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その1
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熱く硬くなったものが私の縦に走っている割れ目に押し当てられていた。
「いやぁ……」
涙を流しながら首を横に振る。
けれど緑肌の鬼――ゴブリンは残虐そうに赤い瞳を細めて、忍び笑いを洩らし、腰を強く押し付けて来た。
がちがちに硬くなった肉の棒が、私の濡れそぼった肉を掻き分けながら中へと強引に押し入ってくる。
お、大きい……!
物凄い圧迫感だった。
こんなの、無理だよ。
入らないよ。
裂けちゃうよ。
「やめてぇ!」
私は逆らったけど、身体がとても熱っぽくて、だるくて、四肢が麻痺してしまったかのように力が入らなかった。
その上、右腕も左腕もがっちりと抑え込まれていて、ぴくりとも動かせなかった。勿論、両脚も腿を抱きかかえるようにして動きを封じられている。
ゴブリンの腰が大きく力強く動いた。
――ぁっ。
股の間を下から突き上げるように、お腹の中を通って脳天まで貫かれたような、強烈な衝撃に、視界が揺れ、吐息と共に声が洩れた。
(うぁ……う、嘘っ)
入って、しまった。
私のそこはゴブリンのそれを、ぬるりと咥え込んでしまっていた。
固い強烈な異物感が下腹部を圧迫していて、苦しい。けれど、ゴブリンは放心している私に構わず前後に激しく動き始めた。
私のピンと硬く尖ってしまっている胸の先もそれに合わせて大きく揺れ動いてゆく。
白い右の太腿の付け根と、白い左の太腿の付け根の間から、水気を帯びた独特な音が発生し洞穴内に響き渡ってゆく。
突かれ、掻きまわされる度に頭が真っ白になり、光が瞬いてゆく。
熱い肉の塊が私の中で前後に動く度に、身悶えする程に甘い快感が、私のお腹の奥から脳天までを突き抜けた。支配的なまでに大きな刺激を連続して浴びせ続けられ、私の意志に反して私の腰はくねるように動いてしまう。
な、んで、こんなっ?!
こんなの、おかしい。
どう、して。
響く水音。
激しく揺さぶられながら、呻く。
息が乱れ、呼吸が激しくなってゆく。
熱い。
涙が溢れてきて、視界が滲んでゆく。
私の中は私の意志に反して強く収縮し、ゴブリンの熱く、硬く、太いものに絡みついて、きつく搾り上げていた。
どうして。
そのペニスが動く度に、堪えきれぬ甘い感触が発生して、私の口から声が洩れてゆく。
「あっ、あっ、あんっ、ああっ!!」
甘さの混じった声だった。
こんなに怖くて、こんなにも屈辱的なのに。
キモチガイイ……!
身体から力がさらに抜けてゆく。
まるで抵抗できない。
成すがままに身体をゴブリン達によって引き起こされる。
気がつけば、馬の鞍に跨るように、私は両腿を広げてゴブリンの腰の上に跨る格好になっていた。
全身の力が入らないのに、激しく揺さぶられると、腰だけは堪えきれぬ甘い疼きに動いてしまう。
私の両手は後に回り込んでいるもう一匹のゴブリンに背中の後ろで抑え込まれていて、大きく弾む白い胸の片方がそのゴツゴツとした荒々しい手に強く掴まれて揉みしだかれていた。
「プリム……」
少年の声が響いた。
顔を向けると、倒れ伏している少年が顔を絶望に歪めて私を見ていた。
羞恥が頭から股の奥まで電撃のように走り抜けた。
頬にカッと熱が集まる。
同時に、目もくらむような甘い疼きが、揺れる動きに合わせて私を連続して激しく貫いてゆく。
性器が擦れる度に響く水音が強く激しくなってゆく。
視界が白く掠れてきた。
私は少年へと声を絞り出した。
「みっ、みないっ、でぇ……! ああんっ!!」
私は懇願したけれど、彼は私を見続ける。
ゴブリンに突かれながら身を反らせ、腰を卑猥に振っている私をじっと食い入るように見つめ続けている。
リオンが見てる。
私を、見てる。
さらに背後にいたゴブリンが脇の下から顔を出して、私の左胸の突起にかぶりついた。ぬめる舌先で敏感な乳首を舐めまわし音を立てて啜ってゆく。右手は右の胸の先端をつまんで強い刺激を与えてきた。その間も挿入しているゴブリンが激しく腰を動かして来る。
私の視界はゴブリン達の指が、舌が、腰が、嫌らしく動いて両乳首に刺激を与え、膣を掻きまわされる度に白く瞬いた。
熱い肉棒で奥の子宮の入口を突き上げられる度に甘く、甘く、気が狂いそうだった。
