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第五章 ブドウに宿る記憶
お肉を美味しくする方法
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ジャムがすべて出来上がり、みんなで協力して瓶に詰めてラベルを張ると、ナリアの持っていた大きな袋に詰めて、ナリアの持っている幌馬車に乗せてもらうことにした。ナリアは特に決まった行き先もなく、ふらりふらりと旅をしていたので、エリクたちに付き合うことができたのだ。
「それにしても、まさかあんなにできるなんてね」
ジャンヌが感心して幌の中の袋を見る。人一人がすっぽり入るくらいの袋の中の半分がジャムの瓶だ。
「これ、売るのに二、三日はかかるよね」
ジャムの数と日数を指折り数える。エリクはこうしているのがすごく楽しかった。幌馬車にはジャム以外にもいろいろなものが乗っていた。町で売るのだろうか、衣類が多いように見えた。
村を前にした最後の野宿で、ゼンテイカ一家とナリアたちは、何度目かの焚火を囲んだ。大きめの石を焚火より少し高く積んでそこに鉄板を乗せ、そこにエリクが狩ってきた野うさぎのバラ肉を乗せる。エリクは狩りの腕も肉をさばく腕もこの二、三日でずいぶん上げた。先にナイフを使いこなしていたジャンヌがびっくりするほどだ。
肉に塩コショウをして、ハーブを振りかけながら、ジャンヌはエリクがウサギの肉をさばくところを見た。今回狩ったウサギは大きかった。おそらくこの地方の兎は大きいのだろう。だから、肉も毛皮もたくさん採れた。
「白うさぎは乱獲で減ってしまっているので禁猟です。でも、この辺のウサギなら問題ありませんよ」
エリクが狩っていた珍しいウサギをセリーヌに見せた時、彼女はそう言って笑ってくれたので、皆が安心して食事にありつくことができた。
「これはこれで美味しそうだけど」
エリクが、ジャンヌが料理しているのを見て、少し考えこんだ。ジャンヌは、それを耳にして口を尖らせた。
「どうせクロヴィスやセリーヌみたいにはいきませんよ」
「いや、違うんだ」
エリクは、ジャンヌをなだめながら肉をさばくほうに手を戻した。
「ジャンヌの料理は十分美味しいよ。でも、もっとおいしくなる方法があるんじゃないかって思うんだ。ほら、切った肉って薄いでしょ」
「確かに、そうね」
ジャンヌは、肉を焼いていたトングで肉を挟み、それをよく見て香りをかいだ。よく食べるウサギ肉の香りと、少し違う。丸焼きにハーブで臭みを消して、ワインで香り付けをして照り焼きにしたものよりずっと、臭みがあった。
「ん、におい強い。ハーブは入っているよね。付いてるもん」
すると、リゼットが生のままのハーブの葉をどこからか取り出した。
「ジャンヌ、これ使ってみなさいよ」
「生ハーブ? しかもセージじゃん。こんなものどこに生えていたの?」
「それは気にしなくていいわ。さあ、早く。肉が焦げちゃうわよ」
ジャンヌは、半信半疑で生のセージをちぎって肉の中に入れてみた。セージのいい香りがあたりに満ちる。
「乾燥ハーブと生のハーブでは役割が違います」
ナリアが、にこにこと笑っている。この間の暗い話から一転して明るい話題になったのが嬉しかったのだろうか。
「セージの効果は、生のほうが出やすいのですよ。まだ残りは十分に摘んできていますから、あとで湯を沸かしてお茶にして飲みましょう。よく眠れるはずです」
「みんながよく眠ってしまったら、困りますわ、ナリアさん」
セリーヌが本当に困った顔で言うものだから、皆、吹き出してしまった。
「みんなが一度に飲むんじゃないんだ。安心しろ、セリーヌ」
セリーヌの肩を叩いて、クロヴィスは笑いをこらえていた。それを見たセリーヌは、顔を赤らめてもじもじしていた。その姿がいじらしかったのか可愛らしかったのか、ナリアがにこりと笑ってセリーヌを見た。
「ここ数日、こんな調子の皆さんのおかげで、わたくしもずいぶんと勉強になりました」
「ナリア様が、勉強に?」
リゼットは驚いて、ナリアを二度見した。
