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序章 始まりの町
第5話 工夫
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アルト含むドラゴンナイツの面々はゴーレムが出現したというダンジョンにやってきた。同行している冒険者たちの活躍によって、道中モンスターと戦闘になることはなく、一切消耗することなくダンジョンの奥まで進むことができた。さすがに奥のほうでは何度か戦闘になってしまったが、ライムとギッツの二人だけで難なく討伐していくので、後衛の二人とアルトは特に疲労も感じずに進み続けられた。
ダンジョンをどんどん進んでいくと、激しい戦闘があったのか、人間の血の跡やゴーレムの破片、ポーションの瓶などが転がっているのが見えた。おそらく、これが救難信号を出したパーティーとゴーレムの痕跡だろう。五人はその痕跡をたどり、さらに奥へと進んでいく。
そうしてかなり進んだところで、金属が激しくこすれあう音が通路に響いてきた。アルトとライムは三人を少し後ろに待機させ、その音の発生源を探りに行く。忍び足で進んでいった先には、そこそこの広さの空間が広がっており、そこでアルトよりも少しばかり小柄な女の子が身の丈に合わないような大剣を用いてゴーレムの攻撃をいなし続けていた。よく目を凝らしてみると、その少女の後ろには負傷して動けなくなってしまった冒険者たちが倒れており、彼らを庇いながら戦っているようだった。
アルトはメリッカを呼び、ゴーレムの頭部に照準を合わせてもらう。
「さっき話し合った作戦は一度忘れてください。メリッカさんがリーパーを撃つと同時に僕とライムさんが彼女と戦闘を交代します。その間にギッツさんは可能な限り早く倒れている冒険者を救出してきてください。アイラさんは彼女を回復してあげてください。特に眼を重点的に。」
「「「「了解」」」」
アルトが作戦を説明すると、それぞれが指示通りに動く準備をする。メリッカはほかのメンバーが準備できたのを確認すると、すぐにリーパーの引き金を引く。それと同時にライムは刀を抜きながらゴーレムと少女の間に割って入り、アルトはその上空からゴーレムの駆動部にダメージを与える。少女はもう後退する体力もなかったようで、ライムとアルトが割って入った瞬間に倒れこんでしまった。アルトは少し乱暴なやり方ではあったが、操空の指輪で彼女をアイラのところまでゆっくりと飛ばした。
ギッツも倒れていた三人を一気に担いで通路まで後退させる。それを確認してライムとアルトはゴーレムと距離をとった。
「ライムさん、こいつはただのゴーレムじゃないです。ゴーレムの上位互換、アイアンゴーレムです。」
「ああ、装甲が土ではなく金属でできているな。その証拠に、さっきリーパーを頭に喰らったはずなのにもかかわらず全く止まる気配がない。」
ライムはアイアンゴーレムの少しだけへこんだ頭部を見ながら苦笑いする。
「アルト君、何かアイデアは無いかい?」
「いろいろと試してみたいことがあるのでしばらく一人で戦ってみますね。」
アルトはそう言って操空の指輪を起動する。風を背中に受けながら一直線にゴーレムへと向かっていく。一瞬でゴーレムの間合いまで入っていったアルトは当然ゴーレムの猛攻に襲われる・・・
はずだった。
突然ゴーレムの目前で跳びあがったかと思うと、まるで空気を蹴るようにして空中でその軌道を変えた。あっという間にゴーレムの背後を取り、振り返りながら炎をまとわせた剣で首を切りつける。剣の炎はゴーレムにまとわりつき、あっという間にゴーレムを包み込む。
「アイアンゴーレムが融けるまで燃やし続けるのかい?」
「もしそれだけで倒せるのであればこのまま放置します。ですが、やはり簡略化した付与魔法で生み出せる炎の火力ではあの装甲を溶かすには至らないと思います。なので、炎が消えた瞬間にとどめを刺しに行こうかと…」
