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何色を塗る
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手のひらに一輪の花がある。色のない花。周りの人の花には色がある。僕にはまだない。
「なあ、色を塗らないのか?」
友人が聞いてきた。
「ああ、まだ見つけてないんだ。」
僕はまだ、自分の合う色を見つけてない。だから、まだ色がないのだ。
「そうか、俺と一緒の赤色にしないか?」
友人がそう言ってくれた。
「ありがとう。けど、これは僕の決めることだから、自分で決めるよ。」
「なら、いいけど。またな。」
友人は手を振りながら、去っていた。
「ごめん、僕は自分で何色を塗るか決めたいんだ。」
僕は、まだ色のない花を持って歩いた。
行き先を決めていない僕は、海に着いていた。僕は近くにあった、椅子に座った。
「久しぶりに来たな。」
いつぶりだろうか。海に来たのは。僕はボーと海を眺めた。
「こんにちは。」
いきなり声をかけられ、僕は慌てて挨拶をした。
「こんにちは。」
そこには男の人が立っていた。
「お隣良いですか?」
男の人は尋ねてきた。僕は特に気にならなかったので、
「良いですよ。」
と返した。
「ありがとう。」
男の人は静かに隣に座った。
「君は花の色を決めたのかい?」
男の人は僕の花を見ながら、尋ねてきた。
「まだ、決めていません。」
「そうか。」
男の人は僕のことをじっと見て、
「私の花の色が気になるのかい?」
僕の考えていたことを聞かれた。
「えっ、何で分かったんですか?」
「そら、顔に書いているからね。」
僕は驚いた。顔に出ないようにしてたつもりなのに。
「私も君ぐらいのときは気になっていたよ。ここであったのも何かの縁だ。おじさんが何か話してるぐらいでいいから話を聞いてくれ。」
「分かりました。」
「花の色が何色でもその人はその人だから。その人が選んだ色ならば良いんじゃないかと思うんだ。ただし、花の色は他人が決めてはいけないと思っている。今の社会がそうだろ。この色になりなさい。この色はおかしい。そういう流れがあるだろ。」
男の人は社会への問題を口にした。
「そうですね。」
僕は、他人事ではないと思った。
「だから、君には自分で色を決めてほしい。何色でも良い。自分が良いと思う色になりなさい。」
男の人はそう言って、立ち上がった。
「私の花の色は、」
男の人は花を見せた。そこにあったのは色のない花だった。
「私は色のないことを選んだ。もし、自分がこの色を塗りたいと思うときまで。これが私の答えだ。では、さよなら。」
僕は、別にまだ色がなくても良いのだ。今すぐに色を塗らなくても良いと思った。僕は、ゆっくりと自分に合う色を探そう。
「なあ、色を塗らないのか?」
友人が聞いてきた。
「ああ、まだ見つけてないんだ。」
僕はまだ、自分の合う色を見つけてない。だから、まだ色がないのだ。
「そうか、俺と一緒の赤色にしないか?」
友人がそう言ってくれた。
「ありがとう。けど、これは僕の決めることだから、自分で決めるよ。」
「なら、いいけど。またな。」
友人は手を振りながら、去っていた。
「ごめん、僕は自分で何色を塗るか決めたいんだ。」
僕は、まだ色のない花を持って歩いた。
行き先を決めていない僕は、海に着いていた。僕は近くにあった、椅子に座った。
「久しぶりに来たな。」
いつぶりだろうか。海に来たのは。僕はボーと海を眺めた。
「こんにちは。」
いきなり声をかけられ、僕は慌てて挨拶をした。
「こんにちは。」
そこには男の人が立っていた。
「お隣良いですか?」
男の人は尋ねてきた。僕は特に気にならなかったので、
「良いですよ。」
と返した。
「ありがとう。」
男の人は静かに隣に座った。
「君は花の色を決めたのかい?」
男の人は僕の花を見ながら、尋ねてきた。
「まだ、決めていません。」
「そうか。」
男の人は僕のことをじっと見て、
「私の花の色が気になるのかい?」
僕の考えていたことを聞かれた。
「えっ、何で分かったんですか?」
「そら、顔に書いているからね。」
僕は驚いた。顔に出ないようにしてたつもりなのに。
「私も君ぐらいのときは気になっていたよ。ここであったのも何かの縁だ。おじさんが何か話してるぐらいでいいから話を聞いてくれ。」
「分かりました。」
「花の色が何色でもその人はその人だから。その人が選んだ色ならば良いんじゃないかと思うんだ。ただし、花の色は他人が決めてはいけないと思っている。今の社会がそうだろ。この色になりなさい。この色はおかしい。そういう流れがあるだろ。」
男の人は社会への問題を口にした。
「そうですね。」
僕は、他人事ではないと思った。
「だから、君には自分で色を決めてほしい。何色でも良い。自分が良いと思う色になりなさい。」
男の人はそう言って、立ち上がった。
「私の花の色は、」
男の人は花を見せた。そこにあったのは色のない花だった。
「私は色のないことを選んだ。もし、自分がこの色を塗りたいと思うときまで。これが私の答えだ。では、さよなら。」
僕は、別にまだ色がなくても良いのだ。今すぐに色を塗らなくても良いと思った。僕は、ゆっくりと自分に合う色を探そう。
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