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第一章 悪役令嬢と女神様
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雪のように白い髪に抹茶色の瞳の女性。我が自慢のお母様である。
「全く、貴女はヴァンクリーフ家の娘なのだからもっと言動には気をつけなさい」
お小言だってチャームポイントだ。
お肌はすべすべでシワなんて分からない。そもそもない気がしなくもない。
元々ふわふわしているけれど、へにゃりと笑った顔は恋する乙女のようですごく可愛い。女性より少女の方がしっくりくる。…こんな見た目なのにあと二年で40歳って詐欺だと思う。美女なんて超えて美魔女だよ。なんか禁術でも使っているんじゃない?ほら、森の奥で長い金髪の少女を育てていたり…。いや、無いとは思うけど。
その隣でデレデレと笑っているのがお父様だ。こっちは顎髭がかっこいいダンディーな見た目だ。ダンディーなのにデレデレで、見る人が見ればギャップ萌え…とか言う顔かもしれない。お母様のへにゃりという笑顔は可愛いけれど、お父様のへにゃりという笑顔はただ気持ち悪い。マジで止めてその顔。…別に反抗期な訳ではない。あくまで客観的に見て、だ。
お父様は実年齢より年寄りに見える。真面目な服をちょっと着崩している所や無造作な髪がいけないんだろうか。
「うん、社交界では皆敵だからね」
見た目では歳の差が有りまくっている二人。歳の差が20~30くらいあるんじゃないかと思う。けれど、実年齢でいうとそうでもない。一歳だけお母様が若いだけだもん。こんなヘンテコ両親のもとで育ったからゲームの中のシルヴィラちゃんはあんなワガママ人間になったんだろうか。いや、あれは反抗期だな。私には一切関係ないやつ。
え、だって私に反抗期なんてありませんから?…はいそこ、バカじゃねコイツとか思わない!本当に無いんだからね!?
あれ、今どさくさに紛れてお父様が言ってはいけないことを言った気がする。皆敵って…。まぁ、隙を見せるなってことなんだろうけれど。
お母様のお小言は相変わらずだけど、怒っている感じではないし、なんで呼び出しをくらったのかいまいち分からない。パーティーまだ途中だし…この程度なら家で良くね?
お母様とお父様の話は短かった。もう体感だと5、6分くらいだ。その間、お兄様はこれからのスケジュールの確認をしていた。準備とかしないイメージだけど、見えないところで意外とやっているらしい。初めて知った。
話が終わるとお母様もお父様もお兄様も仕事だそうで、私は部屋から追い出された。
どーせ私は邪魔ですよーだ。
…何しよう?さっき騒ぎを起こした所には行きたくない。絶対気まずい。
あ、そうだ、ロランにモブの極意を教えてもらおう!うん、我ながら妙案だ。そうと決まったら早速行くぞー!
「淑女がドレス姿でスキップは駄目だと思う~」
ちょうど移動を開始したとき、のんびりとした声が響いた。
ん?あ、この声は…はっ、マイエンジェルではないか!?
しかし、スキップが駄目ならやはり走るか!?正直私は走りたい!
「走るのはもっと駄目だよ~?シルヴィラちゃん、常識って知ってる~?あ、知らないよね~シルヴィラちゃんだもん、ふふっ」
私よりよっぽどふわふわの癖にさらりと毒を吐く少女。彼女はミシェル・フォーレスト。家同士が仲が良く、小さい頃から一緒に遊んできた。金の髪にブラウンの瞳で人形みたいな可愛さがある。私はいつもマイエンジェルと崇めているのだけれど、一言「気持ち悪い」で一掃される。そんなのには負けないもん。強く生きるんだもん。
ええと、乙女ゲームでは確か…シルヴィラの取り巻きAだった気がする。え、全く名前にAが入ってないやん。なんでAなの。
「ところでシルヴィラちゃんはどこに行くの~?」
ミシェルは小首を傾げて聞く。あれ、ホントにこの子天使かもしれない。
「ふっふっふっ、ロランにモブの極意を教えてもらいに行くのよ!」
「モブ…?て、何…?」
「え、ミシェルも聞きたい?そうよね、じゃあ一緒に行きましょう!」
てれててっててーん、ミシェルが仲間に加わった!
無理やり連れていくな?聞きたいなんて言ってない?残念ながら、なんにも聞こえないね。
ということで、いざロランのところへ!私はミシェルの手首を掴み、ずんずん道を進んだ。走ってない、早歩きだ。さて、ロランの部屋は……じゃない。ここ、ロランの家じゃない。じゃあ、ロランはどこ?
あ、れ?
ふと、冷静になって、私は立ち止まる。
「ねぇミシェル」
「はぁっはぁっ、…シルヴィラちゃん、ロランくんがどこにいるか分かってるの~?」
あら?ミシェルちゃん息が切れてる?お嬢様生活って運動しないもんね。やっぱり運動は必要だね、うん、私は間違ってなかった。毎日階段ダッシュして怒られてきた甲斐があったよ。今はダッシュしても飽きれ顔になるだけで何も言われなくなったけど。って、そうじゃなくて。
いろいろ考えてから、清々しい笑顔で答える。
「分かんない!」
「ふふっ、やっぱり考えなしだよね~」
「……」
あの、ミシェルさん?笑顔が黒いですよ?
