一年に一度の恋を

ゆき

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一年に一度の恋を

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 7月7日は七夕である。天の川で織り姫と彦星が一年に一度だけ会うことが出来る。この二人のように僕たちも一年に一度だけしか会うことが出来ない。
 天の川が一番綺麗に見える時間に僕は決まった場所に行く。そこに行くと君はいた。
「久しぶり。」
と僕が声をかけると君は微笑みながら
「久しぶり。」
という。僕は君のもとに行くと君は
「会いたかった。」
という。
「僕も会いたかった。」
という。僕たちは、本当は会うことが許されない。その理由はお互い言うことが出来ない。だけどこの日、七夕だけは会うことが出来る。僕にとってはこの七夕だけでも会えることが嬉しい。僕と君は、近くにあるベンチに座った。君は僕を見ながら、
「あなたのことが好きだけど、結ばれることはない。」
君は悲しそうな顔をしながら言った。
「僕も君のことが好きだ。」
「ありがとう。」
君は言う。
「僕は毎年この七夕に君に恋をしている。」
僕がそう言うと君は、頬を赤くしながら、顔を隠した。僕は君の隣に行き、天の川を指さしながら
「織り姫と彦星が今年も会えたみたいだ。まるで僕たちのように。」
君は天の川を見た。しばらく天の川を見ていると、少しずつ天の川がなくなっている。それが僕たちの別れを告げる。
「もうそろそろ、帰らないと。」
君は悲しそうな声で言った。
「僕も。」
本当は君をこのまま帰したくない。君とまだいたい。そんな言葉は決して口に出すことは出来ない。だから僕は
「また、来年の七夕に会おう。」
という。
「うん。」 
君は、返事をして去って行った。僕は君を見送ると
「一年に一度だけしか出来ない恋か。」
とつぶやいた。


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