涙を流す君は

ゆき

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一粒の涙を見る

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 僕は今、海にいる。何となく海に来たい気分だったから。僕は、のんびり砂浜で貝殻を拾っていた。拾っては歩いて拾っては歩いてを繰り返していた。
 一時歩いていると、ベンチに女の人が座っていた。髪は長く、白いワンピースを着ていた。
 僕は貝殻を拾う振りをしながらチラチラ、女の人の顔を見ていた。他の人が見たらきっと、僕は変な人に見えるだろう。
少し時間が経ち、女の人の顔を見ると涙を流していた。声を出さず静かに一粒の涙を。
「綺麗だ。」
心からそう思った。
僕は気になって声をかけた。
「大丈夫ですか?」
すると
「はい。少し疲れてしまって。」
女の人はそう言った。僕は
「少し横にいても良いですか?」
「はい。」
僕は女の人と海を眺めた。
 女の人がいきなり
「私と一緒にいて楽しいですか?」
と尋ねてきた。
「楽しいですよ。たまにはこうやって誰かと海を眺めるのも良いですね。」
微笑みながら言った。
「そうですね。」
女の人も微笑みながら言った。
 時間が経ち。僕はある決心をした。
「あの。まだあって少ししか経っていないけど、僕はあなたに一目惚れしました。泣いている姿を見て、綺麗だと思ってしまった。」
女の人は驚いた顔をした。当たり前だ。いきなり、横に座って告白されているのだから。
「出来れば僕と付き合ってくれませんか?」
女の人は悩んだ。そして、
「友達からでも良いですか?」
僕はすぐに
「はい!」
と子供のような返事をした。女の人は
クスッと笑った。
 僕と君の恋はここから始まった。
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