それと私のライフをそんなに削らないで頂けます?ライフは底なしな訳じゃないし…。ちょっと、いや結構、いやかなり精神的にキツイものがあるんで。
「全く、貴女はヴァンクリーフ家の娘なのだからもっと言動には気をつけなさい」
お小言だってチャームポイントだ。
お肌はすべすべでシワなんて分からない。そもそもない気がしなくもない。
元々ふわふわしているけれど、へにゃりと笑った顔は恋する乙女のようですごく可愛い。女性より少女の方がしっくりくる。…こんな見た目なのにあと二年で40歳って詐欺だと思う。美女なんて超えて美魔女だよ。なんか禁術でも使っているんじゃない?ほら、森の奥で長い金髪の少女を育てていたり…。いや、無いとは思うけど。
その隣でデレデレと笑っているのがお父様だ。こっちは顎髭がかっこいいダンディーな見た目だ。ダンディーなのにデレデレで、見る人が見ればギャップ萌え…とか言う顔かもしれない。お母様のへにゃりという笑顔は可愛いけれど、お父様のへにゃりという笑顔はただ気持ち悪い。マジで止めてその顔。…別に反抗期な訳ではない。あくまで客観的に見て、だ。
お父様は実年齢より年寄りに見える。真面目な服をちょっと着崩している所や無造作な髪がいけないんだろうか。
「うん、社交界では皆敵だからね」
見た目では歳の差が有りまくっている二人。歳の差が20~30くらいあるんじゃないかと思う。けれど、実年齢でいうとそうでもない。一歳だけお母様が若いだけだもん。こんなヘンテコ両親のもとで育ったからゲームの中のシルヴィラちゃんはあんなワガママ人間になったんだろうか。いや、あれは反抗期だな。私には一切関係ないやつ。
え、だって私に反抗期なんてありませんから?…はいそこ、バカじゃねコイツとか思わない!本当に無いんだからね!?
あれ、今どさくさに紛れてお父様が言ってはいけないことを言った気がする。皆敵って…。まぁ、隙を見せるなってことなんだろうけれど。
お母様のお小言は相変わらずだけど、怒っている感じではないし、なんで呼び出しをくらったのかいまいち分からない。パーティーまだ途中だし…この程度なら家で良くね?
お母様とお父様の話は短かった。もう体感だと5、6分くらいだ。その間、お兄様はこれからのスケジュールの確認をしていた。準備とかしないイメージだけど、見えないところで意外とやっているらしい。初めて知った。
話が終わるとお母様もお父様もお兄様も仕事だそうで、私は部屋から追い出された。
どーせ私は邪魔ですよーだ。
…何しよう?さっき騒ぎを起こした所には行きたくない。絶対気まずい。
あ、そうだ、ロランにモブの極意を教えてもらおう!うん、我ながら妙案だ。そうと決まったら早速行くぞー!
「淑女がドレス姿でスキップは駄目だと思う~」
ちょうど移動を開始したとき、のんびりとした声が響いた。
ん?あ、この声は…はっ、マイエンジェルではないか!?
しかし、スキップが駄目ならやはり走るか!?正直私は走りたい!
「走るのはもっと駄目だよ~?シルヴィラちゃん、常識って知ってる~?あ、知らないよね~シルヴィラちゃんだもん、ふふっ」
私よりよっぽどふわふわの癖にさらりと毒を吐く少女。彼女はミシェル・フォーレスト。家同士が仲が良く、小さい頃から一緒に遊んできた。金の髪にブラウンの瞳で人形みたいな可愛さがある。私はいつもマイエンジェルと崇めているのだけれど、一言「気持ち悪い」で一掃される。そんなのには負けないもん。強く生きるんだもん。
ええと、乙女ゲームでは確か…シルヴィラの取り巻きAだった気がする。え、全く名前にAが入ってないやん。なんでAなの。
「ところでシルヴィラちゃんはどこに行くの~?」
ミシェルは小首を傾げて聞く。あれ、ホントにこの子天使かもしれない。
「ふっふっふっ、ロランにモブの極意を教えてもらいに行くのよ!」
「モブ…?て、何…?」
「え、ミシェルも聞きたい?そうよね、じゃあ一緒に行きましょう!」
てれててっててーん、ミシェルが仲間に加わった!
無理やり連れていくな?聞きたいなんて言ってない?残念ながら、なんにも聞こえないね。
ということで、いざロランのところへ!私はミシェルの手首を掴み、ずんずん道を進んだ。走ってない、早歩きだ。さて、ロランの部屋は……じゃない。ここ、ロランの家じゃない。じゃあ、ロランはどこ?
あ、れ?
ふと、冷静になって、私は立ち止まる。
「ねぇミシェル」
「はぁっはぁっ、…シルヴィラちゃん、ロランくんがどこにいるか分かってるの~?」
あら?ミシェルちゃん息が切れてる?お嬢様生活って運動しないもんね。やっぱり運動は必要だね、うん、私は間違ってなかった。毎日階段ダッシュして怒られてきた甲斐があったよ。今はダッシュしても飽きれ顔になるだけで何も言われなくなったけど。って、そうじゃなくて。
いろいろ考えてから、清々しい笑顔で答える。
「分かんない!」
「ふふっ、やっぱり考えなしだよね~」
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