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第二章 ヒカリゴケ
新しい家族
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次の日、最も早く起きたのはエリクだった。彼は、まだ寝ている三人を順に起こしていき、朝食の準備を始めた。
まず、きのうジャンヌとクロヴィスが採ってきた木の実や果物を並べ、近くの沢から水を汲んできた。そのあと枯れ木の枝を集めて、ジャンヌに教わった方法である火打石での起こし方で火を起こした。ジャンヌの持っている火打石は、火を起こす専用のもので、大した技術も力も必要としない、素人用のものだった。だからエリクにも簡単に扱えた。
エリクが陽の焚き付けに使ったのは、自分がナイフの練習に使っている木の皮だった。取りすぎはいけない、そうジャンヌに教わったので、木へのダメージがない程度に削いで使っていた。森には幸いたくさんの木があったので、焚き付けには困らなかった。
火が付くと、その上に水を沸かして湯を沸かした。その湯の中に、母から持たされた調味料の小瓶から、一滴入れた。すると、いい匂いがあたりに立ち込めた。
昨日食べきれなかったウサギの肉をその中に入れて、ゆで上げる。すると、いい香りが肉に移り、まるで香草で焼いた肉のように仕上がっていった。
エリクがその料理の前で、仕上がりを待っていると、クロヴィスたちが起き上がってきた。
「エリク、これ本当にあんたが作ったの?」
仕上がった料理を見て、ジャンヌが口をあんぐりと明けた。他の三人もびっくりしている。
「うん。この汁も飲めるよ。ウサギ肉のいい出汁が出ているから。それとみんな、僕たちちょっと臭いよね」
「ま、まあ、そうだけど」
エリクに痛いところを突かれ、リゼットが自分のにおいをクンクンと嗅いだ。たしかに、野宿をしているせいか、服に煙や汗のにおいが染みついてしまっている。
「この先に沢があったんだ。きれいな滝つぼに水がたっぷり溜まっていたから、あとで皆で水浴びに行こう。その時に服も洗って干せばいいよ。ちょうど今日はきれいに晴れているから、森の出口付近で干せば乾くと思う」
その意見には、皆が同意した。
エリクの作ってくれた朝食をすぐに平らげると、四人は、沢のほうへとエリクについて下っていった。
沢の近くにある滝つぼに着くと、そこは光が届くきれいな場所だった。色とりどりの花が咲いていて、薄い緑の葉が水を受けて、陽の光にキラキラと輝いていた。
「こんな場所があったとはな。何度来てもこの森には発見があるんだな」
クロヴィスはそう言うと、滝つぼの周りを見て回った。
「まずは、私たちから入るわ。男性陣はお昼ご飯用の木の実や果物を探してきてね」
リゼットはそう言うと、さっさと服を脱ぎ始めた。すると、その姿をぼーっと見ているエリクの襟首を、クロヴィスが引いた。
「お前、あいつらからビンタでも食らいたいのか?」
「ビンタ?」
「ああ、そうだ」
そう言いながら、クロヴィスはエリクを女子から離すように沢の下流のほうへと移動した。
「お前はいつも牢屋の中で母親の着替えなんて当たり前に見てきただろうが、あいつらは見られることに慣れていない。女ってのは一応あれでも恥じらいってものがあるんだ」
「一応? 一応って言った?」
遠くから、リゼットの声が聞こえてきた。クロヴィスの声があんな場所まで届いていた。この森の沢はどうなっているのだろうか。それともただの地獄耳なのだろうか。
「おお怖。なんて地獄耳なんだあの嬢ちゃん。まあいい。とにかく、女が水浴びや湯あみをしている時に裸を見るのはご法度だ、いいな」
エリクは、なんとなく納得して頷いて応えた。そして、女子二人が水浴びをしている間に森の中を探検することにした。ただし、女子二人からそう離れることはできなかった。森の動物に襲われることのないように、お互い声を掛け合いながら見張りもかねての探検だったのだ。
女子の水浴びにはかなりの時間がかかった。下着だけを残して着ているものすべてを洗いながらだから、余計に時間がかかる。
