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第一章
Re;try
しおりを挟む小動物の微かな足音が聞こえる。鳥の鳴き声から聞こえる。遠くの人の話し声にが聞こえる。
…‥‥‥‥‥‥‥‥…‥……………………………………………………………………。
意識が、覚醒する。
瞼をゆっくりと開けた。
淡い色の青空が見えた。
「あー…また変な夢見ちゃったよ…‥」
視線を空から地面に落とす。
「やっぱり、こんな所で寝てるからかな‥‥」
と、地面をコンコンと手で叩いた。
僕らが寝泊まりしている場所はじめーっとした路地裏。冷たいし、硬いし、汚いし、寝床としては最悪の場所だ。そりゃ、こんな所で寝てたら悪夢ぐらい見る………多分。
「ん‥‥あぁー‥‥いでででで‥‥‥」
伸びをすると、背中とか首が地味に痛む。
ほら、よくあるあれだよ、あれ。床みたいな硬い場所でうっかり長時間寝ちゃうと、起きた時に身体痛くなるじゃん。
「おっ、やっと起きたか!リュカ!」
ドタドタとこちらに走ってきた路地裏の同居人の一人、ロッタが言ってきた。
えっ、そんなに僕寝てたの?
「‥あー…ごめん」
「何だよ、また変な夢見たのか?」
と、ロッタが心配そうに覗き込んできた。
「うん、でも馴れたから、大丈夫。」
「マジかよ。お前、なんか呪われてるんじゃね?」
「いやいや、まさか」
「あはは、冗談だよ。ほら、早く準備しろ。今日も遅れた罰で、ただ働きさせられるのはごめんだ。」
僕は辺りを見渡して、一人居ない事に気づいた。
「ん?リーリエは?」
リーリエは同じく路地裏に住んでいるロッタの妹だ。
「あいつはお前が遅いから先行ったよ。」
「あぁ、そっか。良かった。」
「良かった、って?…………あぁ、魔女狩りね。大丈夫、大丈夫。リーリエは目も碧くないし、疑われる要素0だって!お前こそ目ェ碧いんだし気をつけろよ!」
ロッタが笑いながら言ってきた。
「だよね、僕の方が気をつけなきゃ。」
僕は荷物を持って立ち上がった。それを見て、ロッタは
「よぉーし今日も頑張るかぁー!」
そう言って僕と暗い路地裏から仕事場へと歩いて行った。
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