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side オリバー
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『誰かとまた番になる時が来たら、私の分まで愛してあげて。泣いていたら、抱きしめて大丈夫だって言ってあげて』
ふと、かつての番の言葉を思い出す。
『私はあなたの番になれて幸せよ。短い人生だったけど、あなたに出会えただけで生きることを諦めなくてよかったと思たわ』
ただ静かに微笑んだあの人は幸せだと言った。
『だから、あなたを必要とする人が現れたら幸せにしてあげて』
そうだ。
俺はもう二度と番を失わないと、必ず幸せにするとあの人に誓ったんだ。
「ネル…大丈夫だ、俺がずっと傍にいる」
泣き続けるネルを強く抱きしめ、安心させるように声をかける。
「大丈夫、大丈夫」
「っ、…ふっ、もう、赤ちゃん、産めない、のかな、?」
あぁ、また、自分が悪いと思っているのか。
「子どもなんかいなくても、俺はお前を離したりしないし、嫌いにもならない」
「でもっ!」
「大丈夫だ。俺たちはまだ若い。それに俺の母親も遅くに姉を産んでいる」
だからお前は何も悪くない。
そう言ってあやすように背中を優しく叩くとネルはまたわんわん泣き出してしまった。
「まだ、もう少し2人でいてもいいじゃないか」
「っ、2人、で…」
番になってまだたったの2年。
「そうだ、この発情期が終わったら旅行に行こう」
「うん、うん、…っ」
「それからーーーーー
ふと、かつての番の言葉を思い出す。
『私はあなたの番になれて幸せよ。短い人生だったけど、あなたに出会えただけで生きることを諦めなくてよかったと思たわ』
ただ静かに微笑んだあの人は幸せだと言った。
『だから、あなたを必要とする人が現れたら幸せにしてあげて』
そうだ。
俺はもう二度と番を失わないと、必ず幸せにするとあの人に誓ったんだ。
「ネル…大丈夫だ、俺がずっと傍にいる」
泣き続けるネルを強く抱きしめ、安心させるように声をかける。
「大丈夫、大丈夫」
「っ、…ふっ、もう、赤ちゃん、産めない、のかな、?」
あぁ、また、自分が悪いと思っているのか。
「子どもなんかいなくても、俺はお前を離したりしないし、嫌いにもならない」
「でもっ!」
「大丈夫だ。俺たちはまだ若い。それに俺の母親も遅くに姉を産んでいる」
だからお前は何も悪くない。
そう言ってあやすように背中を優しく叩くとネルはまたわんわん泣き出してしまった。
「まだ、もう少し2人でいてもいいじゃないか」
「っ、2人、で…」
番になってまだたったの2年。
「そうだ、この発情期が終わったら旅行に行こう」
「うん、うん、…っ」
「それからーーーーー
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