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本編
8話
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食堂につくと、いつも座ってる場所に
シャロン嬢とケイン以外の僕の側近が
座っていた。
「シャロン!」
シャロン嬢の姿を見たケインが
一目散に彼女に向かって歩いていく。
しかし、シャロン嬢はケインではなく
僕の方を見て頬を膨らませたと思ったら
「殿下!私朝挨拶したのに
なんで無視したんですか?私悲しかったですよ!」
……あぁ。
あの朝無視してしまった挨拶の主はシャロン嬢だったのか。
せっかくシャロン嬢から挨拶をしてくれたのに、
本当に悪いことをしてしまったな。
挨拶を無視してしまったなんてメイリーンが
知ったら、間違いなく僕を怒ってくるだろう。
「淑女からの挨拶を無視するなんて紳士としてなっていませんわっ!」って。
あれ?なんでここでメイリーンが出てきたのだろう。
「ごめんね。ちょっと考えごとをしてたんだ。
次からは気をつけるから。」
「絶対ですよ!」
言いたいことを言えたとばかりに、
席につくシャロン嬢。
僕も昼食を頼みにいこうとするとシャロン嬢が、
「あっ、殿下。
今日殿下のためにお弁当を作ってきたんですよ!」
お弁当?
僕のためにシャロン嬢がお弁当を作ってきてくれたと思うと、嬉しくなる。
皇太子としての立場上考えると、
食べてはいけないのに、どうしても好意を持ってる人からお弁当を作ってもらえると
嬉しさが止められない。
せっかく作ってもらったお弁当を断るのは申し訳ない。
そう自分に言い聞かせる。
「ありがとう、じゃあ今日の昼食は
そのお弁当にしようかな。」
「はい、どうぞ。」
シャロン嬢からもらったお弁当を開けると、
見たことがない料理が入っていた。
いや、何かの本で見た庶民がよく食べるという
料理にそっくりだ。
「すみません、殿下はどれも見たことがないない料理ですよね。
でも、頑張って作ったので殿下の口に合うかは分からないですけど、食べてください!」
「うん、いただくね。」
シャロン嬢がこちらをキラキラした目で
側近たちが羨ましそうな顔でこちらを見てくるなか
一口食べる。
味は…
正直に言うと美味しくはなかった。
食べられないわけではないけど、
僕の口には合わなかった。
しかし、
「どうですか?美味しいですか?」
と心配そうに涙目で聞いてくるシャロン嬢が
どうしても可愛く見えてしまい、
彼女を悲しませたくはないと思う。
正直に「あまり美味しく無い」なんて言えるわけがなく笑顔を作って
「美味しいよ、ありがとう」
と言っておく。
とそこで、前にメイリーンも僕にお弁当を
持ってきたことがあったことを思い出す。
あの時にもらったものも食べてみたが、
衝撃の美味しさだったことを覚えている。
メイリーンは「私が作りましたわ。」と言っていたが、あの時はこの美味しさをメイリーンが作れるわけがないと思い
料理人に作らせたのをわざわざ
自分が作ったというなんて…
とあまりよくは思ってなかったが、
もしかしたら本当にメイリーンが
作ったものだったのかもしれない。
もし本当にそうなら、昨日のメイリーンの言葉も本当なら、メイリーンにとってあの一言を言うのにかなり勇気が必要だっただろう。
そんなことを思いながらもお弁当を食べる手は止めない。
そして、完食する。
「ごちそうさまでした。」
メイリーンの教室によったことで、
もうほとんど昼休みの時間が残ってない。
次の授業は移動だし、本当は少しシャロン嬢
と話したい気もするけど授業に遅れるわけにはいかない。
もう戻ろう。
「じゃあ、失礼するね。」
「あ、殿下。俺たちはまだここに残ります。」
側近一同はまだシャロン嬢と一緒にいるようだ。
側近の役目って何だっけ?
