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ジークさんの正体(2)
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太陽も傾き出した午後、また来ますと告げた私に引き攣った笑みで見送ってくれたマーシャルさんを後に、護衛のダイさんと離宮の収監部屋に戻った。
ヒントはあったような気もするが、パズルの断片みたいで、点でバラバラ、うまく合わない。
ドラゴンの呪いについては聖剣がヒントかも知れないが、ジークさんに対する呪いに当てはまるのかどうか?
そう言えば、聖剣は触ることが出来る人と出来ない人がいるような事、言ってたよなー。
選ばれし者でないとダメとか何とか。
選ばれし者・・・。
どこかでそんな表現していたような・・・?
『お前が選ばれし者かどうか』
『何ですか、それ?』
『竜の呪いを破る』
!
そうだ、ジークさんは私に協力しろと言った。
それは呪いを破ることが、きっと私に出来るからだ。
ならば、私は聖剣に触ることが出来る『選ばれし者』なんじゃないのか?
なら、話は簡単じゃん。
聖剣引っこ抜けばいいんでしょ?
ほうほう、早くそう言えばいいのにジークさん。
そしたら、お互い円満解決。
彼は呪いが解けて力を取り戻し、私は晴れて自由の身。
そうと分かれば、早速ジークさんと交渉だ。
「ジークさん、封印を解きましょう!」
「・・・何を言っているんだ?」
「だって、そうして欲しいと言ってたじゃないですか?」
執務室に押しかけ、ジークさんに詰め寄ってみた。
机の上には紙や本が所狭しと積み上げられている。
ジークさんのお仕事って警察か何かだったっけ?
治安に関わるお仕事で、きっと忙しいのだろう。
しかし、今はこちらの方が優先されるべき事項だ。
美人の眉間は深まっていくが、遠慮していては互いの幸せが遠くなる。
「どういう経緯でその結果になったんだ?」
おお、よくぞ聞いてくれました。
私は今日一日、皇室図書館で見聞きした事柄をジークさんに伝えた。
「ジークさんは呪いにかかっているのでしょう?それは聖剣による封印の事ですよね?で、その聖剣を引っこ抜けば呪いが解けると聞きました。私には聖剣に触ることが出来る力があるのでしょう?」
私は、何でもお見通しよと言わんばかりに、腹黒美人に指を突きつけて捲し立てやった。
「この間、その力があるのか、お試しって事で何の説明もなく命をかけさせられましたから」
最後に一言、嫌味を付け加えるのも忘れない。
にっこり笑いながらジークさんの返事を待つ。
右手で口元を覆い、彼は溜息を吐きたいのを我慢しているようだった。
ふふふ、愉快愉快。
「確かに、今、俺にかけられているのは竜族の呪いだ。だが、ターバルナの剣を引き抜くだけでどうこう出来る代物ではない」
あれ?
違うの?
やっぱり、あの聖剣とかいうヤツはハリボテかー。
「なら、『選ばれし者』って何なんですか?」
「言っただろう?呪いを破る、と」
「それだけで私が理解できるとでも?」
その一言で、分かる訳無いだろーが。
片眉をくいっと上げて説明を要求する。
この人いつも言葉足らずなんだよ。
友達いないから会話する機会が少なくて、こんな残念な人になっちゃったのか?
「ルナ、お前は闇魔法使いだろう?」
その瞬間、私は左拳をジークさんの右頬に繰り出していた。
ジークさんは表情の無い顔で、私と視線を合わせながら右手で私の拳を受け止めた。
何故、この男が知っているのか?
誰にも話していないのに・・・。
「・・・まったく、落ち着け」
「何故、それを知っているのですか?」
目を眇めながら私は左拳に光魔法を募らせた。
「他ならぬお前が、俺の前で使ってみせただろう?」
はあ?
そんな間抜けなことする筈がない。
ジークさんに会ってからは、クセポ作りもしなかった。
他に闇魔法を使う機会なんて無かった。
「本当に分かっていないのだな・・・」
だから何?
ちゃんと説明しろって!
私がそう叫ぼうとした時、ジークさんの身体が光出し、次第に光の渦となって彼の身体を飲み込んでいった。
眩しさに手を翳して目を細めると光は私の頭の高さに収束し、やがて黒く艶めくドラゴンの形に変わっていく。
そして、そこには懐かしいあのイケドラ(確)さんの姿があった。
!!
ええーっ??
ジークさんがドラゴンさんだったの?!
「これで分かったか?」
飽きれ声のドラゴンさんに、何も言い返せず固まってしまう。
「・・・ド、ドラゴンさん、おかえりなさい・・・?」
つい、間抜けな言葉しか出てこなかった。
あの後、ドラゴンさんは世界一周旅行に出たんじゃなかったっけ?
