妄想

双華 シンジ

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 俺は在宅ワーカー。ボトルコーヒーを片手に、パソコンの前に張り付いてキーボードを鳴らす。普通の会社員と違い、髭の手入れなど必要ない。天パのボサボサ髪でも誰も見ない。アパートの一室で、キーボードの音だけが響く、俺以外誰もいない。それがいい、気楽でいいい。下がった眼鏡を上げなおす、こんなに静かな部屋だとやはり集中できる。
 できるんだが、こんなに静かな部屋だからこそ時々妄想が始まってしまうことがある。仕事中に空き巣が入ってきたらどうしよう。
「パリーン!」
その空き巣犯が知人だったらどうしよう。
「お、おいお前田沢じゃねえか!おい!聞いてるか?」
その知人が突然肥大化した食虫植物に食べられたらどうしよう。
「うわああああああああ!た、助けてくれ!田沢あああ!」
なんて妄想が膨らむ。まあこれは現実だけどね。さあてこの血痕の隠蔽をしなければ。
「お前って食費がかかるなあ。」
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