私の口からは絶えず甘い嬌声が洩れていて、身が、腰が迎合するようにくねってゆく。
リオンが弄ばれている私の大きな胸を見ている。
リオンがゴブリンと繋がっている私のあそこを見てる。
止まらなかった。
止まれなかった。
圧倒的な指と舌とペニスの甘さに我慢が出来ない。
身をくねらせ腰を振ってしまう。
「あうっ! ううっ! うっ! うあぁーーーっ!」
私は彼が見つめる中で悶え続け、騎乗するような姿勢で女陰の奥を突き上げられながら、中に熱い液体を注ぎ込まれ、白い胸を背後から手と舌で弄ばれ続けながら、絶頂した。
ゴブリン達は明らかに私の痴態を彼に見せつけてせせら笑っていた。
(どうして、こんな事に……)
白濁した意識の中、全身を痙攣させながら果てる。
私は暴力的な快感に叩きのめされていたけど、まだ終わりではなかった。
私がイッた後でもおかまいなしにゴブリン達は私を玩具にし続け、リオンが絶望した表情で、でも目を獣のように光らせて私を見ている。
堪えきれぬ刺激が全身を再び嵐のように巡ってゆく。
(どうして、こんな事に……)
私は涙を流しながら揉まれ、舐められ、突かれて腰を振り続け、抵抗できない快楽の前にイキ続けた。
切り裂かれて襤褸のようになりつつも、かろうじて私の身に纏わりついている神官衣だった布切れが、淫靡な液体で濡らされていった。
村の人間がはっきりと変事を知ったのは惨殺された家畜が現れてからだった。
バラバラにされて、身体の一部が持ち去られた牛の骸を農夫が発見したのだ。
それと同時に、森の方へと肉塊を持って移動してゆく二足歩行する矮躯の人型生物の姿も別の村人から目撃されていた。
「ゴブリンだ。ゴブリンは速やかに退治しなければならない。奴等は繁殖力が旺盛だ。早期に巣を潰さなければ鼠のように爆発的に増えてゆく」
村の集会場で、身体のおおきな中年の男の人が、集まった村の人達を前に勇ましく主張していた。
鍛冶屋のトーマスさんだ。
「しかし、危険だぞ。領主様にお伝えし、対処を任せるべきでは?」
猟師のカシムさんは心配そうだった。
「領主様は隣国との戦で遠征されておる。確かに館の留守居殿にお伝えはすべきだろう。だが、それでこちらに兵を回してくれると思うか?」
期待はできないんだろうなぁ、と私は思った。
「しかしだからといって我々で討伐するというのは――」
「ふん、ゴブリンごとき、何するものぞ!」
「馬鹿な。危険すぎる。甘く見て良い相手ではない」
「ではこのまま手をこまねいて放置するというのか。取り返しのつかん事になるぞ」
「今ならまだ潰せる!」
「だが――」
村の大人達が激しく言葉をかわしてゆく。
神官見習いの私プリムはというと集会場の片隅でぼんやりとそれを眺めていた。
神官様と一緒にこの会合に出席はしていたけど、十五歳で一応成人しているとはいえ歳も若く、回復魔法が一応使えるとはいえ実力もたいした事ない私に発言力なんてあんまりない。
発言するつもりもなかった。
私は神官様のおまけでこの場にいるだけの小娘な訳であるからして。
村の決定と師匠であり育ての親である神官様のお言いつけの通りにするだけなのだ。
そんな訳で熱い議論をかわしている村の年長者達を前に私は非常にヒマだった。
ふと視線を向ければ、カシムさんの弟子の猟師見習いのリオンも私と同じように暇そうにしていた。彼もカシムさんのおまけ的ポジションな小僧だもんね。
リオンは幼馴染の友人だ。同い年の男の子だけど背が小さくて線が細く、恰好によっては女の子のようにさえ見える。それ言うと本人気にしているらしくプリプリと怒り出すので言わないようにしている、のだけれど、内心カワイイなぁと思ってたりする、言わないけど。
見ていたらリオンも私へと視線を向けてきて目が合った。
なんとなくニコッと微笑んでみると、リオンの方はあいつ、なんと変顔してきた。無駄に美形な顔でやめろそれは。
危うく吹き出しそうになった。
こういう緊迫してる場でそういう事するのホント勘弁して欲しい。
口元を手で抑えて必死に声を洩らすのを堪えているとリオンは私を見て声を出さずに可笑しそうに笑っていた。おのれ。
我々がそんなアホな事やってる間にも年長者達は真面目な顔で議論をかわし続け、
「放置はできない。領主様はあてにできない。我々自らで村を守る為に討つしかない」
そういう結論を出したのだったけれど、
「戦力の小出しや出し惜しみは危険だ。この村で戦える者は全員が武器を手にとって向かうべきだろう」
……えっ?
