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推しの悪役令嬢に出会いました
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「ほんとアンタって鈍臭いわね」
そう言って私を見下ろす真っ赤な瞳には不愉快さが滲み出ていた。
―――取り敢えず状況を整理しよう。
あれは学校帰りの時だった。
私がどっぷりハマった乙女ゲームミスティック・プリンセス略して“ミスプリ”の続編の発売日でるんるんで家に帰ってて…。途中のコンビニで大好きなバニラアイスとミルクティーを買って…。スマホ片手に信号待ちしてると何故かトラックがこっちに猛スピードで突っ込んできて―――。
「あ、そっか。私死んだんだった」
ついさっき前世での些細な出来事を思い出すなんて可笑しな話だ。それも目の前の人物に突き飛ばされた衝撃でなんて。
「なに変な事を言ってますの?」
鈴を転がすような声が聞こえて顔をあげると長い金髪の巻毛に大きな赤いリボンを付けた少女がこちらを睨み付けていた。
―――嗚呼…。こんな間近で見ちゃってもいいんでしょうか。
彼女の名は―ミシュリーヌ・スカーレット―ミスティック・プリンセスⅠの登場人物でありヒロインを虐めて罰を受けることになる悪役令嬢だ。
そしてそんなミシュリーヌに射るような視線を向けられるのはこの世でたった一人しか居ない。
ヒロインの―ウェンディ・メルシェ―だ。
え、もしかして私ヒロインに転生しちゃった!?前世はただのしがない女子高生だったというのにヒロインポジになるなんて勝ち確じゃん!これからはミシュリーヌの意地悪な愛を独り占め出来るのね!
「ちょっと!聞いてますの!?貴女如きがこの私を無視して良いと思っていますの?」
「ミシュリーヌ様…!」
「な、なんですの?」
痛みなんて忘れて立ち上がると愛らしい顔を膨らませて怒るミシュリーヌの肩をがっしりと掴む。
それに吃驚したミシュリーヌが片足を後ろに引くのが分かったが離す気はない。ドン引きされて嫌われたって今どうにかしとかないとミシュリーヌは私の攻略対象者達に殺されてしまう。そんなのは嫌だ。だって悪役令嬢、ミシュリーヌ・スカーレットは私の推しなのだから。だから私は絶対ミシュリーヌを死なせはしない!
「これからは二人の時だけにいたぶって貰えますか!?」
「はぁ?」
「ミシュリーヌ様に呼ばれたら私はどこにでも行きます。だから他の方々の前では横暴な態度は止めてくださいね!特に男性の前では!」
「先程からなに訳の分からないことを言ってますの!?少しは落ち着きなさい、ノエル!」
「·····はい?」
ミシュリーヌのその言葉に私は目をぱちくりとさせた後首を傾げた。ミシュリーヌの肩を掴んでた手を緩めると直ぐ様ミシュリーヌは私の手を払い除け私と距離をとる。
ミシュリーヌに距離をとられたショックで『なんで距離をとるんですかぁ!』と泣き叫びたい気持ちもミシュリーヌが私の手に触れてくれた感動で『ありがとうございます!!』と言って跪きたい気持ちも押さえミシュリーヌに近付き再度その肩を今度は優しく掴む。
「·····ノエル?ウェンディではなくて?」
「誰ですの?それは。貴女の名前はノエル・ベルテ。私のお、幼馴染ですわ」
そう言って頬を微かに染めそっぽを向くミシュリーヌほど愛らしいものはないだろう――――――じゃなくて!
「ノエル・ベルテェェェ!?」
私の叫びはこの物静かな庭全体に木霊したのだった。
そう言って私を見下ろす真っ赤な瞳には不愉快さが滲み出ていた。
―――取り敢えず状況を整理しよう。
あれは学校帰りの時だった。
私がどっぷりハマった乙女ゲームミスティック・プリンセス略して“ミスプリ”の続編の発売日でるんるんで家に帰ってて…。途中のコンビニで大好きなバニラアイスとミルクティーを買って…。スマホ片手に信号待ちしてると何故かトラックがこっちに猛スピードで突っ込んできて―――。
「あ、そっか。私死んだんだった」
ついさっき前世での些細な出来事を思い出すなんて可笑しな話だ。それも目の前の人物に突き飛ばされた衝撃でなんて。
「なに変な事を言ってますの?」
鈴を転がすような声が聞こえて顔をあげると長い金髪の巻毛に大きな赤いリボンを付けた少女がこちらを睨み付けていた。
―――嗚呼…。こんな間近で見ちゃってもいいんでしょうか。
彼女の名は―ミシュリーヌ・スカーレット―ミスティック・プリンセスⅠの登場人物でありヒロインを虐めて罰を受けることになる悪役令嬢だ。
そしてそんなミシュリーヌに射るような視線を向けられるのはこの世でたった一人しか居ない。
ヒロインの―ウェンディ・メルシェ―だ。
え、もしかして私ヒロインに転生しちゃった!?前世はただのしがない女子高生だったというのにヒロインポジになるなんて勝ち確じゃん!これからはミシュリーヌの意地悪な愛を独り占め出来るのね!
「ちょっと!聞いてますの!?貴女如きがこの私を無視して良いと思っていますの?」
「ミシュリーヌ様…!」
「な、なんですの?」
痛みなんて忘れて立ち上がると愛らしい顔を膨らませて怒るミシュリーヌの肩をがっしりと掴む。
それに吃驚したミシュリーヌが片足を後ろに引くのが分かったが離す気はない。ドン引きされて嫌われたって今どうにかしとかないとミシュリーヌは私の攻略対象者達に殺されてしまう。そんなのは嫌だ。だって悪役令嬢、ミシュリーヌ・スカーレットは私の推しなのだから。だから私は絶対ミシュリーヌを死なせはしない!
「これからは二人の時だけにいたぶって貰えますか!?」
「はぁ?」
「ミシュリーヌ様に呼ばれたら私はどこにでも行きます。だから他の方々の前では横暴な態度は止めてくださいね!特に男性の前では!」
「先程からなに訳の分からないことを言ってますの!?少しは落ち着きなさい、ノエル!」
「·····はい?」
ミシュリーヌのその言葉に私は目をぱちくりとさせた後首を傾げた。ミシュリーヌの肩を掴んでた手を緩めると直ぐ様ミシュリーヌは私の手を払い除け私と距離をとる。
ミシュリーヌに距離をとられたショックで『なんで距離をとるんですかぁ!』と泣き叫びたい気持ちもミシュリーヌが私の手に触れてくれた感動で『ありがとうございます!!』と言って跪きたい気持ちも押さえミシュリーヌに近付き再度その肩を今度は優しく掴む。
「·····ノエル?ウェンディではなくて?」
「誰ですの?それは。貴女の名前はノエル・ベルテ。私のお、幼馴染ですわ」
そう言って頬を微かに染めそっぽを向くミシュリーヌほど愛らしいものはないだろう――――――じゃなくて!
「ノエル・ベルテェェェ!?」
私の叫びはこの物静かな庭全体に木霊したのだった。
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