ナリアはにこにこと笑っていた。
「わたくしは少し、物事をシリアスに考えすぎていました。ちょうどいい加減と言うものを忘れていたのかもしれません。あなた方を見ていると、とてもバランスの取れた状態に自分がいるのだと、そう感じています」
「バランスのとれた状態ねえ、このカオスがねえ」
ジャンヌが、一度目の肉を降ろして二度目の肉を焼く。リゼットから生のセージを受け取ってはちぎって入れていく。
「わたくしはつい考えすぎてしまう癖があるのです。何も考えていないわけではない、けれども、余計なことは考えない。それがあなた方の強みだと、感じました」
「そうか」
クロヴィスが、答えた。ナリアの出した答えにまんざらでもなさそうだ。
「あんたと一緒にいられる時間もあとわずかだな。俺たちはこのまま南に向かう」
「存じております」
ナリアは、目を閉じた。
「あなた方に、この大地の祝福を」
ナリアは、目を開けた。その手には五つの宝石が生まれていた。どれも粒が大きく、立派なもので、ルビー、サファイア、エメラルド、ダイヤモンド、コーラルの五種類だった。ナリアはそれらをゼンテイカ一家の人々に一つずつ、渡していった。
「セリーヌ、あなたにはエメラルドを。知恵の必要な時に頼りになるでしょう。クロヴィス、あなたにはコーラルを。これはサンゴ、海の象徴。あなたのその経験と広い心を助け、よりそのすそ野を広げてくれることでしょう。ジャンヌ、あなたにはサファイアを。あなたは実はとても知的な人。それを誰よりも知るのはご家族の皆さんでしょう。それを伸ばし、育てて行ってください。リゼット、あなたにはルビーを。元気で明るく、家族の懐を握って、全体を見渡せる視野の広いあなたの力添えを。そして、エリク、あなたにはダイヤモンドを。何物にも染まらないあなたの心も立場も、すべてがまっさらなノートのようなもの。このまま何かに染まらないでいられるわけではありませんが、それがあなただと受け入れられる強さをお持ちなさい」
ナリアは、一言一言を添えながら、全員にその石を配っていった。そして、最後にこう言った。
「これらは本物ですが、決して売らないでくださいね」
リゼットとジャンヌは、びくりとした。そんな二人を見て、クロヴィスがふっと笑った。
「売ろうと企んでいたのか」
「だめだよ、せっかくいただいたものを売っちゃ」
エリクが追い打ちをかける。リゼットとジャンヌは弁明に忙しくなってしまった。そのうちにジャンヌが焼いていた肉から嫌なにおいがしてきた。
「焦げてる!」
ジャンヌは急いで肉を外して、鉄板を下ろした。なんとか火は大きくならなかったが、二回目に焼いた肉のほとんどがダメになってしまった。
「わたくしが注意を逸らせてしまいました」
ナリアは、そう言って肩を落とした。こういう時に星の人はどういった行動をとるのだろう。ゼンテイカ家では、こう言ったことは日常茶飯事だし、良く慣れていた。しかし、ナリアは違っていた。何事も当たり前にできてしまうから、いざというときの失敗をすぐに背負い込んでしまう。
「ナリアさん、シリアスになってる」
そんなナリアの顔を覗き込んだのは、エリクだった。
「ナリアさん、あなたも僕らと一緒にしばらく南に来ませんか。行く当てが決まっていないのなら、そうしましょう。そうすれば、ナリアさんがシリアスになりすぎない練習も、僕らと一緒にできるでしょう」
エリクの提案に、皆が黙ってしまった。ナリアに至ってはどうしたらいいのかわからなくなってしまっていた。そんなナリアの背を押したのは、彼女の夫のセベルだった。
「俺たちも手伝う。二世帯の大所帯になるけど、いいよな、エリク君」
エリクは、頷いた。
「もちろん」
すると、リゼットたちはエリクの突拍子のない行動にあきれ半分、感心半分でため息をついた。クロヴィスに至ってはもう諦めていた。
「エリクには逆らえないな。俺は構わない。ナリアさんがいれば助かるからな。ただ」
「ただ?」
エリクが不安そうに聞いてきた。クロヴィスは時々痛いところをついてくる。それがたとえ他人を傷つけることになろうとも関係なく真実をつく。それがクロヴィスのやり方なのだが、エリクからすれば少しそれが怖かった。
