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第二夜

肆 茶々の恥じらい

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 (どうしてしまったのじゃ。私は…) 
 おそるおそる、秀吉の顔を見上げてみる。が、男は微笑むだけであった。 
 『嫌がる者を組み敷くほど無粋ではありませぬ。ねやの相手はたんとおりまするでの。』 
 秀吉の言葉が思い出される。 
 (このままだと他の方のところへいかれるのか? …嫌じゃ…) 
 茶々は、自分から願わないと秀吉がコトを起こさないと悟った。目を伏せ、小さな声でお願いをする。
 
「…昨夜のように…」 
 茶々の声は震えていた。 
 (これで察してくださいませ)。 
 茶々の思いを知りながら、秀吉はそしらぬ顔で続けた。 
「昨夜のように?」 
 一時ひとときの静寂の中、茶々の女が疼いていた。
 モジッと身をよじり、茶々は、秀吉の胸の中で小さな声をやっと絞り出す。 

「…お情けを…くださいませ。」 
「ふむ。昨夜か。さーくーやーは…、いかがしたかの?年のせいか、覚えが悪うてのぅ…」 
 (あぁ…そのような…しかし、これ以上は恥ずかしくて言えぬ)。
 身を縮め、そう思っている乙女を腕に抱き、秀吉が大袈裟に首をひねっている。 
 (これ以上は言えぬ。…したが、言わねば殿下は何もなさらぬ。) 
 我が身の落ち着かぬ火照りに、茶々はどうしていいかわからなかった。 

「…殿下…」 
 たまらずに、秀吉の痩せた頬に、茶々は柔らかな自分の頬を寄せた。 
「そうじゃ!思い出した」 
 秀吉は己の身を預け、茶々をゆっくり押し倒す。茶々の胸が大きく高鳴ったとき、男の動きはピタリと止まり、身を起こした。 
「いや、違う。あれは前に竜子とじゃった。…あれはおとらとじゃし…。以前のことは覚えておるのぅ。」 
 カリカリと頭を掻く秀吉に、茶々の身は耐えられなくなっていた。 

「…殿下…殿下は昨夜、『またお茶々の餅を食べとうござる』、と仰せになりました。」 
 秀吉の頬に小さな手を伸ばし、恥ずかしげになよやかな声で茶々はやっと催促する。 
「おお、そうであった、そうであった。お茶々は美味しそうな餅を隠してござる。」 
 (あぁ、やっと)。 
 茶々の身は、期待に震えていた。しかし、秀吉は茶々の思うようには動かない。 
「はて?どこに隠してござったかの。」 
 秀吉の手が、うろうろと手や足を触る。 
「ないのぅ。昨夜は目隠ししておったからの~。う~む。どこじゃったか教えてくださらぬか。」 
 秀吉の言葉に操られるように、茶々が恥ずかしそうに自分の胸に手を置く。秀吉は、すかさず茶々の手の上に自分の手のひらを重ねた。 
「おお。ここでござった。ここでござった。」 
 茶々の手を下に挟んだまま、秀吉の大きな手は、大きく円を描いて、餅をこねた。 
 自分の手が自分の膨らみをね回している。 
 茶々はゴクリと息を呑んだ。そして、女の吐息をついた。 

 秀吉の手は、茶々の手とともに、柔らかな餅をひたすらに撫でた。 
「…あぁ…」 
「ふふ、己の手で感じておるのか?」 
「…いや…」 
「正直になりなされ。」 
「…あぁ…心地よう…ござりまする……」 
「うむ。素直なよい子じゃ。」 
 自分の手の中にあった小さな蕾が、固く大きく膨らむのを茶々は感じた。 

 (このようになるのか?) 
 そして、そこを少し力を込めて押さえると、躰に甘い痺れが走るのにも気づいた。 
 豆のような小さな膨らみが強くこすれるように、茶々は自分の手にこっそり力を入れた。 
 それに気づかぬ秀吉ではない。 

「気づかれましたか…」 
「…え?…」 
 秀吉は手を止めると、茶々の襟元から手を進め、柔らかな膨らみをまさぐった。小さな蕾をツンと二指ふたゆびで挟む。 
 茶々の躰に、また甘やかな痺れが走った。 
「ここは、赤子ややだけのためにあるのではないと。」 
 男の手は、一指ひとゆびで蕾を引っ掻くように軽く動かし、ふるふると揺らす。 
 茶々が柔らかな吐息をついた。 
「女子の躰が歓ぶためにあると…」 
 再び二指で挟み、赤子あかごが乳を飲むように、チュクチュクと秀吉は蕾を摘まんだ。 

「…あぁん…」 
「そうじゃ。乱れなされ。」 
 秀吉はゆっくりと茶々の膨らみを楽しむ。 
 男に触られない方の膨らみから、ウズウズしたもどかしい感じがするのを茶々は感じていた。 
 そっと、忘れられているもう片方の胸に自分の手を置く。ぽっちりとした膨らみから、腰へなにかが走った。 
 (あぁ…こちらも……) 
 茶々がそう思っていることを秀吉はわかっていた。が、知らぬ顔で片方だけを攻めた。 
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