ちょっと、私が予想していたのとは違う風向きになっていた。
外からの応援を待たず、村の皆でなんとかするというのはまぁそういう方向になる事もあるかもなぁとは思っていた。
だとしても、戦いに向かうのは神官様とか経験豊富な年長者達だけであって、私みたいなのは留守番役だと思ってたのだけれど。
「全員、というのは、このプリムもでしょうか?」
神官様が私の名を呼んだので私は背筋を伸ばして真面目な表情を作った。
するとトーマスさんは頷き。
「無論です神官様。プリムは若いが、既に魔法が使えるじゃないですか。回復魔法の使い手は一人でも多く欲しい。皆の生死を分ける」
実は何気に小娘の私の実力をトーマスさんは認めてくれてたらしいが、この場面ではあんまり嬉しくないぞ。
だってそれ討伐隊に参加してゴブリンの巣にいかなきゃならないって事じゃないか!
「ちょっと待ってくれトーマスさん」
リオンがぎょっとしたように言った。
「俺は良い。俺みたいな小僧でも村を守る役に立てるってんなら喜んで参加するさ。でも、ゴブリンはアレだぞ。プリムみたいなのを連れてくのは……こいつ一応、こんなでも若い女だし」
一応とかこんなで悪かったな。
トーマスさんはけれども、
「討伐隊が失敗するなり死傷者を多数出せばどの道、似たようなもんだ。この村の未来はお先真っ暗だ。この村で生きる以上、プリムだってそうだろ。それともプリム、この村を出ていくつもりでもあるのか?」
と言って、私へと視線を向けて来た。
私は首をぶんぶんと横に振った。生まれ育ったこの村を出ていく気なんてない。
「リオン、負けた時の事なんざ考えんな。全員でいけば相手はゴブリンだ。勝つに決まってる。後はどれだけ死傷者の数を減らせるかの問題なんだ。勝ったとしても、死人や不具者が多数でちまったらこの村はおしまいだ。完璧に圧倒して無傷で勝つしかないんだ。どうすればそれができる? 圧倒的に勝つ為には、使える手札は一気に全部切るべきだ。尻込みして出し惜しみすべきじゃねぇ。殺し合いで戦力を小出しにすんのはバカのやる事だ」
「それは……」
リオンは言い澱み。
「…………まぁそうだなぁ」
納得したようだった。
理屈を通されると頷いちゃうんだよねこいつ。
そんな弟子にかわってカシムさんが声をあげた。
「いやまぁトーマスよ、言いたい事はわかるがちょっと待て。プリムちゃんは不味いだろ。女の子だぞ、こんな可愛い」
「だが、確かに回復魔法は欲しいよな……死ぬかもしれんし……」
「神官様が使える」
「一人より二人だろうが」
オトナ達はその後も私を連れていくかいかないかで議論したが、賛成反対は拮抗して、決着がつかなかった。
そうして、とうとう、両陣営揃って私を見た。
「プリム……貴方は私の弟子で娘ですが、しかし、確かにもう十五歳、成人していましたね。ですから、私の一存で決めるのではなく、一個の村の人間として貴方に尋ねます。貴方は、どうしたいですか? 良く考えて、正直に答えてください」
神官様が私に尋ねて来る。
つまり、私がどうするか私の意志に任せるという事らしい。
正直にって言われても……
正直にって言われても……
そりゃゴブリンと戦いたくなんてないけれど、でも、もしかしたら確かに、戦いで死んじゃうかもしれない誰かが、私がいく事でもしかしたら助かるかもしれない可能性はあるよね……
ゴブリン相手だし取り越し苦労かもしれないけど、そういう可能性は確かにある……
うぅ。
うぅ。
うぅ……!
