conceive love

ゆきまる。

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「母さま!!これ母さまにあげる!」

父親譲りの端整な顔立ちをした少女は手にした花冠を母親の頭に優しく載せる。

「わぁ、すごく上手にできたね、ニア」

「ハンナに教えてもらったの!」

ニアと呼ばれた少女は得意げな顔をしてそう言い、もう一つ作ろうと花を摘み始める。

「父さまの分も作らなきゃ!」

「じゃあニア、母さまにも作り方教えてくれる?」

「もちろん!母さまは誰にあげるの?」

「ん?それはもちろん明日7歳になる可愛い可愛い娘にあげるに決まってるでしょ」

「…!母さま!大好き!!」


あの日、結局ネルは孕むことはなかったが、それから幾度かの発情期ヒートを経験し、第一子であるニアを無事に出産した。



そんなニアも明日7歳になる。



「ねえ、母さま、私が産まれた時父さまが泣いたって本当?」

「え?どうしたの急に」

「ハンナがね、『旦那様が泣いてるのなんて初めて見ました』って言ってたの」

「アハハ、そうだねぇ、」


ネルは懐かしむように目を細め、中々子どもが出来なくて苦しんでいたこと、その度にオリバーが抱きしめて安心させてくれたこと、ニアが産まれた日に泣きながら2人を抱きしめてくれたことを話す。


「母さまもね、父さまが泣くところ初めてみたよ…ニア?」

話し終えた時、ニアは立ち上がってネルを抱きしめる。

「……ニアは母さまと父さまの娘に生まれてこれて嬉しい、諦めないでくれてありがとう!」

「ニア…」

外見だけでなく心も父親に似てとても優しい子に育っている娘を抱きしめたネルは自分こそ、子どもを諦めなくて良かったと強く思っていた。


その時、ふともう1人の暖かさに包まれた2人は驚いて顔を上げる。

「何してるんだ?」

「父さま!」

「オリバー、おかえりなさい」

それは仕事を終え、帰宅したオリバーだった。

「屋敷にいないと思ったらここにいると聞いてな、迎えに来たぞ」

オリバーはそう言いながら手に持ったブランケットをネルの肩に掛ける。

「あ、そうだ!父さまにこれあげる!」

ニアはそう言って先ほど作り終えた花冠をネルにしたようにオリバーの頭へ載せる。

「おお、上手だなニア」

「じゃあニアはこれを、」

ネルもニアに教えてもらいながら作った花冠をニアの頭に載せた。

「ふふ、みんなお揃い!」

嬉しそうに笑ったニアは「あ!」と声を上げ、ネルのお腹に耳を当てた。


「あなたが産まれたら、あなたの分は姉さまが作ってあげるからね」















夕日に照らされた家族は幸せそのものだった。




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