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13話

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その後もゲームは続き、夏樹も残念ながら途中で出せるカードが無くなってしまい負けが確定する。残るは俺と先生の戦いとなった。今回のゲームではパスは各々三回までと決めてある。お互いに手元のカードは残り一枚。空いているのはクローバーの一と二で、俺がクローバーの一を持っていた。

 パスを使い切っちゃったけど、なんとか乗り切れたな。先生はあと一回残ってるんだっけ?  今更関係ない話か。

 悔しいが今回の勝負は先生が一番のようだ。まぁ、途中でリタイアとならなかっただけいいとするか。

 「先生の番ですよ」

 「あ、そうだな。……パスだ」

 「は!?」

 「ん?」

 あまりに予想外な行動に唖然とする俺の顔を見る先生。今聞き間違えでなければ、この人この局面でパスと言わなかったか。いや、先生が持っているそのカード、確実にクローバの二なんだから出せるはずじゃん!

 そんな俺に電撃が走った。

 こ、この人わざと全員破産させて途中でリタイアさせる気だ! 悪鬼のような戦法に俺の手は震えるが、こちらに残されている手はない。潔く負けを認めるしかなかった。

 「俺の……負けです……」

 「いやー、そうか、そうか。では私が一番だな」

 この女王様め。なんだか先生が結婚できない理由の一端を垣間見た気がした。

 「というか先生、こんなところで遊んでいていいんですか? それとも年齢に比例して休憩が増える校則でも——」

 直後俺の鳩尾に目にも止まらぬ速さで、先生の拳が突き刺さる。そのまま膝から崩れ落ちた。

 この暴力教師!  でも昨今生徒への体罰が問題になる中で、このためらいのなさは逆にすごい。


そこへ手洗いから帰ってきた梓が合流する。

 「決着ついたみたいですね?  誰が一番でした?」

 「私だ。熊谷の仇は取っておいたぞ」

 仇って、あんたハートの十持ってたじゃん。だが、何も知らない梓は喜びの声をあげる。

 「ありがとうございます。だから龍がダウンしているんですね」

 「いや、それとこれとは関係ない気が……」

 夏樹のフォローは俺以外の二人の耳には欠片も入らない。

 「それから小島。さっきの話だが遊んでいるわけじゃないぞ、私は。このように立ち振舞っているのには、きちんと理由があるのだよ。君たち三人は今の教師に関する問題を知っているかい?」

 そんなのは簡単だ。俺は光の速さで頭に浮かんだ答えをそのまま口に出す。

「この高校に暴力教師がい——、ゴフッ!」

 言葉の途中で再びノックアウトされる。もう殴られたくない。レフェリー、頼むから今すぐにテンカウントをとってくれ!
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