嫌だけど。
すんごい嫌だけど。
神官様やリオンや村の皆が死んじゃうかもしれないのはもっと嫌だし。
「……私も、行きます」
私は村の皆が見つめる中、頷いて、討伐隊への参加を表明したのだった。
「いやぁ……」
涙を流しながら首を横に振る。
けれど緑肌の鬼――ゴブリンは残虐そうに赤い瞳を細めて、忍び笑いを洩らし、腰を強く押し付けて来た。
がちがちに硬くなった肉の棒が、私の濡れそぼった肉を掻き分けながら中へと強引に押し入ってくる。
お、大きい……!
物凄い圧迫感だった。
こんなの、無理だよ。
入らないよ。
裂けちゃうよ。
「やめてぇ!」
私は逆らったけど、身体がとても熱っぽくて、だるくて、四肢が麻痺してしまったかのように力が入らなかった。
その上、右腕も左腕もがっちりと抑え込まれていて、ぴくりとも動かせなかった。勿論、両脚も腿を抱きかかえるようにして動きを封じられている。
ゴブリンの腰が大きく力強く動いた。
――ぁっ。
股の間を下から突き上げるように、お腹の中を通って脳天まで貫かれたような、強烈な衝撃に、視界が揺れ、吐息と共に声が洩れた。
(うぁ……う、嘘っ)
入って、しまった。
私のそこはゴブリンのそれを、ぬるりと咥え込んでしまっていた。
固い強烈な異物感が下腹部を圧迫していて、苦しい。けれど、ゴブリンは放心している私に構わず前後に激しく動き始めた。
私のピンと硬く尖ってしまっている胸の先もそれに合わせて大きく揺れ動いてゆく。
白い右の太腿の付け根と、白い左の太腿の付け根の間から、水気を帯びた独特な音が発生し洞穴内に響き渡ってゆく。
突かれ、掻きまわされる度に頭が真っ白になり、光が瞬いてゆく。
熱い肉の塊が私の中で前後に動く度に、身悶えする程に甘い快感が、私のお腹の奥から脳天までを突き抜けた。支配的なまでに大きな刺激を連続して浴びせ続けられ、私の意志に反して私の腰はくねるように動いてしまう。
な、んで、こんなっ?!
こんなの、おかしい。
どう、して。
響く水音。
激しく揺さぶられながら、呻く。
息が乱れ、呼吸が激しくなってゆく。
熱い。
涙が溢れてきて、視界が滲んでゆく。
私の中は私の意志に反して強く収縮し、ゴブリンの熱く、硬く、太いものに絡みついて、きつく搾り上げていた。
どうして。
そのペニスが動く度に、堪えきれぬ甘い感触が発生して、私の口から声が洩れてゆく。
「あっ、あっ、あんっ、ああっ!!」
甘さの混じった声だった。
こんなに怖くて、こんなにも屈辱的なのに。
キモチガイイ……!
身体から力がさらに抜けてゆく。
まるで抵抗できない。
成すがままに身体をゴブリン達によって引き起こされる。
気がつけば、馬の鞍に跨るように、私は両腿を広げてゴブリンの腰の上に跨る格好になっていた。
全身の力が入らないのに、激しく揺さぶられると、腰だけは堪えきれぬ甘い疼きに動いてしまう。
私の両手は後に回り込んでいるもう一匹のゴブリンに背中の後ろで抑え込まれていて、大きく弾む白い胸の片方がそのゴツゴツとした荒々しい手に強く掴まれて揉みしだかれていた。
「プリム……」
少年の声が響いた。
顔を向けると、倒れ伏している少年が顔を絶望に歪めて私を見ていた。
羞恥が頭から股の奥まで電撃のように走り抜けた。
頬にカッと熱が集まる。
同時に、目もくらむような甘い疼きが、揺れる動きに合わせて私を連続して激しく貫いてゆく。
性器が擦れる度に響く水音が強く激しくなってゆく。
視界が白く掠れてきた。
私は少年へと声を絞り出した。
「みっ、みないっ、でぇ……! ああんっ!!」
私は懇願したけれど、彼は私を見続ける。
ゴブリンに突かれながら身を反らせ、腰を卑猥に振っている私をじっと食い入るように見つめ続けている。
リオンが見てる。
私を、見てる。
さらに背後にいたゴブリンが脇の下から顔を出して、私の左胸の突起にかぶりついた。ぬめる舌先で敏感な乳首を舐めまわし音を立てて啜ってゆく。右手は右の胸の先端をつまんで強い刺激を与えてきた。その間も挿入しているゴブリンが激しく腰を動かして来る。
私の視界はゴブリン達の指が、舌が、腰が、嫌らしく動いて両乳首に刺激を与え、膣を掻きまわされる度に白く瞬いた。
熱い肉棒で奥の子宮の入口を突き上げられる度に甘く、甘く、気が狂いそうだった。
私の口からは絶えず甘い嬌声が洩れていて、身が、腰が迎合するようにくねってゆく。
