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第一部
3.ユーリさんの謎
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ユーリさんに運ばれて(抱っこされてとは恥ずかしくて言えない)、隣の部屋に行くと、ファンタジーに出て来る錬金術師の部屋!みたいな実験器具や見たことのない薬草や鉱物で溢れかえっている。
木の手摺りの階段を横切ると上下に続いているので、ここは二階以上なのだろう。
扉が幾つかあり、正面の扉を開くとそこはリビングダイニングのようだった。
大きなカウンターキッチンとダイニングテーブル、大きなソファーとテーブルに暖炉まである。
もしかして、ユーリさんお金持ち?
それともこの世界ではこれが標準なのだろうか?
「ここに座っていてくれ」
ソファーに降ろされると、高級感溢れる革張りの見た目からは想像出来ない柔らかさに吃驚する。
よく見たら毛の短い何かの動物の毛皮っぽい。白いんだけど、これ何の動物?
いや、さっきユーリさんがゴブリンとか言ってたし、魔獣とかなのかな?
(手触り最高!!)
もふもふしていると、大きなトレイと片手にカップを持って来て、テーブルの上に置いたユーリさんは、私の前にお皿とスプーン、口の広いティーカップを置いてくれた。
大人しく見ていると、ポットから注がれる淡い緑色の液体から爽やかな香りが漂ってくる。
パンは大きめの白パンで、スープはミネストローネ?
「どうぞ」
「ありがとうございます。いただきます!」
「いただきます?」
「あ… えっと食事をいただきます」
つい習慣的に合掌してしまうのは日本人の性だ。
手を降ろして言い、コップに手を伸ばす。
淡い緑色は緑茶ではなく、マスカットティーのような香りだが、飲むと甘酸っぱいフルーツが幾つか配合されているような優しい味だった。
「美味しいです」
「口に合って良かった」
ほっと息をつくと、ユーリさんが大きめの白パンに指向け軽く振る。
音もなくパンが輪切りにされ、空中で更に一口サイズにされたパンが、私の前のお皿にのる。
「魔法?」
目の前で起こった出来事に驚いて、小さく呟く。
「ユーリさんは魔法使いなのですか?」
隣に座っているユーリさんを見上げると、無表情だった綺麗な顔でニヤリと笑う。
「魔導師だ」
「魔導師… 凄い方なのですね…」
と言うか、ニヤリと笑った顔はまるで… いやいや、ちょっと背中がゾクリとしただなんて、気のせい! 気のせい!
引き攣る頬をなるべく自然に動かすが、ちゃんと笑えていたのだろうか。
接客業で鍛えた頬の筋肉さん、頑張って!
スープはミネストローネよりスパイスの効いたもので、豆ではなくトマトベースの豚肉のスープぽい。
白パンだと思っていたパンは、外はカリッと中はモチモチの不思議な食感だった。
食事を終え、歩き回れない私は、用事を少し済ませてくるというユーリさんに待っているように言われ、見送り、扉が閉まると大きく息を吐き出した。
柔らかいソファーに身体を預け、緊張していた力を抜く。
目を覚まして一時間ぐらいだろうか。
起きてすぐ自分の身体の変化に気付き、ましてや知らない部屋で、知らない男性(しかも格好良い)に世話を焼かれ、その人が行き倒れていた自分を助けてくれた人だけど、無表情で声は優しいけど、笑うとちょっと怖い…だなんて。
お腹が膨れ、緊張していたせいか、ウトウトして眠ってしまったのは、身体が小さいせいだと思いたい。
だって、起きたらユーリさんの腕の中で、一緒にベッドで寝ていたとか!
何なの!?
男っ気のなかった私へのご褒美ですか!?
神様もうちょっと万遍なくお願いします!!
急な過剰摂取は心臓への負担がヤバイです!!
とりあえず、悲鳴を上げたり、叫ばなかった自分を褒めたい。
木の手摺りの階段を横切ると上下に続いているので、ここは二階以上なのだろう。
扉が幾つかあり、正面の扉を開くとそこはリビングダイニングのようだった。
大きなカウンターキッチンとダイニングテーブル、大きなソファーとテーブルに暖炉まである。
もしかして、ユーリさんお金持ち?
それともこの世界ではこれが標準なのだろうか?
「ここに座っていてくれ」
ソファーに降ろされると、高級感溢れる革張りの見た目からは想像出来ない柔らかさに吃驚する。
よく見たら毛の短い何かの動物の毛皮っぽい。白いんだけど、これ何の動物?
いや、さっきユーリさんがゴブリンとか言ってたし、魔獣とかなのかな?
(手触り最高!!)
もふもふしていると、大きなトレイと片手にカップを持って来て、テーブルの上に置いたユーリさんは、私の前にお皿とスプーン、口の広いティーカップを置いてくれた。
大人しく見ていると、ポットから注がれる淡い緑色の液体から爽やかな香りが漂ってくる。
パンは大きめの白パンで、スープはミネストローネ?
「どうぞ」
「ありがとうございます。いただきます!」
「いただきます?」
「あ… えっと食事をいただきます」
つい習慣的に合掌してしまうのは日本人の性だ。
手を降ろして言い、コップに手を伸ばす。
淡い緑色は緑茶ではなく、マスカットティーのような香りだが、飲むと甘酸っぱいフルーツが幾つか配合されているような優しい味だった。
「美味しいです」
「口に合って良かった」
ほっと息をつくと、ユーリさんが大きめの白パンに指向け軽く振る。
音もなくパンが輪切りにされ、空中で更に一口サイズにされたパンが、私の前のお皿にのる。
「魔法?」
目の前で起こった出来事に驚いて、小さく呟く。
「ユーリさんは魔法使いなのですか?」
隣に座っているユーリさんを見上げると、無表情だった綺麗な顔でニヤリと笑う。
「魔導師だ」
「魔導師… 凄い方なのですね…」
と言うか、ニヤリと笑った顔はまるで… いやいや、ちょっと背中がゾクリとしただなんて、気のせい! 気のせい!
引き攣る頬をなるべく自然に動かすが、ちゃんと笑えていたのだろうか。
接客業で鍛えた頬の筋肉さん、頑張って!
スープはミネストローネよりスパイスの効いたもので、豆ではなくトマトベースの豚肉のスープぽい。
白パンだと思っていたパンは、外はカリッと中はモチモチの不思議な食感だった。
食事を終え、歩き回れない私は、用事を少し済ませてくるというユーリさんに待っているように言われ、見送り、扉が閉まると大きく息を吐き出した。
柔らかいソファーに身体を預け、緊張していた力を抜く。
目を覚まして一時間ぐらいだろうか。
起きてすぐ自分の身体の変化に気付き、ましてや知らない部屋で、知らない男性(しかも格好良い)に世話を焼かれ、その人が行き倒れていた自分を助けてくれた人だけど、無表情で声は優しいけど、笑うとちょっと怖い…だなんて。
お腹が膨れ、緊張していたせいか、ウトウトして眠ってしまったのは、身体が小さいせいだと思いたい。
だって、起きたらユーリさんの腕の中で、一緒にベッドで寝ていたとか!
何なの!?
男っ気のなかった私へのご褒美ですか!?
神様もうちょっと万遍なくお願いします!!
急な過剰摂取は心臓への負担がヤバイです!!
とりあえず、悲鳴を上げたり、叫ばなかった自分を褒めたい。
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