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ジークさんの謝罪

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目が覚めたら、いつもの豪華な監獄のベッドの上だった。

今は夜なのか、辺りは暗い。

身体が怠くて力が入らない。

起き上がる元気も、寝返りをうつ力も無い。

何度か瞬きをする。

左眼が腫れぼったい。

クンクン鼻を鳴らす音と息が瞼にかかり、クロがベッドに居ることを知った。



「・・・クロ」

「気が付いたか」





誰だ?

暗くて見えない。



「気分はどうだ?」



クロが私の顔に頭を擦り付けてきた。

一瞬置いて声の主を思い出す。

ベッド脇の影が動き、そこにジークさんが居るのだと分かった。

答える気力が全く無かった。

見りゃ分かるでしょ、身も心もボロボロですよ。

身体の怠さがハンパない。

私が黙っていると、ジークさんは近づいて来てベッド脇の椅子に腰を下ろした。



「どこか痛むか?」



いや、だから喋るの面倒なんだって。

かったるいんですって。

出てってくれって。

本当に空気の読めない俺様美人だな。



「・・・すまなかった・・・」



一瞬、目が点になった。

だって、一度も誤ったことないんですよ、この人。

かなりレアなシーンだが、身体が怠くて貴重なジークさんのしょげ顔が拝めない。

くっそう、後でもう一度謝罪を要求してやる。

だが、その一言で、私の機嫌が当然良くなる訳も無く。



それでも黙っていると、ジークさんの手が伸びてきて私の額に置かれた。



「熱があるな・・・。何か食えそうなものはあるか?」

「要りません。出てってください」

「・・・」



私の掠れた声を聞いて、ジークさんは何も言わずに部屋を出て行った。

ふーっ、やっとこれで休める。

色々考えたいが、泥に嵌まったみたいに怠い。

眼を瞑って息を吐く。

クロが左瞼を優しく舐めてくれる。

クロの優しさに癒されながら、私はまた眠りに落ちていった。

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