詩集・風の刻印

るりさん

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詩集・空への伝言

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  手探りの明日に迷い込み
  雨にぬかるんだ地面に
  足を取られる
  転げ落ちた先には暗闇が
  手を伸ばし
  掴んだものは孤独

  あなたを愛し
  光を求めた雨の中
  降り止まぬ滴が
  肩を流れる
  確かにそこにあるのに
  気づかずにいた
  かすかな光
  手を伸ばして掴むと
  光が弾けた
  目の前には雨上がりの青空が

  太陽の光を
  拡散させた雲が割れる

  定められたその孤独さえ
  飲み込んだ光が
  君を照らす
  雨上がりの陽光が作り出す
  光と影

  大地は鮮明に色彩を映し
  君の瞳は稜線を捉える

  暗闇で助けを求め
  手を伸ばした僕に
  孤独に呑まれた僕の肩に
  君の手が触れて  
  闇は切り裂かれ
  君は微笑んだ 


  光は再び降り注ぎ
  埃をさらった水滴が
  大気に名残を残していった
  雨上がり
  水溜りを揺らす波紋が
  彩を得た光の腕を映しだした

  肩に触れた君の手は
  静かに
  青空に溶けて行った

  弓よ 
  艶やかな弓よ

  空に放つその矢は
  七つの光を添えて

  七つの罪を宙に突き刺す

  弓よ
  華やかな弓よ

  それは緩やかにしなり
  上昇する水滴を
  雲に還す

  弓よ
  晴れやかな弓よ

  はかなく消えるその姿
  やがて映すは
  人の心

  弓よ
  空の腕がかかげる矢を
  星から放つ弓よ

  七つの弓よ
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