アウトフォーカス

ギノ

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カメラ

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教会の扉を開けると、そこにはさっきと同じ体勢で立っている青年がいる。こちらに気がつくとスタスタとこちらに歩いてくる。

「んで、アンタ自分の魔術カリスは判ったのか?それは役に立つものか?」

開口一番からそれなのか。妥当といえば妥当だが、気にくわない。

「…貴方にとって役立つものかは私には分からない…です。」

「なら、今その魔術カリスを使ってみろ。それ次第でお前をどうするか決める。
…無いとは思うが変な気は起こすなよ。俺にも攻撃手段はあるんだからな。」

一応最期の忠告は、もし私の魔術カリスが攻撃系だった場合の、予防線か何かだろうが、変な気を起こそうにも、そもそも魔術カリスの使い方がわからない為、どうすることもできないのが現状だ。

どうすることもできず、突っ立っている私に青年は
「…まさかとは思うが、使い方が分からないとか言うんじゃねーぞ。」
「そのまさかです、すいません。」
間髪入れずに謝ることにした。ここまでしてもらってると流石に、申し訳なさが出てくるのが日本人のさがというものだ。…こんな青年相手でもだ。

「……まず、魔術カリスにおいて一番重要なのはイメージする事だ。そのイメージが正確な程にその魔術カリスはより正確に発動する。掌でも指先でもいい、そこに集中して力を込めれば大抵の奴は発動する。」
そういって、やってみろという顔でこちらに視線をやってきた。

…イメージか。私の魔術カリスは想像の具現化、恐らくイメージする事は必須である事は間違いない。そして、より正確に事細やかにイメージできるのは…しかない。


_創造イメージ:感触 構造 電子回路 質感:復元

___指先に力を入れて

_____少し息を吸う

_______何処からか力が抜ける感覚がする。


蒼くて美しい光が指先から放たれた瞬間、掌に程よい程度にズッシリとした手によく馴染む物体がコトリと入った。
それはいつぞやにご臨終なされて、残念ながら息を引き取った後私が、満足するまで解体した相棒 OM-D E-M1 MarkIIであった。それは細やかな傷まで私の物に再現されていて、電源ボタンを押しても、いつも通りのスタート画面だ。__これは大成功では無いだろうか。コイツ OM-D E-M1 MarkIIの性能をしれば絶対に青年は私に価値があると決めるだろう。
そして私は得意げに顎を上に反らしながら

「どうです、これは良い魔術カリスだと思いませんか。」
と得意げに言ってやった。

青年は、カメラを知らないのかキョトンとした顔で私を見てくるのみだった。

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