リオンが弄ばれている私の大きな胸を見ている。
リオンがゴブリンと繋がっている私のあそこを見てる。
止まらなかった。
止まれなかった。
圧倒的な指と舌とペニスの甘さに我慢が出来ない。
身をくねらせ腰を振ってしまう。
「あうっ! ううっ! うっ! うあぁーーーっ!」
私は彼が見つめる中で悶え続け、騎乗するような姿勢で女陰の奥を突き上げられながら、中に熱い液体を注ぎ込まれ、白い胸を背後から手と舌で弄ばれ続けながら、絶頂した。
ゴブリン達は明らかに私の痴態を彼に見せつけてせせら笑っていた。
(どうして、こんな事に……)
白濁した意識の中、全身を痙攣させながら果てる。
私は暴力的な快感に叩きのめされていたけど、まだ終わりではなかった。
私がイッた後でもおかまいなしにゴブリン達は私を玩具にし続け、リオンが絶望した表情で、でも目を獣のように光らせて私を見ている。
堪えきれぬ刺激が全身を再び嵐のように巡ってゆく。
(どうして、こんな事に……)
私は涙を流しながら揉まれ、舐められ、突かれて腰を振り続け、抵抗できない快楽の前にイキ続けた。
切り裂かれて襤褸のようになりつつも、かろうじて私の身に纏わりついている神官衣だった布切れが、淫靡な液体で濡らされていった。
村の人間がはっきりと変事を知ったのは惨殺された家畜が現れてからだった。
バラバラにされて、身体の一部が持ち去られた牛の骸を農夫が発見したのだ。
それと同時に、森の方へと肉塊を持って移動してゆく二足歩行する矮躯の人型生物の姿も別の村人から目撃されていた。
「ゴブリンだ。ゴブリンは速やかに退治しなければならない。奴等は繁殖力が旺盛だ。早期に巣を潰さなければ鼠のように爆発的に増えてゆく」
村の集会場で、身体のおおきな中年の男の人が、集まった村の人達を前に勇ましく主張していた。
鍛冶屋のトーマスさんだ。
「しかし、危険だぞ。領主様にお伝えし、対処を任せるべきでは?」
猟師のカシムさんは心配そうだった。
「領主様は隣国との戦で遠征されておる。確かに館の留守居殿にお伝えはすべきだろう。だが、それでこちらに兵を回してくれると思うか?」
期待はできないんだろうなぁ、と私は思った。
「しかしだからといって我々で討伐するというのは――」
「ふん、ゴブリンごとき、何するものぞ!」
「馬鹿な。危険すぎる。甘く見て良い相手ではない」
「ではこのまま手をこまねいて放置するというのか。取り返しのつかん事になるぞ」
「今ならまだ潰せる!」
「だが――」
村の大人達が激しく言葉をかわしてゆく。
神官見習いの私プリムはというと集会場の片隅でぼんやりとそれを眺めていた。
神官様と一緒にこの会合に出席はしていたけど、十五歳で一応成人しているとはいえ歳も若く、回復魔法が一応使えるとはいえ実力もたいした事ない私に発言力なんてあんまりない。
発言するつもりもなかった。
私は神官様のおまけでこの場にいるだけの小娘な訳であるからして。
村の決定と師匠であり育ての親である神官様のお言いつけの通りにするだけなのだ。
そんな訳で熱い議論をかわしている村の年長者達を前に私は非常にヒマだった。
ふと視線を向ければ、カシムさんの弟子の猟師見習いのリオンも私と同じように暇そうにしていた。彼もカシムさんのおまけ的ポジションな小僧だもんね。
リオンは幼馴染の友人だ。同い年の男の子だけど背が小さくて線が細く、恰好によっては女の子のようにさえ見える。それ言うと本人気にしているらしくプリプリと怒り出すので言わないようにしている、のだけれど、内心カワイイなぁと思ってたりする、言わないけど。
見ていたらリオンも私へと視線を向けてきて目が合った。
なんとなくニコッと微笑んでみると、リオンの方はあいつ、なんと変顔してきた。無駄に美形な顔でやめろそれは。
危うく吹き出しそうになった。
こういう緊迫してる場でそういう事するのホント勘弁して欲しい。
口元を手で抑えて必死に声を洩らすのを堪えているとリオンは私を見て声を出さずに可笑しそうに笑っていた。おのれ。
我々がそんなアホな事やってる間にも年長者達は真面目な顔で議論をかわし続け、
「放置はできない。領主様はあてにできない。我々自らで村を守る為に討つしかない」
そういう結論を出したのだったけれど、
「戦力の小出しや出し惜しみは危険だ。この村で戦える者は全員が武器を手にとって向かうべきだろう」
……えっ?
