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一番大切な人
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背中に腕を回され、彼の胸の中へと引き込まれる。身体から力が抜け、ぐったりと広い胸にもたれかかると、彼は背中を優しくさすってくれる。
「大丈夫?」
少し笑っているのが、彼の身体から使わってくる。その場で頷けば、優しいキスが頭に落ちてくる。しばらくそのまま、彼の腕の中で幸せを噛み締めていた。
「あの、今日の……食事って……」
心地良い沈黙を破って口を開けば、低く優しい声が耳元に当てた胸で響く。
「ん? どうした?」
「どんな人だったのかな、って……」
こんなことを聞く権利が果たして私にあるのか、それはまだわからない。私の事をどう思っているかは、怖くて聞けずにいる。
「出版社の人だよ。もうすぐ新刊が出るから、打合せがてらね」
そうなんですか、と答えて、また沈黙がその場を包む。すると、彼が身体が小さく揺れている事に気付く。腕の中で身をよじって彼を見上げると、思ったよりも近くにその顔があって心臓が跳ね上がる。唇を噛んで笑う彼が、おかしくて堪らないといった様子で声をあげている。何を笑われているのかもわからない私は、ただ彼の笑顔に見惚れる他なかった。
やがて彼は震える声で話し出した。
「心配しないで。今日会ったのは男だよ。それも、熊みたいな大男だ」
嫉妬していたことに気付かれていた恥ずかしさで、顔が一気に赤くなる。それを見て、史弥さんは頬を撫でて額にキスをしてくる。
「やきもちを妬いてくれるなんて嬉しいな」
私を安心させるようにそう言うと、頭に大きな手を当てて自らの胸へと引き寄せた。
「大丈夫、俺は葉月にしか興味ないよ」
ぎゅっときつく抱き締めて、彼はそう言ってくれた。彼はきっと、くだらないことで不安になっていた私を見透かしていたのだろう。
勇気を出して彼の腰元のシャツを掴むと、彼は腕に更に力を込めて私の身体をぴたりと自らの身体に沿わせた。
「もっとしっかり捕まえておかなくていいの?」
そう笑われて、ゆっくりと彼の背中へと腕を回した。ぎゅっと力を入れてくっつくと、大きな手で頭を撫でられる。
「はい、良く頑張りました」
子供みたいに頭をぽんぽんとされて、恥ずかしくもあるが何故だかそれがとても心地良かった。
「捕まえておかないといけないのは、俺じゃなくて葉月なんだけどね」
もう笑うのはやめて、低い声で彼が言った。耳をつけた胸元で響く声は、穏やかながらも心臓に直接響く様な不思議な迫力があった。
「私、ですか」
うん、と彼が頷くのがわかる。腕の力をやや弱めて、ゆるりと回した手で背中を撫でてくる。ぞわりと首筋に鳥肌が立って、背中のシャツを掴む手に力が入った。
「そう。俺はもう、葉月からは逃げられないからね。君みたいな子は初めてだよ」
突然そんなことを言われて戸惑う私の額にキスを落として、頬に両手を滑り込ませてくる。少し身体を離して、じっと目を見つめてくる。その瞳に吸い込まれそうになって、慌てて目を伏せた。初めてこの目に見つめられた瞬間から、私はとっくに逃げられなくなっている。
「もう一度キスをしたら、葉月は逃げ出しちゃうかな」
そう言いながら、ゆっくりと顔を近付けてくる。口角を上げて笑うその唇は、微かに開かれている。
「逃がす気なんて、更々ないんだけどね」
そう言う低い声とは似つかわしくない程の眩い笑顔を浮かべて、彼は最後の距離を縮めた。優しく噛み付く様にキスをした彼は、そのまま私の身体を強く抱き締めた。そしてあっという間に唇を離して、優しい笑みを向けてくれる。
「これ以上一緒にいたら、さっきの約束を破って葉月のこと食べちゃいそうだ」
目を細めて笑い、大きな手で頭を包み込む。
「無理強いして傷付けるのも、嫌われるのもまずいからね。今夜はこれで帰る事にするよ」
最後に優しく私の身体を包み込んで、ふわりと離れて行ってしまう。立ち上がって背広に腕を通す彼に未練がましい視線を送りながら、今にも破裂してしまいそうな心臓を落ちつけようと呼吸を繰り返した。
「嫌いになんて、ならないです……絶対」
先ほどの言葉に対してそう返すと、彼は片方の口角を釣り上げて笑って見せる。その妖艶さに、酔いそうになる。彼を構成する全てが、私を引きつける何かしらの成分でできているのだろうと、よくわからないことを考えていた。
彼は私の前でしゃがみ込むと、首筋を指でなぞる。抵抗できない私の目を覗きこんで、更に指を下へと這わせていく。鎖骨を指で包むように通り過ぎ、薄手のニット素材で包まれた胸元へと近付く。ブイネックの一番深い所までゆっくり時間をかけて進むと、軽く襟を引っ張るようにして指を離した。そして、固まる私の頭を撫でて、先程のように片方の口角を釣り上げる。
「怖がらせたかな」
頭に手を乗せたまま、身体を近付けて顔を覗き込まれる。首を横に振って、大好きな瞳を見つめる。
「怖くなんてないです。史弥さんなら、本当に……」
「嬉しいことを言ってくれるね。でも、そんなことを言ったらダメだよ」
窘められて、何がいけなかったのかと混乱する。史弥さんのことを怖いだなんて思った事は一度もないし、この先何をされても、それは変わらないと思った。だから、口にしたのだ。動揺していることに気付いたのか、彼は優しく微笑む。
「男の理性なんて、簡単に壊れてしまうからね。こんな状況で、俺を試すようなことはしないでよ。葉月があんまり可愛いから、ついいじめてしまいたくなる」
さらりとそう言われて、恥ずかしさでただでさえ赤かったはずの顔が熱くなる。もちろん彼は、それを見て楽しそうに笑う。
「ほら、また。本当に、これ以上悪さをする前に帰らないと」
額に一度キスをして、彼は立ち上がった。
「また、来てくれますか」
玄関で靴を履いた彼に尋ねると、彼は驚いて目を丸くさせた。そしてすぐに微笑んでくれる。
「葉月が嫌でなければ毎日でも。今度は俺の家にもおいで」
嬉しくて笑い返せば、彼の微笑みは更に色付いて優しくなる。その笑顔に勇気づけられて、心につかえていたことを口にする。
「あの、私って……何ですか?」
まるで意味不明な質問に、彼は当然のごとくきょとんと眼をしばたいた。そして困ったように一度小さく笑うと、恐る恐る、と言った具合で私の目を覗きこむ。
「ええと、人だと思ってたんだけど……」
えっと声を出した私の前で、彼は今度こそ本当に困り果てた顔をする。心配そうな目つきをして、口をきつく結んでいる。
「あの、そういう意味じゃなくて。その……なんていうか……私って……」
うん? と優しく先を促す史弥さんの前で頷き、きゅっと目を閉じた。そうでもしないと、恥ずかしくてこれから言おうとしている事など口に出来そうもなかったからだ。
無理やり心を奮い立たせて、小さな小さな声で、ぽつりと呟く。
「史弥さんの、何ですか」
少しの沈黙の後、暖かい感覚に包まれて目を開けた。すると、私はいつの間にか彼の腕に包まれていた。驚いて目を開ければ、すぐ近くで彼が笑う。あまりの眩しさに目がくらみそうになるが、それでも目を逸らせずにいた。
「そういう意味か。ごめんね、不安にさせてたかな?」
大きな手で頭を包み込んで、彼が視線を合わせる様に腕の力を緩めて屈みこむ。目の前で光る灰色の瞳に、全ての意識が削ぎ取られる。
「葉月はきちんと言ってくれたのに、そう言えば俺は言葉で返していなかったね。わかってくれてるとは思ってたけど、それはよくなかった」
手を背中へと滑らせて、再び私を包み込む。僅かに開けた隙間を利用して、彼は私の目を見つめている。そして優しく微笑んで、待ち望んでいた言葉をくれる。
「葉月が好きだよ。葉月は、俺の一番大切な人だ」
「一番大切な人……」
初めて言われた甘い響きに、頭の芯がぼうっとしてくる。今にも溶けてしまいそうな程優しい瞳をした彼が、こくりと頷く。
「そう。だから、誰にも渡さない。ずっと、俺だけの葉月だよ。これで、さっきの質問の答えになってるかな?」
胸の中で頷けば、彼の甘い笑い声が聞こえてくる。暖かくて、幸せで、こんなことが私の人生で起きるだなんて、奇跡のようにも感じていた。史弥さんとう存在自体が、私には奇跡だった。
「これ以上くっついてたら、俺本当に葉月の事食べちゃうけどいいの?」
突然低くなった声が首筋に落ちて、ゾワリと鳥肌が立つ。彼に『食べられてしまう』ことは、決して嫌ではない。むしろそんなことが現実に起きれれば、幸福感と彼の魅力に酔いしれてどうにかなってしまうのではとすら思う程だ。
しかし、今覚悟ができているかと問われれば、答えはノーだった。肩に力が入り、動くことが出来なくなる。
「大丈夫だよ、わかってるから」
固まる私の肩を優しく撫でて、彼が言った。見上げれば、月の様に穏やかで妖艶な笑みを浮かべている。
「だから、そろそろ本当に帰らないと」
そう言いながら額に唇を寄せて笑っている。
「気を付けて帰ってください」
控えめに彼の背中に手を回して応える。うん、と彼が頷くのがわかる。最後にぎゅっと力を入れて抱きしめてくれた彼は、ゆっくりと私の身体を離した。もう寂しくて、両手で名残惜しく彼の胸元に手を置いたままだ。
「おやすみ」
そう言った彼は、優しく頬を撫でてから、とうとう帰ってしまった。
「大丈夫?」
少し笑っているのが、彼の身体から使わってくる。その場で頷けば、優しいキスが頭に落ちてくる。しばらくそのまま、彼の腕の中で幸せを噛み締めていた。
「あの、今日の……食事って……」
心地良い沈黙を破って口を開けば、低く優しい声が耳元に当てた胸で響く。
「ん? どうした?」
「どんな人だったのかな、って……」
こんなことを聞く権利が果たして私にあるのか、それはまだわからない。私の事をどう思っているかは、怖くて聞けずにいる。
「出版社の人だよ。もうすぐ新刊が出るから、打合せがてらね」
そうなんですか、と答えて、また沈黙がその場を包む。すると、彼が身体が小さく揺れている事に気付く。腕の中で身をよじって彼を見上げると、思ったよりも近くにその顔があって心臓が跳ね上がる。唇を噛んで笑う彼が、おかしくて堪らないといった様子で声をあげている。何を笑われているのかもわからない私は、ただ彼の笑顔に見惚れる他なかった。
やがて彼は震える声で話し出した。
「心配しないで。今日会ったのは男だよ。それも、熊みたいな大男だ」
嫉妬していたことに気付かれていた恥ずかしさで、顔が一気に赤くなる。それを見て、史弥さんは頬を撫でて額にキスをしてくる。
「やきもちを妬いてくれるなんて嬉しいな」
私を安心させるようにそう言うと、頭に大きな手を当てて自らの胸へと引き寄せた。
「大丈夫、俺は葉月にしか興味ないよ」
ぎゅっときつく抱き締めて、彼はそう言ってくれた。彼はきっと、くだらないことで不安になっていた私を見透かしていたのだろう。
勇気を出して彼の腰元のシャツを掴むと、彼は腕に更に力を込めて私の身体をぴたりと自らの身体に沿わせた。
「もっとしっかり捕まえておかなくていいの?」
そう笑われて、ゆっくりと彼の背中へと腕を回した。ぎゅっと力を入れてくっつくと、大きな手で頭を撫でられる。
「はい、良く頑張りました」
子供みたいに頭をぽんぽんとされて、恥ずかしくもあるが何故だかそれがとても心地良かった。
「捕まえておかないといけないのは、俺じゃなくて葉月なんだけどね」
もう笑うのはやめて、低い声で彼が言った。耳をつけた胸元で響く声は、穏やかながらも心臓に直接響く様な不思議な迫力があった。
「私、ですか」
うん、と彼が頷くのがわかる。腕の力をやや弱めて、ゆるりと回した手で背中を撫でてくる。ぞわりと首筋に鳥肌が立って、背中のシャツを掴む手に力が入った。
「そう。俺はもう、葉月からは逃げられないからね。君みたいな子は初めてだよ」
突然そんなことを言われて戸惑う私の額にキスを落として、頬に両手を滑り込ませてくる。少し身体を離して、じっと目を見つめてくる。その瞳に吸い込まれそうになって、慌てて目を伏せた。初めてこの目に見つめられた瞬間から、私はとっくに逃げられなくなっている。
「もう一度キスをしたら、葉月は逃げ出しちゃうかな」
そう言いながら、ゆっくりと顔を近付けてくる。口角を上げて笑うその唇は、微かに開かれている。
「逃がす気なんて、更々ないんだけどね」
そう言う低い声とは似つかわしくない程の眩い笑顔を浮かべて、彼は最後の距離を縮めた。優しく噛み付く様にキスをした彼は、そのまま私の身体を強く抱き締めた。そしてあっという間に唇を離して、優しい笑みを向けてくれる。
「これ以上一緒にいたら、さっきの約束を破って葉月のこと食べちゃいそうだ」
目を細めて笑い、大きな手で頭を包み込む。
「無理強いして傷付けるのも、嫌われるのもまずいからね。今夜はこれで帰る事にするよ」
最後に優しく私の身体を包み込んで、ふわりと離れて行ってしまう。立ち上がって背広に腕を通す彼に未練がましい視線を送りながら、今にも破裂してしまいそうな心臓を落ちつけようと呼吸を繰り返した。
「嫌いになんて、ならないです……絶対」
先ほどの言葉に対してそう返すと、彼は片方の口角を釣り上げて笑って見せる。その妖艶さに、酔いそうになる。彼を構成する全てが、私を引きつける何かしらの成分でできているのだろうと、よくわからないことを考えていた。
彼は私の前でしゃがみ込むと、首筋を指でなぞる。抵抗できない私の目を覗きこんで、更に指を下へと這わせていく。鎖骨を指で包むように通り過ぎ、薄手のニット素材で包まれた胸元へと近付く。ブイネックの一番深い所までゆっくり時間をかけて進むと、軽く襟を引っ張るようにして指を離した。そして、固まる私の頭を撫でて、先程のように片方の口角を釣り上げる。
「怖がらせたかな」
頭に手を乗せたまま、身体を近付けて顔を覗き込まれる。首を横に振って、大好きな瞳を見つめる。
「怖くなんてないです。史弥さんなら、本当に……」
「嬉しいことを言ってくれるね。でも、そんなことを言ったらダメだよ」
窘められて、何がいけなかったのかと混乱する。史弥さんのことを怖いだなんて思った事は一度もないし、この先何をされても、それは変わらないと思った。だから、口にしたのだ。動揺していることに気付いたのか、彼は優しく微笑む。
「男の理性なんて、簡単に壊れてしまうからね。こんな状況で、俺を試すようなことはしないでよ。葉月があんまり可愛いから、ついいじめてしまいたくなる」
さらりとそう言われて、恥ずかしさでただでさえ赤かったはずの顔が熱くなる。もちろん彼は、それを見て楽しそうに笑う。
「ほら、また。本当に、これ以上悪さをする前に帰らないと」
額に一度キスをして、彼は立ち上がった。
「また、来てくれますか」
玄関で靴を履いた彼に尋ねると、彼は驚いて目を丸くさせた。そしてすぐに微笑んでくれる。
「葉月が嫌でなければ毎日でも。今度は俺の家にもおいで」
嬉しくて笑い返せば、彼の微笑みは更に色付いて優しくなる。その笑顔に勇気づけられて、心につかえていたことを口にする。
「あの、私って……何ですか?」
まるで意味不明な質問に、彼は当然のごとくきょとんと眼をしばたいた。そして困ったように一度小さく笑うと、恐る恐る、と言った具合で私の目を覗きこむ。
「ええと、人だと思ってたんだけど……」
えっと声を出した私の前で、彼は今度こそ本当に困り果てた顔をする。心配そうな目つきをして、口をきつく結んでいる。
「あの、そういう意味じゃなくて。その……なんていうか……私って……」
うん? と優しく先を促す史弥さんの前で頷き、きゅっと目を閉じた。そうでもしないと、恥ずかしくてこれから言おうとしている事など口に出来そうもなかったからだ。
無理やり心を奮い立たせて、小さな小さな声で、ぽつりと呟く。
「史弥さんの、何ですか」
少しの沈黙の後、暖かい感覚に包まれて目を開けた。すると、私はいつの間にか彼の腕に包まれていた。驚いて目を開ければ、すぐ近くで彼が笑う。あまりの眩しさに目がくらみそうになるが、それでも目を逸らせずにいた。
「そういう意味か。ごめんね、不安にさせてたかな?」
大きな手で頭を包み込んで、彼が視線を合わせる様に腕の力を緩めて屈みこむ。目の前で光る灰色の瞳に、全ての意識が削ぎ取られる。
「葉月はきちんと言ってくれたのに、そう言えば俺は言葉で返していなかったね。わかってくれてるとは思ってたけど、それはよくなかった」
手を背中へと滑らせて、再び私を包み込む。僅かに開けた隙間を利用して、彼は私の目を見つめている。そして優しく微笑んで、待ち望んでいた言葉をくれる。
「葉月が好きだよ。葉月は、俺の一番大切な人だ」
「一番大切な人……」
初めて言われた甘い響きに、頭の芯がぼうっとしてくる。今にも溶けてしまいそうな程優しい瞳をした彼が、こくりと頷く。
「そう。だから、誰にも渡さない。ずっと、俺だけの葉月だよ。これで、さっきの質問の答えになってるかな?」
胸の中で頷けば、彼の甘い笑い声が聞こえてくる。暖かくて、幸せで、こんなことが私の人生で起きるだなんて、奇跡のようにも感じていた。史弥さんとう存在自体が、私には奇跡だった。
「これ以上くっついてたら、俺本当に葉月の事食べちゃうけどいいの?」
突然低くなった声が首筋に落ちて、ゾワリと鳥肌が立つ。彼に『食べられてしまう』ことは、決して嫌ではない。むしろそんなことが現実に起きれれば、幸福感と彼の魅力に酔いしれてどうにかなってしまうのではとすら思う程だ。
しかし、今覚悟ができているかと問われれば、答えはノーだった。肩に力が入り、動くことが出来なくなる。
「大丈夫だよ、わかってるから」
固まる私の肩を優しく撫でて、彼が言った。見上げれば、月の様に穏やかで妖艶な笑みを浮かべている。
「だから、そろそろ本当に帰らないと」
そう言いながら額に唇を寄せて笑っている。
「気を付けて帰ってください」
控えめに彼の背中に手を回して応える。うん、と彼が頷くのがわかる。最後にぎゅっと力を入れて抱きしめてくれた彼は、ゆっくりと私の身体を離した。もう寂しくて、両手で名残惜しく彼の胸元に手を置いたままだ。
「おやすみ」
そう言った彼は、優しく頬を撫でてから、とうとう帰ってしまった。
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