もう一度会いたい

ゆき

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君にもう一度会いたい

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 桜が咲き誇るこの時期に君は空に帰った。その時僕は涙が出なかった。君がまた家のドアをおもいっきり開けて「ただいま!」って言って入ってくるのではないかと思ったからだ。
 僕は君が空に帰った日からご飯をろくに食べれなくなった。君と食べるご飯がとてもおいしかった。
ある日僕はついに倒れてしまった。目が覚めたときには病院のベッドの上にいた。
「あなた、部屋に倒れてた所を親御さんが見つけて病院に運んで来たんですよ。あと栄養失調になっていたので点滴をしてます。明日には退院出来ますのでそれまでは安静にしててください。」
お医者さんは説明をすると病室をあとにした。
その夜、僕は夢を見た。そこは桜の花びらがひらひらと散っていた。
「ねえ、私が死んでから行ってから何をしているの?まともにご飯を食べないで。」
そう言ったのは空に帰った君だった。
「ご飯を食べないで栄養失調になるなんて、馬鹿なのかな?私はあなたのことをおいて先に行ったことを後悔してるの。本当は桜の下で二人でピクニックしようと思ってたの、なのに私は君をおいて行ってしまった。すごく後悔してる。」
君は泣きそうになりながら言った。僕は君に抱きついた。
「ごめんね。もうそろそろ戻らないと。私からのお願い聞いてくれる?」
君は尋ねた。僕は「うん」と言った。
「まずはご飯をしっかり食べること。今回みたいなことがあったら怒るからね!次に桜の下でピクニックしてくれないかな?本当は二人でしたかったけど私はもう出来ないから、お願いね。最後。長生きをして私に思い出話をいっぱい持ってくること。これが私からのお願い。私は先に行って待ってるから、あなたはゆっくりしてから来てね。」 
そう言うと君の姿はもうなかった。
僕は、退院してから家に帰ってキッチンに行った。そして慣れない手つきでお弁当を作って桜が綺麗な丘に行った。
「ピクニックに来たよ。君からのお願い、守ったよ。」
そう言いながら僕はお弁当を食べた。気づいたら僕の頬に大粒の涙が流れていた。
僕は泣いた。君が空に帰った日から泣けなかった僕は今とても君に会いたくて泣いた。もう一度君に会いたい。そう願った。
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