ちょっと、私が予想していたのとは違う風向きになっていた。
外からの応援を待たず、村の皆でなんとかするというのはまぁそういう方向になる事もあるかもなぁとは思っていた。
だとしても、戦いに向かうのは神官様とか経験豊富な年長者達だけであって、私みたいなのは留守番役だと思ってたのだけれど。
「全員、というのは、このプリムもでしょうか?」
神官様が私の名を呼んだので私は背筋を伸ばして真面目な表情を作った。
するとトーマスさんは頷き。
「無論です神官様。プリムは若いが、既に魔法が使えるじゃないですか。回復魔法の使い手は一人でも多く欲しい。皆の生死を分ける」
実は何気に小娘の私の実力をトーマスさんは認めてくれてたらしいが、この場面ではあんまり嬉しくないぞ。
だってそれ討伐隊に参加してゴブリンの巣にいかなきゃならないって事じゃないか!
「ちょっと待ってくれトーマスさん」
リオンがぎょっとしたように言った。
「俺は良い。俺みたいな小僧でも村を守る役に立てるってんなら喜んで参加するさ。でも、ゴブリンはアレだぞ。プリムみたいなのを連れてくのは……こいつ一応、こんなでも若い女だし」
一応とかこんなで悪かったな。
トーマスさんはけれども、
「討伐隊が失敗するなり死傷者を多数出せばどの道、似たようなもんだ。この村の未来はお先真っ暗だ。この村で生きる以上、プリムだってそうだろ。それともプリム、この村を出ていくつもりでもあるのか?」
と言って、私へと視線を向けて来た。
私は首をぶんぶんと横に振った。生まれ育ったこの村を出ていく気なんてない。
「リオン、負けた時の事なんざ考えんな。全員でいけば相手はゴブリンだ。勝つに決まってる。後はどれだけ死傷者の数を減らせるかの問題なんだ。勝ったとしても、死人や不具者が多数でちまったらこの村はおしまいだ。完璧に圧倒して無傷で勝つしかないんだ。どうすればそれができる? 圧倒的に勝つ為には、使える手札は一気に全部切るべきだ。尻込みして出し惜しみすべきじゃねぇ。殺し合いで戦力を小出しにすんのはバカのやる事だ」
「それは……」
リオンは言い澱み。
「…………まぁそうだなぁ」
納得したようだった。
理屈を通されると頷いちゃうんだよねこいつ。
そんな弟子にかわってカシムさんが声をあげた。
「いやまぁトーマスよ、言いたい事はわかるがちょっと待て。プリムちゃんは不味いだろ。女の子だぞ、こんな可愛い」
「だが、確かに回復魔法は欲しいよな……死ぬかもしれんし……」
「神官様が使える」
「一人より二人だろうが」
オトナ達はその後も私を連れていくかいかないかで議論したが、賛成反対は拮抗して、決着がつかなかった。
そうして、とうとう、両陣営揃って私を見た。
「プリム……貴方は私の弟子で娘ですが、しかし、確かにもう十五歳、成人していましたね。ですから、私の一存で決めるのではなく、一個の村の人間として貴方に尋ねます。貴方は、どうしたいですか? 良く考えて、正直に答えてください」
神官様が私に尋ねて来る。
つまり、私がどうするか私の意志に任せるという事らしい。
正直にって言われても……
正直にって言われても……
そりゃゴブリンと戦いたくなんてないけれど、でも、もしかしたら確かに、戦いで死んじゃうかもしれない誰かが、私がいく事でもしかしたら助かるかもしれない可能性はあるよね……
ゴブリン相手だし取り越し苦労かもしれないけど、そういう可能性は確かにある……
うぅ。
うぅ。
うぅ……!
嫌だけど。
すんごい嫌だけど。
神官様やリオンや村の皆が死んじゃうかもしれないのはもっと嫌だし。
「……私も、行きます」
私は村の皆が見つめる中、頷いて、討伐隊への参加を表明したのだった。
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