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第十四章 花椒
すべての道はローマに通ず
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心の中の不安が増大して、体中に巡り、毒のように体を侵して調子を狂わせていく。さんざん悩んだ末に頭のなかが疲れて悲鳴を上げる。
その時点で皆がジャンヌの異変に気付けばよかった。しかし、彼女は皆の知らないところで無理をしていた。いつも平静を装っていたから、大丈夫だと思っていた。
ジャンヌは、強いから。
それは、周囲がジャンヌに対して行っていた、甘えだった。
「どうしたらいいのか、自分でも分からなくなってしまったのね」
地面にべったり座って、アースの肩に寄りかかっているジャンヌを見て、セリーヌがため息をつく。
「クロヴィスだけじゃない、私たち全員の問題だわ。ジャンヌ一人に背負わせていいものじゃなかった」
リゼットがうつむく。そこにはクロヴィスもいて、皆の中にいながら、ジャンヌの様子を見ていた。
「今は、助けが必要だ」
アースがそう言うと、皆は一斉に頷いた。なにをして、何をしないでいることがいいのか、何となくわかってきたからだ。
「ジャンヌ」
クロヴィスが、ジャンヌのほうに手を伸ばし、その頬に触れた。ジャンヌはそれを拒まなかった。
「まだ、お前にどう接したらいいかわからない。自分の気持ちがどこに行ってしまったかもわからない。だから、少し時間がほしいんだ。でも、俺は必ずジャンヌを迎えに来るから。助けに来る」
「いつ、来るの? あたしはいつまで待たなきゃいけないの?」
ジャンヌが、久しぶりに声を出した。しかし、クロヴィスは何も言えなかった。いつ、どこで、どうしたらいいのか具体的に分からなかったのだ。
すると、アースがそこでこう言った。
「全ての道はローマに通ず」
みんなが、アースを見た。聞きなれない言葉だったからだ。そこで、ナリアがこうフォローした。
「大帝国、ローマ帝国の支配地域の広さを物語った慣用句です。そうですね、全てはローマで決したほうがいいでしょう。ローマには、全てがあるのですから」
その時点で皆がジャンヌの異変に気付けばよかった。しかし、彼女は皆の知らないところで無理をしていた。いつも平静を装っていたから、大丈夫だと思っていた。
ジャンヌは、強いから。
それは、周囲がジャンヌに対して行っていた、甘えだった。
「どうしたらいいのか、自分でも分からなくなってしまったのね」
地面にべったり座って、アースの肩に寄りかかっているジャンヌを見て、セリーヌがため息をつく。
「クロヴィスだけじゃない、私たち全員の問題だわ。ジャンヌ一人に背負わせていいものじゃなかった」
リゼットがうつむく。そこにはクロヴィスもいて、皆の中にいながら、ジャンヌの様子を見ていた。
「今は、助けが必要だ」
アースがそう言うと、皆は一斉に頷いた。なにをして、何をしないでいることがいいのか、何となくわかってきたからだ。
「ジャンヌ」
クロヴィスが、ジャンヌのほうに手を伸ばし、その頬に触れた。ジャンヌはそれを拒まなかった。
「まだ、お前にどう接したらいいかわからない。自分の気持ちがどこに行ってしまったかもわからない。だから、少し時間がほしいんだ。でも、俺は必ずジャンヌを迎えに来るから。助けに来る」
「いつ、来るの? あたしはいつまで待たなきゃいけないの?」
ジャンヌが、久しぶりに声を出した。しかし、クロヴィスは何も言えなかった。いつ、どこで、どうしたらいいのか具体的に分からなかったのだ。
すると、アースがそこでこう言った。
「全ての道はローマに通ず」
みんなが、アースを見た。聞きなれない言葉だったからだ。そこで、ナリアがこうフォローした。
「大帝国、ローマ帝国の支配地域の広さを物語った慣用句です。そうですね、全てはローマで決したほうがいいでしょう。ローマには、全てがあるのですから」
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