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初夜

伍 つぼみほころぶ

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 (これは、これは、もう女子としてれ始められたか……。先が楽しみじゃ。) 
 目隠ししたまま、秀吉は好色そうにフッと微笑む。この先も関係を続けるために今宵は大事な一戦である。 
 秀吉は改めて気を引き締めた。 

「茶々様、茶々様は充分に女にござりまするぞ。」 
 茶々の小さな耳を探り当てた秀吉は耳元で囁き、そっと耳を噛んだ。 
「はぁっ…」 
 耳を撫でる舌の温かさに、茶々は声をあげる。 
 もう怖さはなかった。
 女と見られていないのではないかという不安がぬぐい去られた喜びが、女と認められた喜びが、茶々の心とからだあふれた。 
 秀吉の目を隠した絹のツルリとした感触が、茶々の上気した頬に心地よい。
「茶々様は、極上の女になりまする。きっと。」 
 秀吉は、また茶々の耳元でささやいた。
 その間も、秀吉の手は、あちらこちらを優しく優しくさわっている。 秀吉の頭には茶々の姿がはっきりと浮かんでいた。
 その茶々の姿が、次第にモジモジとくねる。 

 (感じておられるか……) 
「今一度、餅を食わせてくださいませ。腹一杯。」 
 つんと上を向いた張りのある柔らかな膨らみに、秀吉は再び口づける。茶々は、すでに逆らうことも隠すこともせず、荒くなりそうな息を恥ずかしげにこらえていた。 

「……殿下……」 
 茶々が秀吉の首に腕を回した。茶々が、秀吉に愛撫を催促したのである。 
 勝ち戦は目の前であった。それでも、秀吉は用心深くことを進める。 
「極上のお餅じゃ。このような餅を腹一杯食べとうござった。やっと、やっと夢が叶いまする。」 
 秀吉の誉め言葉と初めての心地よさに、茶々は頭がぼんやりとしてきた。 
 身をくねらせ、こらえていても女の吐息が続く。 

 (ほぅ…女としての感がよい。誰にも頼れなかった分、身をまかせるは早いか…。それほど、寂しい思いをされてきたか……。) 
 (ならば…)と秀吉は前触れもなく、スイと着物の裾から手を入れ、誰も触ったことのない小さな実に触る。 

「茶々様の女子おなごの印。」 
「…あっ…」 
 ビリッと躰を駆け抜けた快感に、思わず茶々は腰を引いた。 
 秀吉はまるで目が見えているようにそれを逃さない。そっと当たるように、小さな実をクリッと撫でた。 
「…あぅん…」 
 (なんじゃ、この心地よさは……)。脚の間がズキズキする。 
 秀吉はまたそっと実を擦った。さっきより少し長く。 
「…ん…ぅうん…」 
 湧き上がる気持ちよさに、茶々は腰をくねらせる。 

 (感じておられるか……) 
 秀吉は、ゆっくりと小さな実を擦りあげ、少しずつ力を入れていった。 
「くっ、ぅうっん…はあっ……あぁ…あん…はあぁうっ…あっ、あっ、」 
 茶々が充分に声をあげそうになったときに、秀吉はピタリと手を止めた。 
「…あ…」 
 先程まで触られていたところがうずく。ビクビクと動く。なんとかこらえようと、両足を擦り合わせてみる。それでも疼きは止まらない。 

「…殿下…」 
「いかがされましたかな?」 
 目隠し姿の秀吉は、また夜着の上からモジモジと動く太ももを触っていた。その滑るような手が、太ももの付け根に近づくたび、躰がゾクゾクした。 
 しかし、その手は先程のように深い泉を訪れようとはしない。

「…わたくしは…女としてあかしをたてとうござります……」 
 茶々は、小さな小さな声で、恥ずかしげにやっとそうお願いした。 
「ふむ。ここも触れと言うことですかな?」 
 秀吉の手が再び、小さな実へと延びた。 
 茶々が、答える代わりに「はぁ…」と満足そうな息を吐いた。 
「心地がよいのでございまするか…。茶々様は、よき女子でございまする。 ……では、ここを少ぅしこうしたら、いかがあいなりますかな?」 
 溢れている蜜をすくい取り、ぷっくりと膨らんだ実に擦り付けて、秀吉はクルクルと軽く撫でた。 
「あぁん…」 
 少女とも女ともつかぬ声があがる。 
「心地ようござるか。」 
「…あっ……うぅん…」 
「何も言われずともよい。茶々様のお躰が心地がよいと言うておられまする。ここからトロトロと躰が溶けておりまする。『もっとなぶってほしい』と言うておりまするな。」 
「あん…そのような…」 
 秀吉の言葉にゾクゾクする。そっと触られるより、強く触られたときの快感の強さを、乙女の躰はすでに覚えていた。 

「では、止めますかな?」 
 秀吉が、またピタリと手を止めた。 
「あっ、殿下……いやにござりまする。」 
「『嫌』、と申されたか?」 
 秀吉の手が、茶々から離れた。 
 (怒っておられるのか?このまま終えてしまわれるのか? 嫌じゃ嫌じゃ……) 
 秀吉の手は、先程から茶々の肌がグングンと熱さを帯びているのを感じていた。 
 (もう、止まらぬはず。) 
 そう思いながら、茶々の躰から手を離していた。最後の詰めであった。 
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