その間、クロヴィスはエリクにいろいろなことを教えてくれた。食べられる木の実やキノコ、それに、この時期に実る果物で食べられるものはどんなものか。逆に、毒の入っているものや苦いもの、食用に向かないものも教えてくれた。そこら中に咲いている花や、森でしか見られない珍しい植物の名前もよく知っていて、まるでクロヴィスは植物の博士みたいだった。
女子の水浴びが終わり、二人が洗濯したものを抱えて出てくると、今度はクロヴィスとエリクが水浴びをする番になった。
「エリクには、驚かされることばっかりね」
洗濯物を木の枝に干しながら、リゼットがジャンヌに話しかけた。ジャンヌは、洗濯物の水をよく切りながら答えた。
「草原で倒れるくらい世間知らずだと思ったら、今朝みたいな朝食作っちゃうんだもんね。私にもあいつのことはよくわからない。それよりクロヴィスなんだけど」
「あいつね」
そう言って、二人はくすくすと笑った。
「昨夜はあんなこと言ったけれど、私もさすがに今思うと、笑えて来るわ。あの顔にあの服装で剣士でしょ。なのにアレって」
「うんうん。アレでしょ。これは、次の町には寄ってみるべきだね」
「少し寄り道になるけど、あいつの技量試すにはいい機会かもしれないわ。エリクには内緒みたいだし、そこでバラしてやるのもね」
そう言って、また二人はくすくすと笑った。そうしているうちに、男性陣が水浴びから上がってきた。洗濯物を抱えて、急いで女子二人のもとへやってくる。
「リゼット、ジャンヌ!」
エリクが息を切らしてやってきた。いったい何があったのだろう。
「どうしたの、エリク?」
ジャンヌが聞くと、エリクは二人の手を取って、滝つぼのほうへ向かっていった。
「いったいどうしたっていうの?」
困惑する二人を、エリクは、コケに覆われた、少し日陰にある岩のほうへ導いた。そこにはクロヴィスがいて、三人をその岩のほうへ誘った。
「これを見てみろ。一人一人な。この角度から見るといい」
クロヴィスは、苔の生えた岩の中にある、奥の岩を指さした。そして、自分のいた場所にまずジャンヌを誘った。
すると、ジャンヌは口に手を覆い、一言、すごい、と言いながら、リゼットに手招きをした。
リゼットは訝しく思いながらもジャンヌと場所を交代し、ジャンヌの指さすほうに目を凝らした。すると、次第に闇に慣れてくる目が、ある光を捉えた。
それは、わずかな日の光を反射してキラキラ輝く、小さな苔だった。
「これは」
思わず感嘆の声を上げるリゼットを見て、クロヴィスとエリクは頷きあった。
「ヒカリゴケだ」
クロヴィスは、そう言うと表情を今まで一番柔らかくして、笑った。
「俺も、この森で見るのは初めてだ。これは、太陽の光を反射して光る苔で、そうは見られない珍しいものなんだ。少しの日の光でもわずかな光の反射でも、存在感はかなりあるだろう」
三人は、その説明に納得して頷きあった。ヒカリゴケは美しかった。これは、エリクだけではなくジャンヌとリゼットからしても、初めての体験だった。
「あんたの気持ち、今なら少しわかる気がするな」
ジャンヌは、もう一度ヒカリゴケをよく見るために腰をかがめて岩の奥を見た。
「こんなに目立たない場所にあるのに、しっかり太陽を捉えてる」
そう言って、ジャンヌはクロヴィスに手を差し伸べた。握手を促す構えだ。
「リゼット、エリク、異論はないね?」
二人は、ジャンヌが何を考えているのか悟った。そして、二人とも異論はないと答えた。ジャンヌが、先を続ける。
「クロヴィス、あんたに、新しい家族ができて、それが、あたしたちみたいのだったら、どうする?」
すると、クロヴィスは、目に涙をためた。
「俺は、ずっと、憧れていた」
声が震える。涙が流れ落ちないように上を向いても、どうしても涙が止まらない。頬を伝う暖かい涙が心に染みた。
「血がつながっていても、冷たい家族に育てられ、家を出ても心配すらされなかった。なのに、血のつながっていないあんたらは、暖かく迎え入れてくれる」
クロヴィスは、そう言って、ジャンヌの手を取った。