アルトがそう言っている間にゴーレムを包んでいた炎が消える。部分的に赤熱している部分もあったが、やはり溶かすには至っていなかった。しかしアルトは気にもせず、ゴーレムに向かって駆けていく。そして今度は氷を纏った剣で赤熱している部分を切りつける。
氷はどんどんゴーレムを包み込むようにして広がっていき、ゴーレムの動きを止めるに至った。
「アルト君、君は今何をしたんだい?」
「見ての通り、熱して冷やしました。ゴーレムは確かに硬くて丈夫ですが、それはあくまで装甲の話で、中身のほうを攻撃してしまえば簡単に無力化できるんですよ。」
そういいながら動かなくなってしまったゴーレムを横倒しにする。手早くゴーレムの首と肩の間あたりにあるネジを外してその内部をみんなに見せる。
「へぇ、ゴーレムってただの塊が動いてるだけかと思ってたけど、なんかすごい機械的だね。」
「そうなんです。ゴーレムが二本の足で立ったり走ったりできるのもすべてこの基盤が機能しているからなんです。さすがに全部を付与魔法で何とかしようとすると、消費魔力がとんでもないことになってしまうので、こういった複雑なものは魔導基盤を組み込むんですよ。」
「それは分かったが、なぜゴーレムは動きを止めてしまったんだ?見たところその基盤には故障は見当たらないのだが…」
ギッツがゴーレムの基盤を持ち上げながらアルトに問いかける。するとアルトはギッツの持っている基盤の中からガラスの部品をいくつか取り外して見せる。
「よーく見てみてください。このパーツはすべて割れているでしょう?この部品は魔力の循環する量を制御するためのものなんですけど、熱にめっぽう弱いんです。ガラスって、一瞬で大きな温度変化させるとすぐに割れちゃうんですよ。俺はこの部品にダメージを与えられないかな?と思ってさっきの攻撃をしたんです。」
「なるほど、俺達にはない考え方だな。君が来てくれて本当によかったよ。聞きたいことはまだまだあるが、とりあえずこのダンジョンを出ようか。」
アルトは一旦ゴーレムを収納の魔道具に入れ、ギッツと一緒に負傷者を外まで連れて行った。ダンジョンを出るまでの間はライムとメリッカが護衛をしてくれたため安全にダンジョンを出ることができた。
ダンジョンを出るまでの間、アイラはずっと少女の治療をしてくれていたのだが、町に戻るまでの間彼女は一切目を覚まさなかった。
ダンジョンをどんどん進んでいくと、激しい戦闘があったのか、人間の血の跡やゴーレムの破片、ポーションの瓶などが転がっているのが見えた。おそらく、これが救難信号を出したパーティーとゴーレムの痕跡だろう。五人はその痕跡をたどり、さらに奥へと進んでいく。
そうしてかなり進んだところで、金属が激しくこすれあう音が通路に響いてきた。アルトとライムは三人を少し後ろに待機させ、その音の発生源を探りに行く。忍び足で進んでいった先には、そこそこの広さの空間が広がっており、そこでアルトよりも少しばかり小柄な女の子が身の丈に合わないような大剣を用いてゴーレムの攻撃をいなし続けていた。よく目を凝らしてみると、その少女の後ろには負傷して動けなくなってしまった冒険者たちが倒れており、彼らを庇いながら戦っているようだった。
アルトはメリッカを呼び、ゴーレムの頭部に照準を合わせてもらう。
「さっき話し合った作戦は一度忘れてください。メリッカさんがリーパーを撃つと同時に僕とライムさんが彼女と戦闘を交代します。その間にギッツさんは可能な限り早く倒れている冒険者を救出してきてください。アイラさんは彼女を回復してあげてください。特に眼を重点的に。」
「「「「了解」」」」
アルトが作戦を説明すると、それぞれが指示通りに動く準備をする。メリッカはほかのメンバーが準備できたのを確認すると、すぐにリーパーの引き金を引く。それと同時にライムは刀を抜きながらゴーレムと少女の間に割って入り、アルトはその上空からゴーレムの駆動部にダメージを与える。少女はもう後退する体力もなかったようで、ライムとアルトが割って入った瞬間に倒れこんでしまった。アルトは少し乱暴なやり方ではあったが、操空の指輪で彼女をアイラのところまでゆっくりと飛ばした。
