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「憂国」三島由紀夫 感想

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「憂国」あらすじ
昭和11年2月28日、二・二六事件で蹶起をした親友たちを叛乱軍として勅命によって討たざるをえない状況に立たされた近衛歩兵一聯隊勤務の武山信二中尉は懊悩の末、自死を選ぶことを新婚の妻・麗子に伝える。すでに、どんなことになろうと夫の後を追う覚悟ができていた麗子はたじろがず、共に死を選ぶことを決意する。そして死までの短い間、夫と共に濃密な最期の営みの時を過ごす。そして、2人で身支度を整え遺書を書いた後、夫の切腹に立会い、自らも咽喉を切り、後を追う。









この話は、戦争とか日本がどうとかじゃなくて、ただの純愛。
そこに焦点を当てて読むのが一番心地いい。



戦時中とはいえ、二人きりの健康で旺盛な生活ぶりをもっと見たかったのに、もう死ぬの?!というあっけない心中の覚悟が切なかった。

その後の信二が首筋にキスするの所有感あってポイント高い。
妻のことを教育したみたいな言い振りなのが引っかかるが、それにしても愛はあったんだろうな。

しっかりと最後の営みするの大正解。
さらに、濡れ場が割とちゃんと長い。丁寧。
そして、この昭和時代にキスマークつける表現があるのほんと好き。

麗子が信二の腹を見て涙を流しながら口づけをするのと、その落ちる涙を肌でちゃんと感じてる信二はもう本当につらいから泣いた。
相手が死ぬことを、いずれ刃で突き刺す場所を、そんなふうに愛して泣くの、儚さで狂いそう。

セックス描写に関しては肉棒とか膣内とかの直接的な言葉が一切出てこないのにエロくて驚いた。
二人で一緒に、一息で頂きを登るって表現かっこいい。

最後はもう、ただただつらい。
切腹の描写が気持ち悪いとか読者から言われてるが、そんなの当たり前。腹切って本気で死ぬんやぞ。グロ耐性がない方にはまあお気の毒ですが…


そして、二人きりで幸せのまま死ぬ。
こんなの、究極の愛でしょ。




ちなみに…
三島由紀夫を初めて知ったのもこの作品でした。
濡れ場があると聞いただけで読んでみたけど、すごく満足できました。






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