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side オリバー
しおりを挟むついに来たか、と思った。
(周期的にはいつ発情期が来てもおかしくはない時期だったが…)
ネルはただの不調だと思っているだろうか。
発情期の予兆の一つである発熱。
俺は、真実を告げることができるのだろうか。
ネルは、受け入れられるだろうか、
妊娠などしていない事を。
「マルコはいるか」
「はい、こちらに」
身支度を終え、厨房へ向かいネルの食事について料理長に伝える。
「いつ起きてもすぐに食事を摂れるように準備しておいてくれ……発情期が、始まる」
「…はい、かしこまりました」
料理長は何か言いたげだったが発情期については触れずに了承をした。
(後はそうだな…医者も呼んでおかないといけないな)
それから数時間が経ち、ある程度仕事を終えたところで寝室へと戻ることにした。
一度、ネルが起きて食事を摂りまた眠ったと報告を受けたが、そろそろ起きている頃だろう。
「ネル?」
寝室へ入るとベッドにあるはずの無いものがいくつも積み重なっていた。
綺麗に円を描くような形で積み重なっているそれは俺の洋服や身につけるものばかり。
「下着まで持ってきたのか…」
思わず苦笑してしまったが、その円の中心で身体を丸め寝息を立てている番を見るとそんな事はどうでも良くなってくる。
「立派な巣だな、ネル」
それはΩの本能である巣作り。
だが実際に見るのは初めてだった。
(巣作りまでしたんだ、今回こそは現実になるだろう)
でも、その前にネルに現実を伝えなければならない。
「ネル、」
「ん…、オリ、バー…?」
数回身体を揺するとネルは目を覚ました。
「ネル、素敵な巣だな」
「え?」
途端目を見開き周りを見渡したネルは信じられないと言った表情をする。
それもそうだ、巣作りは発情期時にしかしない行動だから。
「なん、で?巣作り、だって、僕、もう妊娠して、」
そう言いながらネルは腹を抱く。
「ネル、落ち着いて聞いてほしい」
「いや、だ」
「君は…」
「うそ、」
「妊娠なんかしていないんだ」
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