を切られるとすぐに生湯につけられた。取り上げたのは、エリクだった。
アースが部屋に入ってきて、ダニエラの状態を見た。胎盤はナリアが出す作業をしていた。アースは、エリクとナリアに細かい指示を与えていくと、今度は何かあった時のために二時間ほど、部屋の中にいて今後のことを夫と子供に話した。そして、ダニエラに赤ちゃんを抱かせた。
「レオの時はどっかを縫ったんだが、今回はなかったんだな」
赤ちゃんを抱いているダニエラのところに行く時、アヒムは少し頭がくらくらした。血を見たと言うのもあるが、気が抜けたと言うのもある。レオに支えられてダニエラのところに行き着くと、アヒムはため息をついた。
「怖かったなあ」
そう言って力無く笑う。腹が座らない。頭が混乱していて、先ほどのアースの説明も全く入ってこなかった。
アースもそれがわかっていたのか、あまり重要なことは話していなかった。ただ、今後一ヶ月は母体の養生と赤ちゃんのため、この集落にいた方がいいと言われたのは覚えている。
「お母さん」
レオが、ダニエラの手を握る。
産後二時間は何があってもおかしくない。しばらくこのまま見守るために何人かがここに残っていた。しかし、二時間が経つと、もう大丈夫だと、エリクとナリア、そしてアース以外は屋敷に帰っていった。
そして、ダニエラは、診療所にたった三つだけの病室に入った。
「お腹、空いたでしょう。今、作っていますから」
ナリアは、優しそうに笑って、ダニエラを見た。スヤスヤと眠る赤ちゃんのゆりかごを横にベッドに座る彼女に、ナリアは優しく語りかけた。
「お名前は決めてあるのですか?」
聞くと、一緒についてきたレオとアヒムが、顔をつき合わせて笑った。
「もう決まっているんだ。でも、今は内緒だよ!」
そう言って、赤ちゃんを見た。
そんなことをしているうちに、食事が来た。もうすっかり日も昇って昼になってしまったので、ランチの時間帯だった。しかし産後食と言うのもあり、きちんと栄養バランスを考えてある食事だった。
「アースは医者で料理人ですから、こう言うことができるんです」
ナリアはそう言い、ダニエラとは別の、アヒムたちと同じ食事をエリクを呼んで一緒に食べた。
ダニエラの後陣痛はそんなにひどくはなかったが、それでも一ヶ月間、この集落で暮らすことになった。少なくとも赤ちゃんの首が座るまでは遠出はできなかったので、自宅に帰るのはかなり先のことになってしまった。
アヒムたちは、数ヶ月間、この集落の屋敷の空き部屋に、部屋を借りた。
そこで、アヒムは出産の報告とともに、これから集落で行われるあることの報告を兼ねて、村へ手紙を出すことにした。
ここへはセリーヌの論文の回収のために、毎日と言っていいほど郵便屋が来る。その郵便屋に、アヒムは手紙を託した。
郵便屋に手紙を渡し、集落の入り口にある花屋で、小さな娘と妻にあげる花を選んでいると、花の手入れをしていたクロヴィスがやってきて、アヒムに一輪のバラを手渡した。
「今がシーズンのバラなんだ。棘はないから安心してくれ」
それは鮮やかなピンクのバラだった。
アヒムは、集落の全員に挨拶をしてから屋敷に帰り、妻と娘に、一輪ずつバラを手渡した。すると二人はひどく喜んだ。早速ダニエラが花瓶に挿す。
「あの二人、幸せそうだね、お父さん」
部屋の中にいたレオが、座っている椅子の上で足をバタバタさせていた。それを見て、先ほどのクロヴィスとジャンヌを思い浮かべた。
初夏をすぎ、夏になろうとしているこの集落は、まるで理想郷だ。
綺麗な水、美しい自然、街に近い立地、豊かなみのりのある森を抱いた豊かな土壌、木で作られた温かみのある建物が立ち並び、住んでいる人間も穏やかだ。
自分の住んでいる村も似たようなものだが、やはりこうありたいという理想はここまで叶えられてはいない。本当に、彼らはいい移住先を選んだ。
「来週、楽しみだな、レオ」
アヒムは、そう言って部屋の窓をあけ、新鮮な空気を部屋に取り込んだ。
一週間後に開かれる楽しみ。
それは、この集落の長、ゼンテイカ一家の家長、クロヴィスとジャンヌの結婚式だった。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
公爵令嬢の私に騎士も誰も敵わないのですか?
海野幻創
ファンタジー
公爵令嬢であるエマ・ヴァロワは、最高の結婚をするために幼いころから努力を続けてきた。
そんなエマの婚約者となったのは、多くの人から尊敬を集め、立派な方だと口々に評される名門貴族の跡取り息子、コンティ公爵だった。
夢が叶いそうだと期待に胸を膨らませ、結婚準備をしていたのだが──
「おそろしい女……」
助けてあげたのにも関わらず、お礼をして抱きしめてくれるどころか、コンティ公爵は化け物を見るような目つきで逃げ去っていった。
なんて男!
最高の結婚相手だなんて間違いだったわ!
自国でも隣国でも結婚相手に恵まれず、結婚相手を探すだけの社交界から離れたくなった私は、遠い北の地に住む母の元へ行くことに決めた。
遠い2000キロの旅路を執事のシュヴァリエと共に行く。
仕える者に対する態度がなっていない最低の執事だけど、必死になって私を守るし、どうやらとても強いらしい──
しかし、シュヴァリエは私の方がもっと強いのだという。まさかとは思ったが、それには理由があったのだ。

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!
珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。
3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。
高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。
これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!!
転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる