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異世界転生系
魔王×転生者
しおりを挟むそれはいつものように側近から国の報告を受けている時だった。
「今年の異常な積雪でほとんどの地域が雪に埋もれてしまっていてストレスを感じているのか暴走する魔物が増え…」
「…?」
「魔王様、今のは…」
「ふむ…城のすぐ近くだな」
何かが結界の内側に入ってきた…いや、突如現れたと表現する方が正しい感覚がした。
「見に行かれますか?」
「ああ」
城を出て何かが現れた場所へと向かう。
そこはそれほど遠くはなく、この猛吹雪でも数分歩けば到着する場所だった。
「人間、でしょうか」
ここは魔物の国、自分らのように人型をしているものもそれなりに存在するが、目の前に横たわっているのはどこからどうみてもただの人間のように見える。
「そのようだな」
「しかし一体どうやって?それにこれは…」
横たわっている人間はこの猛吹雪の中、なにも身に纏ってはいなかった。
「息はあるようだな。連れて帰るぞ」
「まぁ…見捨ててはおけませんね」
身につけていたマントで人間を包み城へと引き返す。
結界が破られた形跡はない。
一体この人間は何者なのだろうか。
城へ戻り、とりあえず風呂を用意させこの人間を入れるようにメイドへと言付け人間を預ける。
「お前はどう思う」
「あの人間ですか?」
「ああ」
そうですね、と言い手を顎に添え考え込んだ側近は私と同じことを思い付いたようだった。
「神子召喚…でしょうか…」
「そうだろうな」
人間による神子召喚はかつて我が国と人間が争った際に人間が行った召喚儀式。
曰く、神子の恩恵により勝利をもたらすと。
「しかし何故こちらに?人間が行った儀式ならあちらの国に呼ばなければ意味がないのでは?」
「神子は召喚できたが、召喚の座標を見誤った…つまり儀式は失敗したということじゃないのか」
「はぁ…それにしても神子召喚とは…」
神子の恩恵により勝利をもたらす…つまり人間側はまたこちらに戦いを挑もうとしていると言うこと。
「全く、人間どもには呆れますね。この500年余り、穏便に暮らしているというのに」
「ああ、本当にな」
今からおよそ500年前まで人間と我が国は幾度も争いを続けてきた。
しかし先代が死に、争いに辟易していた私は魔物を自国から出さないよう結界を張ることで長い間続いてきた争いを終わらせた。
だと言うのに人間側はまだ戦う気でいるのか。
「…そういえば人間の王がまた代わったと言っていたな」
「ええ、あの時の王から数えれば3世代目となっていますね」
「3世代も変わると考えも変わるか…」
心底呆れてしまう。
魔法を使えるから我らを葬れると思っている。
人間の扱う魔法は元々魔族によってもたらされたものだと言うのに。
「しかしあの人間、どうされますか?」
「私の物としてここに住まわせておこう。人間どもに渡すのも癪だ。それにここに来れたという事は…」
「…そうですね。かしこまりました」
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