「クロヴィス」
不安そうにクロヴィスの名を呼ぶエリクに、クロヴィスは笑って答えてくれた。
「ナリアさん、目的は必ず達成してもらうからな」
「それにしても、まさかあんなにできるなんてね」
ジャンヌが感心して幌の中の袋を見る。人一人がすっぽり入るくらいの袋の中の半分がジャムの瓶だ。
「これ、売るのに二、三日はかかるよね」
ジャムの数と日数を指折り数える。エリクはこうしているのがすごく楽しかった。幌馬車にはジャム以外にもいろいろなものが乗っていた。町で売るのだろうか、衣類が多いように見えた。
村を前にした最後の野宿で、ゼンテイカ一家とナリアたちは、何度目かの焚火を囲んだ。大きめの石を焚火より少し高く積んでそこに鉄板を乗せ、そこにエリクが狩ってきた野うさぎのバラ肉を乗せる。エリクは狩りの腕も肉をさばく腕もこの二、三日でずいぶん上げた。先にナイフを使いこなしていたジャンヌがびっくりするほどだ。
肉に塩コショウをして、ハーブを振りかけながら、ジャンヌはエリクがウサギの肉をさばくところを見た。今回狩ったウサギは大きかった。おそらくこの地方の兎は大きいのだろう。だから、肉も毛皮もたくさん採れた。
「白うさぎは乱獲で減ってしまっているので禁猟です。でも、この辺のウサギなら問題ありませんよ」
エリクが狩っていた珍しいウサギをセリーヌに見せた時、彼女はそう言って笑ってくれたので、皆が安心して食事にありつくことができた。
「これはこれで美味しそうだけど」
エリクが、ジャンヌが料理しているのを見て、少し考えこんだ。ジャンヌは、それを耳にして口を尖らせた。
「どうせクロヴィスやセリーヌみたいにはいきませんよ」
「いや、違うんだ」
エリクは、ジャンヌをなだめながら肉をさばくほうに手を戻した。
「ジャンヌの料理は十分美味しいよ。でも、もっとおいしくなる方法があるんじゃないかって思うんだ。ほら、切った肉って薄いでしょ」
「確かに、そうね」
ジャンヌは、肉を焼いていたトングで肉を挟み、それをよく見て香りをかいだ。よく食べるウサギ肉の香りと、少し違う。丸焼きにハーブで臭みを消して、ワインで香り付けをして照り焼きにしたものよりずっと、臭みがあった。
「ん、におい強い。ハーブは入っているよね。付いてるもん」
すると、リゼットが生のままのハーブの葉をどこからか取り出した。
「ジャンヌ、これ使ってみなさいよ」
「生ハーブ? しかもセージじゃん。こんなものどこに生えていたの?」
「それは気にしなくていいわ。さあ、早く。肉が焦げちゃうわよ」
ジャンヌは、半信半疑で生のセージをちぎって肉の中に入れてみた。セージのいい香りがあたりに満ちる。
「乾燥ハーブと生のハーブでは役割が違います」
ナリアが、にこにこと笑っている。この間の暗い話から一転して明るい話題になったのが嬉しかったのだろうか。
「セージの効果は、生のほうが出やすいのですよ。まだ残りは十分に摘んできていますから、あとで湯を沸かしてお茶にして飲みましょう。よく眠れるはずです」
「みんながよく眠ってしまったら、困りますわ、ナリアさん」
セリーヌが本当に困った顔で言うものだから、皆、吹き出してしまった。
「みんなが一度に飲むんじゃないんだ。安心しろ、セリーヌ」
セリーヌの肩を叩いて、クロヴィスは笑いをこらえていた。それを見たセリーヌは、顔を赤らめてもじもじしていた。その姿がいじらしかったのか可愛らしかったのか、ナリアがにこりと笑ってセリーヌを見た。
「ここ数日、こんな調子の皆さんのおかげで、わたくしもずいぶんと勉強になりました」
「ナリア様が、勉強に?」
リゼットは驚いて、ナリアを二度見した。
ナリアはにこにこと笑っていた。
「わたくしは少し、物事をシリアスに考えすぎていました。ちょうどいい加減と言うものを忘れていたのかもしれません。あなた方を見ていると、とてもバランスの取れた状態に自分がいるのだと、そう感じています」
「バランスのとれた状態ねえ、このカオスがねえ」
