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第十六章 ジャーマンアイリス
星の人の寝顔
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翌日の朝、エリクが目を覚ますと陽はまだ登っていなかったので、早朝であることがわかった。エリクの眠っていた隣のベッドを見ると、アースはまだ眠っていた。珍しいこともあるものだと寝顔を覗き込むと、いつもならすぐ気がつくのに深い眠りの中に入っていた。
「すごく疲れたんだ。早く気づけばよかった」
アースの髪は乱れていたので、整えてやると、アースの指が少しだけ動いた。それでもまだ眠っているので、エリクは安心して、アースの寝ているベッドに腰掛けて寝顔を覗き込んだ。
そして、一つのことに気がついた。
「アースさんて、キレイだけど、カワイイんだ」
エリクはそう言って笑った。その時、アースがそっと目を開けて、ニコニコしているエリクの顔を寝ぼけ眼で見た。
そして次の瞬間、飛び起きて、毛布で自分の顔の下半分を覆ったままエリクを見た。
「見たのか」
アースは顔を赤くしている。なぜなのかはわからないが相当恥ずかしがっている。エリクはそれを見てなんだかおかしくなってしまった。
「アースさんの寝顔は見たよ。可愛かった」
するとアースは、今度は頭から毛布をかぶって、震える声でこう言った。
「星の人の寝顔を見ると呪われるぞ」
それを聞いて、エリクはさらにおかしくなってしまった。アースが、自分の寝顔を見られて恥ずかしがっているのがなんだか楽しかったからだ。
エリクは、思わず大きな声で笑ってしまった。アースが毛布の隙間から目だけを出してこちらを見てくるので、余計おかしくなってしまった。
「ダメだよ」
笑い涙を拭きながらエリクはなんとか言葉を紡ぎ出した。
「余計可愛いよ」
エリクが腹を抱えて笑っていると、アースは諦めて毛布を脱いだ。エリクが笑いを止めると一緒に着替えた。
エリクは昨日とは打って変わって笑っている。幸いクロヴィスの怪我は大したことがなく、セベルに任せておくことができたので、それを知らない人間のケアが必要だった。
少々恥をかいたが、結果エリクが笑顔になったのだから、よしとしよう。
アースは少し笑って、エリクを見た。
「宿の人間がいないから、簡単な朝食を作るぞ」
嬉しそうな顔をしているエリクにアースはそう言った。そして、着替えを終えると宿の調理場へ向かった。
「すごく疲れたんだ。早く気づけばよかった」
アースの髪は乱れていたので、整えてやると、アースの指が少しだけ動いた。それでもまだ眠っているので、エリクは安心して、アースの寝ているベッドに腰掛けて寝顔を覗き込んだ。
そして、一つのことに気がついた。
「アースさんて、キレイだけど、カワイイんだ」
エリクはそう言って笑った。その時、アースがそっと目を開けて、ニコニコしているエリクの顔を寝ぼけ眼で見た。
そして次の瞬間、飛び起きて、毛布で自分の顔の下半分を覆ったままエリクを見た。
「見たのか」
アースは顔を赤くしている。なぜなのかはわからないが相当恥ずかしがっている。エリクはそれを見てなんだかおかしくなってしまった。
「アースさんの寝顔は見たよ。可愛かった」
するとアースは、今度は頭から毛布をかぶって、震える声でこう言った。
「星の人の寝顔を見ると呪われるぞ」
それを聞いて、エリクはさらにおかしくなってしまった。アースが、自分の寝顔を見られて恥ずかしがっているのがなんだか楽しかったからだ。
エリクは、思わず大きな声で笑ってしまった。アースが毛布の隙間から目だけを出してこちらを見てくるので、余計おかしくなってしまった。
「ダメだよ」
笑い涙を拭きながらエリクはなんとか言葉を紡ぎ出した。
「余計可愛いよ」
エリクが腹を抱えて笑っていると、アースは諦めて毛布を脱いだ。エリクが笑いを止めると一緒に着替えた。
エリクは昨日とは打って変わって笑っている。幸いクロヴィスの怪我は大したことがなく、セベルに任せておくことができたので、それを知らない人間のケアが必要だった。
少々恥をかいたが、結果エリクが笑顔になったのだから、よしとしよう。
アースは少し笑って、エリクを見た。
「宿の人間がいないから、簡単な朝食を作るぞ」
嬉しそうな顔をしているエリクにアースはそう言った。そして、着替えを終えると宿の調理場へ向かった。
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