少しそう思ったが、側近たちの気持ちも分かる気がしたから
「分かった。」
と答えて、1人食堂を後にした。
シャロン嬢とケイン以外の僕の側近が
座っていた。
「シャロン!」
シャロン嬢の姿を見たケインが
一目散に彼女に向かって歩いていく。
しかし、シャロン嬢はケインではなく
僕の方を見て頬を膨らませたと思ったら
「殿下!私朝挨拶したのに
なんで無視したんですか?私悲しかったですよ!」
……あぁ。
あの朝無視してしまった挨拶の主はシャロン嬢だったのか。
せっかくシャロン嬢から挨拶をしてくれたのに、
本当に悪いことをしてしまったな。
挨拶を無視してしまったなんてメイリーンが
知ったら、間違いなく僕を怒ってくるだろう。
「淑女からの挨拶を無視するなんて紳士としてなっていませんわっ!」って。
あれ?なんでここでメイリーンが出てきたのだろう。
「ごめんね。ちょっと考えごとをしてたんだ。
次からは気をつけるから。」
「絶対ですよ!」
言いたいことを言えたとばかりに、
席につくシャロン嬢。
僕も昼食を頼みにいこうとするとシャロン嬢が、
「あっ、殿下。
今日殿下のためにお弁当を作ってきたんですよ!」
お弁当?
僕のためにシャロン嬢がお弁当を作ってきてくれたと思うと、嬉しくなる。
皇太子としての立場上考えると、
食べてはいけないのに、どうしても好意を持ってる人からお弁当を作ってもらえると
嬉しさが止められない。
せっかく作ってもらったお弁当を断るのは申し訳ない。
そう自分に言い聞かせる。
「ありがとう、じゃあ今日の昼食は
そのお弁当にしようかな。」
「はい、どうぞ。」
シャロン嬢からもらったお弁当を開けると、
見たことがない料理が入っていた。
いや、何かの本で見た庶民がよく食べるという
料理にそっくりだ。
「すみません、殿下はどれも見たことがないない料理ですよね。
でも、頑張って作ったので殿下の口に合うかは分からないですけど、食べてください!」
「うん、いただくね。」
シャロン嬢がこちらをキラキラした目で
側近たちが羨ましそうな顔でこちらを見てくるなか
一口食べる。
味は…
正直に言うと美味しくはなかった。
食べられないわけではないけど、
僕の口には合わなかった。
しかし、
「どうですか?美味しいですか?」
と心配そうに涙目で聞いてくるシャロン嬢が
どうしても可愛く見えてしまい、
彼女を悲しませたくはないと思う。
正直に「あまり美味しく無い」なんて言えるわけがなく笑顔を作って
「美味しいよ、ありがとう」
と言っておく。
とそこで、前にメイリーンも僕にお弁当を
持ってきたことがあったことを思い出す。
あの時にもらったものも食べてみたが、
衝撃の美味しさだったことを覚えている。
メイリーンは「私が作りましたわ。」と言っていたが、あの時はこの美味しさをメイリーンが作れるわけがないと思い
料理人に作らせたのをわざわざ
自分が作ったというなんて…
とあまりよくは思ってなかったが、
もしかしたら本当にメイリーンが
作ったものだったのかもしれない。
もし本当にそうなら、昨日のメイリーンの言葉も本当なら、メイリーンにとってあの一言を言うのにかなり勇気が必要だっただろう。
そんなことを思いながらもお弁当を食べる手は止めない。
そして、完食する。
「ごちそうさまでした。」
メイリーンの教室によったことで、
もうほとんど昼休みの時間が残ってない。
次の授業は移動だし、本当は少しシャロン嬢
と話したい気もするけど授業に遅れるわけにはいかない。
もう戻ろう。
「じゃあ、失礼するね。」
「あ、殿下。俺たちはまだここに残ります。」
側近一同はまだシャロン嬢と一緒にいるようだ。
側近の役目って何だっけ?
少しそう思ったが、側近たちの気持ちも分かる気がしたから
「分かった。」
と答えて、1人食堂を後にした。
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