恋の紹介

ゆき

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831

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  ある日突然、僕のスマホに君から連絡があった。そこには「831」とだけ打たれていた。僕はそれが何か分からなかった。またいつもの謎解きかと思い連絡を無視した。
出かけている時に知らない電話番号からかかってきた。僕は不思議に思いながら電話に出ると「〇〇君の電話で間違いないですか?」と女の人から聞かれた。
「はい、そうですが⬜︎のお母さんですか?」と聞いたことのある声で驚いた。
「いつも娘がお世話になっています。急ですみませんが、いまから病院に来ることは可能でしょうか?」と言われた。
「今すぐに行きます。どこの病院ですか?」と聞き、教えてもらった。病院に向かう途中、君に何かあったのかなどいろいろ考えた。こんな時に考える嫌な予感はいつも当たるどうか当たらないでくれそう願いながら僕は急いで君のいる病院に急いだ。
 
病院につくと、⬜︎の両親から声をかけられた。
「〇〇君」とお義父さんから声をかけられた。そして
「これから言うことを覚悟して聞いて欲しい。」と言われた。
「はい。」と言うとお義父さんは俯きながら
「⬜︎が亡くなった。」と言われた。今なんて言った。なんて言われた。⬜︎がなんだって。
「お義父さんもう一回言ってもらってもいいですか?」と僕は聞いた。
「⬜︎が亡くなった。今さっき、交通事故に巻き込まれてな。」と言った。
僕は信じられなくて
「会わせてもらえませんか?」と聞くとお義父さんは縦に首を振って歩き始めた。

お義父さんはドアの近くに立ち「ここだ。」と言った。僕がドアを開けるとお義母さんがいた。その近くにはベッドに横たわる君がいた。
お義母さんが僕に気づいて近寄ってきた。
「ごめんね。いきなり電話して。」と言った。その目には泣いた痕跡があった。
「大丈夫です。」と言うと
「⬜︎の近くに行ってあげて。」と言われた。近くに行くと君は寝ているようだった。君に声をかけた。
「なあ、起きろよ。いつもみたいに謎解きをして答えを言わないと起きないのか。なあ、起きてくれよ。」と言ったが君は目を覚さなかった。君の手を握り
「起きてくれよ。一緒に幸せになるんじゃ、なかったのかよ。なあ、起きてくれよ。」と声を張り上げながら言った。そんな僕の肩を⬜︎の両親が肩に手を添えてくれた。その肩の温もりに僕は声をあげて泣いた。
そこからは何も覚えていない。どう帰って、どう過ごしていたのか。
ただ、覚えているのは君の葬儀に参列したことだけだった。それだけだった。
 
 ある日、⬜︎の両親からご飯を食べないかと誘われ、⬜︎の実家に行った。⬜︎の両親はとても歓迎してくれて、優しくしてくれた。ご飯を食べ終わった時に、お義父さんから
「⬜︎が最後に〇〇君に送った数字はなんだ?」と聞いてきた。そういえば、何か送ってきていたなと思い出して、僕はスマホを見た。そこには「831」と書かれていた。僕もその数字を見て首を傾げた。その時「数字にはある意味が隠されているんだよ。」と君が言ったことを思い出した。僕はスマホで831と調べた。するとそこには「愛してる」と書かれていた。
僕はその言葉を見て泣き崩れた。僕も愛しているよって伝えたかった。これから先ずっと言えると思っていたから。そんなこと叶わないのに。それでも僕は「愛してる」と口に出して何回も言った。そんな僕の背中を⬜︎の両親は静かにさすってくれた。
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