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第一部【蠢く敵】
絶望を緩和するためには…あいつを殺めるしか、術はない
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──闇夜に響く断末魔。
それは、にわかには信じがたい悪夢…
ひとりの青年が、室内で何者かに殺された。
犯人は、彼を殺めてすぐに、闇に身を投じつつも嘲笑い、姿を消す。
…その体温が徐々に床と同じになる頃…
その場に、息せききって走り込んで来た少年がいた。
…少年は、血まみれの床に倒れている者を見るなり、その異常に気付き、青ざめた顔もそのままに声をあげた。
「!? ──父さん!?」
少年は父親に駆け寄り、血で自らが汚れることも厭わずに、その体を起こした。
もはや力が入らなくなった体は、ただ地に引かれ、がくん、と、首が落ちる。
…その頭をそっと支え、少年は静かに、その存在を確認するかのように呟く。
「──父…さん…?」
…父親は答えない。
「…とう…さん…」
…もはや父親は…答える術を持たない。
「──とう…さ…」
繰り返し、
ただひたすら繰り返し…
一頻り、返事を求めてそれを続けた果てに。
ついに、もはやその口が永遠に開かれることのない事実を悟った少年は…
その時になって初めて…
…声を限りに慟哭した。
それは、にわかには信じがたい悪夢…
ひとりの青年が、室内で何者かに殺された。
犯人は、彼を殺めてすぐに、闇に身を投じつつも嘲笑い、姿を消す。
…その体温が徐々に床と同じになる頃…
その場に、息せききって走り込んで来た少年がいた。
…少年は、血まみれの床に倒れている者を見るなり、その異常に気付き、青ざめた顔もそのままに声をあげた。
「!? ──父さん!?」
少年は父親に駆け寄り、血で自らが汚れることも厭わずに、その体を起こした。
もはや力が入らなくなった体は、ただ地に引かれ、がくん、と、首が落ちる。
…その頭をそっと支え、少年は静かに、その存在を確認するかのように呟く。
「──父…さん…?」
…父親は答えない。
「…とう…さん…」
…もはや父親は…答える術を持たない。
「──とう…さ…」
繰り返し、
ただひたすら繰り返し…
一頻り、返事を求めてそれを続けた果てに。
ついに、もはやその口が永遠に開かれることのない事実を悟った少年は…
その時になって初めて…
…声を限りに慟哭した。
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