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猫又の落とし物3
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この猫又は、私の友達。
「猫又、私のことを覚えていたの?」
「そうだよ。いつまでたっても忘れることが出来なかったんだよ。あんな、楽しい日々を。」
なぜ忘れていたのだろうか。毎日のように遊んでいたのに。
小学生の頃、まだ探し屋をしてなかった私はこの神社に毎日遊びに来ていた。いつも決まってサンマの缶詰を持って。
「猫又ー。遊びに来たよ、一緒にサンマの缶詰を食べよう!」
「遅いよ、紅葉。待ちくたびれたよ。」
「ごめん、今日学校が長引いたから。」
「そっか、人間は学校に行かないといけないからね。」
「いいなー、猫又は学校に行かなくて。」
私は学校に行くのが嫌だった。学校に行くと猫又と遊ぶ時間が少なくなるからだ。
「人間はいいよ、目的があるから。それに比べて、妖は何にも目的がない奴が多いから暇で退屈だよ。」
「そうなんだ。」
この頃の私には妖の大変さが分からなかった。
「それより、サンマの缶詰!」
「そうだった!食べようか。」
「うん!」
いつもの日課でサンマの缶詰を食べて、いろいろな遊びをして帰った。こんなことを毎日繰り返していた。
中学校にあがると探し屋の手伝いをするようになって神社に来ることがなくなった。
それと同時に猫又の記憶もなくなっていった。
「ごめんね、猫又。猫又のことを今まで忘れた。」
「仕方ないよ。僕があげた鈴を落としているから。」
「探しているのって私が落とした鈴?」
「そうだよ、あの鈴には悪い奴らを避ける効果があるから探していたんだよ。他の奴が持つと効果がないし、元の持ち主にも悪いことが起きるから探していたんだよ。」
「だから、鈴をなくしてから悪いことが起きるようになったんだ。」
「川でなんかあったのもそのせいだよ。」
「そうか。」
「そんなことより早く探して、僕とまた遊ぼうよ!」
「うん!」
私たちは鈴探しを再開した。
「猫又、私のことを覚えていたの?」
「そうだよ。いつまでたっても忘れることが出来なかったんだよ。あんな、楽しい日々を。」
なぜ忘れていたのだろうか。毎日のように遊んでいたのに。
小学生の頃、まだ探し屋をしてなかった私はこの神社に毎日遊びに来ていた。いつも決まってサンマの缶詰を持って。
「猫又ー。遊びに来たよ、一緒にサンマの缶詰を食べよう!」
「遅いよ、紅葉。待ちくたびれたよ。」
「ごめん、今日学校が長引いたから。」
「そっか、人間は学校に行かないといけないからね。」
「いいなー、猫又は学校に行かなくて。」
私は学校に行くのが嫌だった。学校に行くと猫又と遊ぶ時間が少なくなるからだ。
「人間はいいよ、目的があるから。それに比べて、妖は何にも目的がない奴が多いから暇で退屈だよ。」
「そうなんだ。」
この頃の私には妖の大変さが分からなかった。
「それより、サンマの缶詰!」
「そうだった!食べようか。」
「うん!」
いつもの日課でサンマの缶詰を食べて、いろいろな遊びをして帰った。こんなことを毎日繰り返していた。
中学校にあがると探し屋の手伝いをするようになって神社に来ることがなくなった。
それと同時に猫又の記憶もなくなっていった。
「ごめんね、猫又。猫又のことを今まで忘れた。」
「仕方ないよ。僕があげた鈴を落としているから。」
「探しているのって私が落とした鈴?」
「そうだよ、あの鈴には悪い奴らを避ける効果があるから探していたんだよ。他の奴が持つと効果がないし、元の持ち主にも悪いことが起きるから探していたんだよ。」
「だから、鈴をなくしてから悪いことが起きるようになったんだ。」
「川でなんかあったのもそのせいだよ。」
「そうか。」
「そんなことより早く探して、僕とまた遊ぼうよ!」
「うん!」
私たちは鈴探しを再開した。
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