私の言葉に一瞬面食らったような顔をしたドラゴンさんは、目を細め、笑ってるような困ったような顔をした。
ヒントはあったような気もするが、パズルの断片みたいで、点でバラバラ、うまく合わない。
ドラゴンの呪いについては聖剣がヒントかも知れないが、ジークさんに対する呪いに当てはまるのかどうか?
そう言えば、聖剣は触ることが出来る人と出来ない人がいるような事、言ってたよなー。
選ばれし者でないとダメとか何とか。
選ばれし者・・・。
どこかでそんな表現していたような・・・?
『お前が選ばれし者かどうか』
『何ですか、それ?』
『竜の呪いを破る』
!
そうだ、ジークさんは私に協力しろと言った。
それは呪いを破ることが、きっと私に出来るからだ。
ならば、私は聖剣に触ることが出来る『選ばれし者』なんじゃないのか?
なら、話は簡単じゃん。
聖剣引っこ抜けばいいんでしょ?
ほうほう、早くそう言えばいいのにジークさん。
そしたら、お互い円満解決。
彼は呪いが解けて力を取り戻し、私は晴れて自由の身。
そうと分かれば、早速ジークさんと交渉だ。
「ジークさん、封印を解きましょう!」
「・・・何を言っているんだ?」
「だって、そうして欲しいと言ってたじゃないですか?」
執務室に押しかけ、ジークさんに詰め寄ってみた。
机の上には紙や本が所狭しと積み上げられている。
ジークさんのお仕事って警察か何かだったっけ?
治安に関わるお仕事で、きっと忙しいのだろう。
しかし、今はこちらの方が優先されるべき事項だ。
美人の眉間は深まっていくが、遠慮していては互いの幸せが遠くなる。
「どういう経緯でその結果になったんだ?」
おお、よくぞ聞いてくれました。
私は今日一日、皇室図書館で見聞きした事柄をジークさんに伝えた。
「ジークさんは呪いにかかっているのでしょう?それは聖剣による封印の事ですよね?で、その聖剣を引っこ抜けば呪いが解けると聞きました。私には聖剣に触ることが出来る力があるのでしょう?」
私は、何でもお見通しよと言わんばかりに、腹黒美人に指を突きつけて捲し立てやった。
「この間、その力があるのか、お試しって事で何の説明もなく命をかけさせられましたから」
最後に一言、嫌味を付け加えるのも忘れない。
にっこり笑いながらジークさんの返事を待つ。
右手で口元を覆い、彼は溜息を吐きたいのを我慢しているようだった。
ふふふ、愉快愉快。
「確かに、今、俺にかけられているのは竜族の呪いだ。だが、ターバルナの剣を引き抜くだけでどうこう出来る代物ではない」
あれ?
違うの?
やっぱり、あの聖剣とかいうヤツはハリボテかー。
「なら、『選ばれし者』って何なんですか?」
「言っただろう?呪いを破る、と」
「それだけで私が理解できるとでも?」
その一言で、分かる訳無いだろーが。
片眉をくいっと上げて説明を要求する。
この人いつも言葉足らずなんだよ。
友達いないから会話する機会が少なくて、こんな残念な人になっちゃったのか?
「ルナ、お前は闇魔法使いだろう?」
その瞬間、私は左拳をジークさんの右頬に繰り出していた。
ジークさんは表情の無い顔で、私と視線を合わせながら右手で私の拳を受け止めた。
何故、この男が知っているのか?
誰にも話していないのに・・・。
「・・・まったく、落ち着け」
「何故、それを知っているのですか?」
目を眇めながら私は左拳に光魔法を募らせた。
「他ならぬお前が、俺の前で使ってみせただろう?」
はあ?
そんな間抜けなことする筈がない。
ジークさんに会ってからは、クセポ作りもしなかった。
他に闇魔法を使う機会なんて無かった。
「本当に分かっていないのだな・・・」
だから何?
ちゃんと説明しろって!
私がそう叫ぼうとした時、ジークさんの身体が光出し、次第に光の渦となって彼の身体を飲み込んでいった。
眩しさに手を翳して目を細めると光は私の頭の高さに収束し、やがて黒く艶めくドラゴンの形に変わっていく。
そして、そこには懐かしいあのイケドラ(確)さんの姿があった。
!!
ええーっ??
ジークさんがドラゴンさんだったの?!
「これで分かったか?」
飽きれ声のドラゴンさんに、何も言い返せず固まってしまう。
「・・・ド、ドラゴンさん、おかえりなさい・・・?」
つい、間抜けな言葉しか出てこなかった。
あの後、ドラゴンさんは世界一周旅行に出たんじゃなかったっけ?
私の言葉に一瞬面食らったような顔をしたドラゴンさんは、目を細め、笑ってるような困ったような顔をした。
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