「俺なら、新しい家族の一員になりたい」
そう、涙ながらに訴えたクロヴィスを、岩場にひっそりとたたずヒカリゴケは、そっと、見守っていた。
まず、きのうジャンヌとクロヴィスが採ってきた木の実や果物を並べ、近くの沢から水を汲んできた。そのあと枯れ木の枝を集めて、ジャンヌに教わった方法である火打石での起こし方で火を起こした。ジャンヌの持っている火打石は、火を起こす専用のもので、大した技術も力も必要としない、素人用のものだった。だからエリクにも簡単に扱えた。
エリクが陽の焚き付けに使ったのは、自分がナイフの練習に使っている木の皮だった。取りすぎはいけない、そうジャンヌに教わったので、木へのダメージがない程度に削いで使っていた。森には幸いたくさんの木があったので、焚き付けには困らなかった。
火が付くと、その上に水を沸かして湯を沸かした。その湯の中に、母から持たされた調味料の小瓶から、一滴入れた。すると、いい匂いがあたりに立ち込めた。
昨日食べきれなかったウサギの肉をその中に入れて、ゆで上げる。すると、いい香りが肉に移り、まるで香草で焼いた肉のように仕上がっていった。
エリクがその料理の前で、仕上がりを待っていると、クロヴィスたちが起き上がってきた。
「エリク、これ本当にあんたが作ったの?」
仕上がった料理を見て、ジャンヌが口をあんぐりと明けた。他の三人もびっくりしている。
「うん。この汁も飲めるよ。ウサギ肉のいい出汁が出ているから。それとみんな、僕たちちょっと臭いよね」
「ま、まあ、そうだけど」
エリクに痛いところを突かれ、リゼットが自分のにおいをクンクンと嗅いだ。たしかに、野宿をしているせいか、服に煙や汗のにおいが染みついてしまっている。
「この先に沢があったんだ。きれいな滝つぼに水がたっぷり溜まっていたから、あとで皆で水浴びに行こう。その時に服も洗って干せばいいよ。ちょうど今日はきれいに晴れているから、森の出口付近で干せば乾くと思う」
その意見には、皆が同意した。
エリクの作ってくれた朝食をすぐに平らげると、四人は、沢のほうへとエリクについて下っていった。
沢の近くにある滝つぼに着くと、そこは光が届くきれいな場所だった。色とりどりの花が咲いていて、薄い緑の葉が水を受けて、陽の光にキラキラと輝いていた。
「こんな場所があったとはな。何度来てもこの森には発見があるんだな」
クロヴィスはそう言うと、滝つぼの周りを見て回った。
「まずは、私たちから入るわ。男性陣はお昼ご飯用の木の実や果物を探してきてね」
リゼットはそう言うと、さっさと服を脱ぎ始めた。すると、その姿をぼーっと見ているエリクの襟首を、クロヴィスが引いた。
「お前、あいつらからビンタでも食らいたいのか?」
「ビンタ?」
「ああ、そうだ」
そう言いながら、クロヴィスはエリクを女子から離すように沢の下流のほうへと移動した。
「お前はいつも牢屋の中で母親の着替えなんて当たり前に見てきただろうが、あいつらは見られることに慣れていない。女ってのは一応あれでも恥じらいってものがあるんだ」
「一応? 一応って言った?」
遠くから、リゼットの声が聞こえてきた。クロヴィスの声があんな場所まで届いていた。この森の沢はどうなっているのだろうか。それともただの地獄耳なのだろうか。
「おお怖。なんて地獄耳なんだあの嬢ちゃん。まあいい。とにかく、女が水浴びや湯あみをしている時に裸を見るのはご法度だ、いいな」
エリクは、なんとなく納得して頷いて応えた。そして、女子二人が水浴びをしている間に森の中を探検することにした。ただし、女子二人からそう離れることはできなかった。森の動物に襲われることのないように、お互い声を掛け合いながら見張りもかねての探検だったのだ。
女子の水浴びにはかなりの時間がかかった。下着だけを残して着ているものすべてを洗いながらだから、余計に時間がかかる。
その間、クロヴィスはエリクにいろいろなことを教えてくれた。食べられる木の実やキノコ、それに、この時期に実る果物で食べられるものはどんなものか。逆に、毒の入っているものや苦いもの、食用に向かないものも教えてくれた。そこら中に咲いている花や、森でしか見られない珍しい植物の名前もよく知っていて、まるでクロヴィスは植物の博士みたいだった。
