134 / 147
第十七章 風に舞う葉
村長の事情
しおりを挟む
たくさんの町に囲まれたこの村は、昔から人の出入りが激しく、当時は牧歌的な雰囲気に包まれたこの村は町からの観光客で賑わっていた。そんな中、村長は年甲斐もなく五十歳近くになって観光客の女性と恋に落ちて、子供を作った。それが六年前のことだ。その頃にはもう村の人口は十人ほどになっていたが、女性は何回も町から観光に来てくれていた。
彼の子供は町で生まれた。妻は未婚で、赤ちゃんが産まれると同時に、この村と町と両方で結婚式を挙げて結婚した。
彼女はしばらくこの村にいてくれたが、家計収入は村長の物だけでは足りなくなり、町に行って出稼ぎをすることになった。それ以来、もう五歳になる自分の子供の姿を、すっかり見ていない。
その上、職場で妻が苦労しているということを知って、村長は自分も町に行ったほうがいいのではないかと考えるようになった。この村を捨てて町に。
しかし、村長がそのことを書いた手紙を読んだ妻は、それに反対した。
「私が仲の悪い実家を追われ、この町にいられなくなった時に、頼れる場所は、もう、あの村だけだから」
そう言って、彼女は村を残しておいてほしいと切望した。
「勝手を言ってごめんなさい。 でもいつか、村にもう一度人が戻ってくることがあったなら、その時は私もあなたと一緒に暮らせるようになると思うから」
彼女は、そういった手紙をよこして、町で働き続けている。
彼の子供は町で生まれた。妻は未婚で、赤ちゃんが産まれると同時に、この村と町と両方で結婚式を挙げて結婚した。
彼女はしばらくこの村にいてくれたが、家計収入は村長の物だけでは足りなくなり、町に行って出稼ぎをすることになった。それ以来、もう五歳になる自分の子供の姿を、すっかり見ていない。
その上、職場で妻が苦労しているということを知って、村長は自分も町に行ったほうがいいのではないかと考えるようになった。この村を捨てて町に。
しかし、村長がそのことを書いた手紙を読んだ妻は、それに反対した。
「私が仲の悪い実家を追われ、この町にいられなくなった時に、頼れる場所は、もう、あの村だけだから」
そう言って、彼女は村を残しておいてほしいと切望した。
「勝手を言ってごめんなさい。 でもいつか、村にもう一度人が戻ってくることがあったなら、その時は私もあなたと一緒に暮らせるようになると思うから」
彼女は、そういった手紙をよこして、町で働き続けている。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
12
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる