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しおりを挟むノエルが目を覚ますと竜王らはすでにディサイヴへと出発した後だった。
「でも、まだ日が高い…まだ、我慢…」
この日、ノエルはいつもより時間が経つのを遅く感じた。
ベッドに横たわったままそっと扉の外に集中すると微かに聞こえる足音。
竜王がいない事を考えればここに来る者はウェズだけだ。
(やっぱり…俺が寝ているか確認しに来ているか…)
足音が部屋の前で止まると同時に「ノエル様、」と声が聞こえて来たがノエルはその声に応えることもなく、動くこともしない。
「おやすみなさいませ」
そう声を掛けたウェズの足音は完全に聞こえなくなった。
「よし」
誰に聞かれるでもないのに小さな声でそう呟いたノエルは夕陽の射すバルコニーへ続く窓に手を添え、開け、と念じる。
カタン、と聞き慣れた窓が開く音がやけに大きく響いた気がした。
「すごい…!」
ノエルは今、ディオーンが一望できるほどに空高く飛んでいた。
そしてふと視線を向けた先に6つの光の柱を捉える。
(あれは…あいつらか…てことはディサイヴはあっち…)
そのままノエルはディサイヴとは反対方向へと進む。
そして、しばらく飛んで行くと目下には森が広がっていた。
「もう、ディオーンは抜けたのか…」
後ろを振り返ると少しだけ遠くにディオーンが見える。
「そうだ…そろそろ下に降りないと…」
ノエルはこのまま空を飛び続けていればいずれ竜王に見つかると察していた。
それならこの、陽の光も届かないような鬱蒼とした森に入り姿をくらませようとゆっくりと下降し、地面に足をつける。
「これから、どこに行こうか」
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