忘れてよ

ゆき

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忘れてよ

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 「なんで俺をおいていったんだ。」
あなたはなんでそんなにも泣くの。目がはれてしまうのに。
 私は、あなたをおいていった。これから楽しいことが待っているというのに。
「ごめんね。」
私は言った。私はあなたのためにもう出来ることはないの。幽霊の私じゃあなたに触れない。それに話すことなんて。
「俺を連れて行ってくれ。」
あなたは私の写真を抱きしめながら言った。私はその光景を見ることしか出来ない。
「なんで私は先に行ったんだろう。」
私は後悔しか出来なかった。本当はあなたを励ましてあげたい。一緒にいたい。ご飯だって一緒に食べたい、お出かけだってしたい。なのに、何も出来ない。何も出来ないのは悔しいな。私は涙を流していた。そして触れることの出来ないあなたに触れようとした。
「ごめん、ごめんね。一緒にいられなくて。」
私は泣きながら謝った。
「俺は君と一緒にいたい。また会いたい。幽霊でもいいから会いに来てくれ。」
あなたは泣きながら言った。
「私はここにいるよ。見えないけどここにいるよ。」
私は必死にあなたの前に行って言った。
あなたはなぜこんなにも私のために泣いてくれるの。もう泣かないで。私はそう願った。私は思ってしまった。
私は、あなたにこんな思いをさせるために一緒に居たのではない。こんな思いをしてほしくはなかった。私はもうそろそろこの場を、あなたのもとをもう一度離れないといけない。
「あなたがこんな思いをするなら私のことを忘れてよ。ねえ、お願い。私あなたを悲しませるために一緒にいたんじゃないの。悲しむぐらいなら、私のことを忘れてよ。そして笑顔で暮らしてよ。お願い。」

   「私のことを忘れて。」

私は泣きながらあなたに言った。私は泣きながらあなたと離れようとしたとき
「君を忘れない。忘れないから。どこに行ったって君を探しに行くから。」
あなたは、泣きながら、私の方を見て言った。私はあなたのことを見ながら言った。
「待ってるから。」
私は泣きながらあなたのもとを離れた。
「あなたが笑顔で生きていけますように。」
あなたに聞こえないぐらいの声で言った
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