小さな花は

tsuyu

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小さな花は

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 雨がしとしとと降っている。
音に身体がなじみ、木の音、風の音が静かに奏でる。

 起き上がるのが億劫で、その静かな演奏をしばらく聴いていた。

 新聞配達のバイクのエンジンが木霊し、身体が起き始めて、急に思い立って服を着替え散歩に出かけた。


 もうすぐ7月に入る梅雨時にお気に入りの傘をさして、
静かな住宅街を抜け、神社の境内を抜け、川沿いの公園に着いた時には陽が少し昇っていた。

 それでも雨が降っているせいか、特に暑さも感じず風が吹く中をゆっくり歩く。


 公園のなかに小川が横たわり、遊具に雨の雫が飛び跳ね、鳥がさえずり、虫が唄う。

 小さな丘を越えると色鮮やかな赤紫の花が現れた。
大きな葉に、小さな花が集まって大きな円を描くその花は、雨の中でも凛と咲き乱れている。


 雫が飛び跳ね、花が揺れる。
花が揺れ、雫が地に落ち大地に恵みをもたらす。


 そんな初夏の朝の風景。

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