女子の水浴びが終わり、二人が洗濯したものを抱えて出てくると、今度はクロヴィスとエリクが水浴びをする番になった。
「エリクには、驚かされることばっかりね」
洗濯物を木の枝に干しながら、リゼットがジャンヌに話しかけた。ジャンヌは、洗濯物の水をよく切りながら答えた。
「草原で倒れるくらい世間知らずだと思ったら、今朝みたいな朝食作っちゃうんだもんね。私にもあいつのことはよくわからない。それよりクロヴィスなんだけど」
「あいつね」
そう言って、二人はくすくすと笑った。
「昨夜はあんなこと言ったけれど、私もさすがに今思うと、笑えて来るわ。あの顔にあの服装で剣士でしょ。なのにアレって」
「うんうん。アレでしょ。これは、次の町には寄ってみるべきだね」
「少し寄り道になるけど、あいつの技量試すにはいい機会かもしれないわ。エリクには内緒みたいだし、そこでバラしてやるのもね」
そう言って、また二人はくすくすと笑った。そうしているうちに、男性陣が水浴びから上がってきた。洗濯物を抱えて、急いで女子二人のもとへやってくる。
「リゼット、ジャンヌ!」
エリクが息を切らしてやってきた。いったい何があったのだろう。
「どうしたの、エリク?」
ジャンヌが聞くと、エリクは二人の手を取って、滝つぼのほうへ向かっていった。
「いったいどうしたっていうの?」
困惑する二人を、エリクは、コケに覆われた、少し日陰にある岩のほうへ導いた。そこにはクロヴィスがいて、三人をその岩のほうへ誘った。
「これを見てみろ。一人一人な。この角度から見るといい」
クロヴィスは、苔の生えた岩の中にある、奥の岩を指さした。そして、自分のいた場所にまずジャンヌを誘った。
すると、ジャンヌは口に手を覆い、一言、すごい、と言いながら、リゼットに手招きをした。
リゼットは訝しく思いながらもジャンヌと場所を交代し、ジャンヌの指さすほうに目を凝らした。すると、次第に闇に慣れてくる目が、ある光を捉えた。
それは、わずかな日の光を反射してキラキラ輝く、小さな苔だった。
「これは」
思わず感嘆の声を上げるリゼットを見て、クロヴィスとエリクは頷きあった。
「ヒカリゴケだ」
クロヴィスは、そう言うと表情を今まで一番柔らかくして、笑った。
「俺も、この森で見るのは初めてだ。これは、太陽の光を反射して光る苔で、そうは見られない珍しいものなんだ。少しの日の光でもわずかな光の反射でも、存在感はかなりあるだろう」
三人は、その説明に納得して頷きあった。ヒカリゴケは美しかった。これは、エリクだけではなくジャンヌとリゼットからしても、初めての体験だった。
「あんたの気持ち、今なら少しわかる気がするな」
ジャンヌは、もう一度ヒカリゴケをよく見るために腰をかがめて岩の奥を見た。
「こんなに目立たない場所にあるのに、しっかり太陽を捉えてる」
そう言って、ジャンヌはクロヴィスに手を差し伸べた。握手を促す構えだ。
「リゼット、エリク、異論はないね?」
二人は、ジャンヌが何を考えているのか悟った。そして、二人とも異論はないと答えた。ジャンヌが、先を続ける。
「クロヴィス、あんたに、新しい家族ができて、それが、あたしたちみたいのだったら、どうする?」
すると、クロヴィスは、目に涙をためた。
「俺は、ずっと、憧れていた」
声が震える。涙が流れ落ちないように上を向いても、どうしても涙が止まらない。頬を伝う暖かい涙が心に染みた。
「血がつながっていても、冷たい家族に育てられ、家を出ても心配すらされなかった。なのに、血のつながっていないあんたらは、暖かく迎え入れてくれる」
クロヴィスは、そう言って、ジャンヌの手を取った。
「俺なら、新しい家族の一員になりたい」
そう、涙ながらに訴えたクロヴィスを、岩場にひっそりとたたずヒカリゴケは、そっと、見守っていた。
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