ギッツも倒れていた三人を一気に担いで通路まで後退させる。それを確認してライムとアルトはゴーレムと距離をとった。
「ライムさん、こいつはただのゴーレムじゃないです。ゴーレムの上位互換、アイアンゴーレムです。」
「ああ、装甲が土ではなく金属でできているな。その証拠に、さっきリーパーを頭に喰らったはずなのにもかかわらず全く止まる気配がない。」
ライムはアイアンゴーレムの少しだけへこんだ頭部を見ながら苦笑いする。
「アルト君、何かアイデアは無いかい?」
「いろいろと試してみたいことがあるのでしばらく一人で戦ってみますね。」
アルトはそう言って操空の指輪を起動する。風を背中に受けながら一直線にゴーレムへと向かっていく。一瞬でゴーレムの間合いまで入っていったアルトは当然ゴーレムの猛攻に襲われる・・・
はずだった。
突然ゴーレムの目前で跳びあがったかと思うと、まるで空気を蹴るようにして空中でその軌道を変えた。あっという間にゴーレムの背後を取り、振り返りながら炎をまとわせた剣で首を切りつける。剣の炎はゴーレムにまとわりつき、あっという間にゴーレムを包み込む。
「アイアンゴーレムが融けるまで燃やし続けるのかい?」
「もしそれだけで倒せるのであればこのまま放置します。ですが、やはり簡略化した付与魔法で生み出せる炎の火力ではあの装甲を溶かすには至らないと思います。なので、炎が消えた瞬間にとどめを刺しに行こうかと…」
アルトがそう言っている間にゴーレムを包んでいた炎が消える。部分的に赤熱している部分もあったが、やはり溶かすには至っていなかった。しかしアルトは気にもせず、ゴーレムに向かって駆けていく。そして今度は氷を纏った剣で赤熱している部分を切りつける。
氷はどんどんゴーレムを包み込むようにして広がっていき、ゴーレムの動きを止めるに至った。
「アルト君、君は今何をしたんだい?」
「見ての通り、熱して冷やしました。ゴーレムは確かに硬くて丈夫ですが、それはあくまで装甲の話で、中身のほうを攻撃してしまえば簡単に無力化できるんですよ。」
そういいながら動かなくなってしまったゴーレムを横倒しにする。手早くゴーレムの首と肩の間あたりにあるネジを外してその内部をみんなに見せる。
「へぇ、ゴーレムってただの塊が動いてるだけかと思ってたけど、なんかすごい機械的だね。」
「そうなんです。ゴーレムが二本の足で立ったり走ったりできるのもすべてこの基盤が機能しているからなんです。さすがに全部を付与魔法で何とかしようとすると、消費魔力がとんでもないことになってしまうので、こういった複雑なものは魔導基盤を組み込むんですよ。」
「それは分かったが、なぜゴーレムは動きを止めてしまったんだ?見たところその基盤には故障は見当たらないのだが…」
ギッツがゴーレムの基盤を持ち上げながらアルトに問いかける。するとアルトはギッツの持っている基盤の中からガラスの部品をいくつか取り外して見せる。
「よーく見てみてください。このパーツはすべて割れているでしょう?この部品は魔力の循環する量を制御するためのものなんですけど、熱にめっぽう弱いんです。ガラスって、一瞬で大きな温度変化させるとすぐに割れちゃうんですよ。俺はこの部品にダメージを与えられないかな?と思ってさっきの攻撃をしたんです。」
「なるほど、俺達にはない考え方だな。君が来てくれて本当によかったよ。聞きたいことはまだまだあるが、とりあえずこのダンジョンを出ようか。」
アルトは一旦ゴーレムを収納の魔道具に入れ、ギッツと一緒に負傷者を外まで連れて行った。ダンジョンを出るまでの間はライムとメリッカが護衛をしてくれたため安全にダンジョンを出ることができた。
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