あっという間に読める物語集

ゆき

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さんぽ

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日が昇る前に僕は目を覚ました。薄暗い部屋の中で一カ所だけ明るいところがあった。僕は何故だろうと思い、歩み始めた時だった。後ろから
「止まれ!」と言う叫び声が聞こえた。
僕は驚いて立ち止まった。振り返ってみたら、そこには僕よりも少し大きな体をしたのがいた。
「誰ですか。」と僕は尋ねた。
「名前はない。」とだけ言った。すると、
「お前は名前があるのか」と質問された。けど、僕は答えなかった。いや、答えられなかったのだ。
「名前分からないんだろ。」と言われた。
僕は頷いた。
「まあ、当たり前だ。俺らは名前なんかつけられてない。だから、答えられるわけがない。意地悪して悪かったな。」と言った。「名前がない」そんなのことがあるのか、僕はそう思った。僕が悩んでいると、
「そうだな。俺たちはただ食べられるために生まれてきた。だから、名前なんかつけられてないと言うのが正しい。俺たちは3歩歩いたら、忘れる。それだけを忘れるなよ。そろそろ時間だ。日が昇るぞ。」
と言い、鳴いた。
僕は、それを見てすべてを思い出した。そして僕も「コケコッコー」と鳴くのであった。
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