【R18・完結】鳳凰鳴けり~関白秀吉と茶々

みなわなみ

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初夜

陸 花開く

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 目隠しをしたまま動かない秀吉が、茶々には怒っているように見える。そして、自分の脚の間はジンジンとしている。 
 どうしたらまた秀吉が続けてくれるのか…茶々はぼんやりした頭で考えた。 

 (あぁ…どうすれば…) 
 『ねやではつつしみ深く、殿方の言うようになさいませ。』 
 乳母めのとの言葉を思い出す。 
 (しかし、殿下は何もお求めにならぬ……) 
 『なぶってほしいと言うておりまするな。』 
 秀吉の言葉を思い出すと、からだうずいた。 
 (なぶられる…の…か……) 
 そう思うと恐ろしいはずなのに、躰の芯が熱くなる。 
 (あぁ、誰か茶々を助けてくだされ……) 
 茶々は我が身の火照ほてりをどうしてよいかわからず、泣きそうになっていた。 

 秀吉は、茶々が脚をモジモジと擦り合わせ、その身を持て余しているのを全身で感じていた。 
 茶々の躰からは、もう女の匂いが充分に立ち上っている。同じ香りをまとった己の指を、秀吉はペロリとしゃぶった。 
 (充分に女子おなごじゃ。) 

 自分を触った指を満足そうに舐める秀吉を見て、茶々の足の間がうずく。
 と同時に、男の満足そうな顔に(このまま終わってしまうのではないか)という不安が、胸に溢れた。 
 (嫌じゃ。誰か茶々を助けてくだされ、殿下っ…) 
 秀吉はのんびりと座って動かないでいる。 
 のんびりと座ったまま、茶々の不安を感じてはいたが、まだ動く時ではないとこらえていた。 

 (『殿方のいうとおり』にすればよいのか?) 
 茶々は『慎み深く』という乳母の言葉を投げ捨てた。 

「……殿下……茶々を…茶々を…なぶってくださいまし……」 

 小さく、なよやかな声がした。 
 きっと茶々は頬を染め、まどいながら、恥じらいながら、やっと声を出しているのであろう。 
 秀吉は茶々の顔を思い描きながら、己の勝ちを確信した。 

「茶々様…」 
「茶々と言うてくださいまし……」 
「…茶々…」 
「茶々を女にしてくださいまし…」 
 秀吉は茶々の顔を探り当て口づけをする。口づけをしながら、小さな実をブルブルと震わせた。 
 茶々の声が荒く、高く、女の声になる。 
 (これは、これは……) 

 何人も名のある姫を側室へやとしているが、ほとんどが人形のようであった。しかし、初めてだというのに、十八だというのに、茶々の女としての乱れよう、力強さはどうであろう。 
 (茶々様なら、わしの子を生んでくれるやもしれぬ。) 
 そう思うと秀吉は、思わず茶々の秘されていた泉に口づけた。祈りを込めて。 

「はうっん…」 
 茶々の躰が、ビクリと波打つ。 
 秀吉の白髪混じりの小さな頭が、乙女の引き締まった太ももの間で、モゾモゾと動いた。 
 ピチャピチャという、なにかを舐める音が、静寂しじまに響く。 
 えもいわれぬ快感に、茶々は身をくねらせ、声をあげた。 

「あうっ……あん…あっ、あっ、ひぃっ、くぅっん……あぅっ……あぁ…あーっ…いや、いやじゃ…あぁぅぁーっ、母上、ははうえぇ……」 
 気がおかしくなりそうな悦びと、我が身の変化の怖ろしさに茶々はすすり泣いた。 
「そうです。我慢などなさらず助けを求めなされ。」 
「あぁ…殿下…」 
「誰にも頼れず、寂しゅうござったのですな。お市様の代わりに、お父上の代わりに、それがしが茶々様を守りまする。秀吉がおりまする。」 
「…殿下…」 
 茶々は、今まで、これほどまでに自分を解ってくれる人を知らなかった。茶々の嗚咽が漏れる。 

「泣いてはなりませぬ。それがしがおりまする。」 
 秀吉が父親のようにやさしく頭を撫でた。 
「まずは、あなたさまの躰の中の女の炎をぎょしてみせましょう。こらえずに、声をお出し遊ばされ。秀吉が受け止めてしんぜよう。」 
 再び、秀吉は茶々の脚の間に顔を埋めた。 
 茶々は高く、あでやかに嬌声を響かせる。 
 そこにいるのは、誇り高い浅井あざいの姫ではなく、側室おへやという身を悲しむものではなく、十八の娘でもなく、殿方を求めるただの女であった。 


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