ジャンヌが、一度目の肉を降ろして二度目の肉を焼く。リゼットから生のセージを受け取ってはちぎって入れていく。
「わたくしはつい考えすぎてしまう癖があるのです。何も考えていないわけではない、けれども、余計なことは考えない。それがあなた方の強みだと、感じました」
「そうか」
クロヴィスが、答えた。ナリアの出した答えにまんざらでもなさそうだ。
「あんたと一緒にいられる時間もあとわずかだな。俺たちはこのまま南に向かう」
「存じております」
ナリアは、目を閉じた。
「あなた方に、この大地の祝福を」
ナリアは、目を開けた。その手には五つの宝石が生まれていた。どれも粒が大きく、立派なもので、ルビー、サファイア、エメラルド、ダイヤモンド、コーラルの五種類だった。ナリアはそれらをゼンテイカ一家の人々に一つずつ、渡していった。
「セリーヌ、あなたにはエメラルドを。知恵の必要な時に頼りになるでしょう。クロヴィス、あなたにはコーラルを。これはサンゴ、海の象徴。あなたのその経験と広い心を助け、よりそのすそ野を広げてくれることでしょう。ジャンヌ、あなたにはサファイアを。あなたは実はとても知的な人。それを誰よりも知るのはご家族の皆さんでしょう。それを伸ばし、育てて行ってください。リゼット、あなたにはルビーを。元気で明るく、家族の懐を握って、全体を見渡せる視野の広いあなたの力添えを。そして、エリク、あなたにはダイヤモンドを。何物にも染まらないあなたの心も立場も、すべてがまっさらなノートのようなもの。このまま何かに染まらないでいられるわけではありませんが、それがあなただと受け入れられる強さをお持ちなさい」
ナリアは、一言一言を添えながら、全員にその石を配っていった。そして、最後にこう言った。
「これらは本物ですが、決して売らないでくださいね」
リゼットとジャンヌは、びくりとした。そんな二人を見て、クロヴィスがふっと笑った。
「売ろうと企んでいたのか」
「だめだよ、せっかくいただいたものを売っちゃ」
エリクが追い打ちをかける。リゼットとジャンヌは弁明に忙しくなってしまった。そのうちにジャンヌが焼いていた肉から嫌なにおいがしてきた。
「焦げてる!」
ジャンヌは急いで肉を外して、鉄板を下ろした。なんとか火は大きくならなかったが、二回目に焼いた肉のほとんどがダメになってしまった。
「わたくしが注意を逸らせてしまいました」
ナリアは、そう言って肩を落とした。こういう時に星の人はどういった行動をとるのだろう。ゼンテイカ家では、こう言ったことは日常茶飯事だし、良く慣れていた。しかし、ナリアは違っていた。何事も当たり前にできてしまうから、いざというときの失敗をすぐに背負い込んでしまう。
「ナリアさん、シリアスになってる」
そんなナリアの顔を覗き込んだのは、エリクだった。
「ナリアさん、あなたも僕らと一緒にしばらく南に来ませんか。行く当てが決まっていないのなら、そうしましょう。そうすれば、ナリアさんがシリアスになりすぎない練習も、僕らと一緒にできるでしょう」
エリクの提案に、皆が黙ってしまった。ナリアに至ってはどうしたらいいのかわからなくなってしまっていた。そんなナリアの背を押したのは、彼女の夫のセベルだった。
「俺たちも手伝う。二世帯の大所帯になるけど、いいよな、エリク君」
エリクは、頷いた。
「もちろん」
すると、リゼットたちはエリクの突拍子のない行動にあきれ半分、感心半分でため息をついた。クロヴィスに至ってはもう諦めていた。
「エリクには逆らえないな。俺は構わない。ナリアさんがいれば助かるからな。ただ」
「ただ?」
エリクが不安そうに聞いてきた。クロヴィスは時々痛いところをついてくる。それがたとえ他人を傷つけることになろうとも関係なく真実をつく。それがクロヴィスのやり方なのだが、エリクからすれば少しそれが怖かった。
「クロヴィス」
不安そうにクロヴィスの名を呼ぶエリクに、クロヴィスは笑って答えてくれた。
「ナリアさん、目的は必ず達成してもらうからな」
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