妖の落とし物探します

小豆洗いの落とし物1

　ある日の放課後
「ごめんください。」お店に誰かが来たようだ。
「はーい。」と返事をしてみると、そこには小豆洗いのじいさんがいた。
「どうしました、じいさん。また妖を連れてきたのですか。」たまに落とし物ではないものを持ってくる。そう、このじいさんは前回妖を連れてきたのだ。妖は落とし物ではないのに。ただ道に迷った妖を。
「今回は、違う。わしが落とし物を探してる。」真剣な顔で言った。
「…ふ。アハハハハ。本当に言っているの、じいさんが落とし物したの。」私は笑いながら言った。
「笑い事ではない。まずいのだ。あれがないとわしの意味がない。」と言った。
私はただ事ではないと思い聞いた。　
「で、じいさんは何を探してるの？」
「それは木のたらいだ。先祖から受け継いできたものだ。」
「たらいを落としたの。それがないと小豆洗いのじいさんの意味がないじゃない。たらいがないとただのじいさんになるよ。」
「だから探してくれと言ってるのだ。」
「分かりました。明後日までに探しておきましょう。では、また明後日。」
「よろしく頼むぞ。」そう言うと帰って行った。
「よし、探しに行きますか。」そう言いながら店を出ようとすると、後ろから声をかけられた。そこにはお兄ちゃんが立っていた。
「川に行くんだろ、気をつけろよ。最近、溺れかけたっていうことをよく聞いたからな。」
「分かってるって、気をつけるよ。じゃあ、行ってきます。」そう言って、私は店をあとにした。
「何もないと良いが。」と潤は紅葉に聞こえないぐらいの声で言った。

潤は、最後なぜあのような事を言ったのでしょうか。次回、紅葉は川に行きます。
お楽しみに。