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第4章
追い詰められる化物
しおりを挟むナギア side
「さぁ、おいで」
僕は一度切り落とされた自分の腕を確かめながら、白羅君達が何をしてくるかを待っていた。
やはり修行の成果もあったのか、ドーイさんがボコボコにされたのを見ても勇者達は動揺しなかった...いや、表情に出さなくなったという方が正しいだろう。
にしても、ドーイさんには申し訳ないことをしちゃったな...
いくらレベルが下がった状態の力加減が分からなかったといっても、あそこまでボコボコにするのは可哀そうだったな。
...まぁ、最終的には倒すから変わらないんだけどね。
気づいているものはいないだろうが、この張った結界内は、対象の魂の記録を読み取り具現化させた体に対象の意識を入れているので本当の体に害はない。だから、死んだとしても意識が元の体に戻るだけだ。
もちろん、アイテムや装備の性能すらも完璧にコピーできる。
皆の体の方は別の空間に置いてあり、試合でやられたら観客席みたいな場所に転移させると同時に意識を戻している。
僕達が試合をしている途中に予期せぬ事態が起こった場合、すぐに皆の体の安全を確保できるので、空間を創れるというのは便利だ。
だけど、世の中に絶対なんて言葉はないから、もし緊急時に皆を守れなかった場合、肉体を離れた魂の情報から体を創れるように準備している。これで体が跡形もなくなくなっても最悪の事態は避けれる。
よくよく考えてみると、僕の結界ってだんだん空間に付け足せるような効果も付けることができるようになってきたね。
自分が成長していることが分かった時というのはとても嬉しいことだね。更に、その事を誰かに褒めてもらえるのはもっと嬉しい。
...今思うと僕って褒められることより驚かれるか呆れられるくらいしかないな...まぁ、いっか。
僕が考えごとをしていると、白羅君が合図するに小さく動いていた。
...普通の人なら気づかない動作だけど、僕の範囲にいる時点で小さな動きや魔力の動き、心拍数まで把握しているから何かが来る程度ならすぐわかる。だけど、こういうことが出来るという事を考えて行動してくるんだろうな~
「いきますよ!」
「どうぞ」
白羅君は正面から突っ込んでくると同時に分身し始め、その数は2,3と増えていき最終的には5人になった。
5人の白羅君は僕を翻弄させるように動き回りながら斬りかかってきたので様子を見ながら躱していく。
「あれ?白羅君って分身できるスキルなんてなかったよね?
それとこれは何かの時間稼ぎかな?」
「なんとなく予想は出来てますよね?察してください。
それと、レベル下げてるのに全く実力が落ちてる気がしないのですが...」
「あはは、答えてくれないよね~
力の方は結構落ちてるからね!?
例えるなら、運動バリバリしていた中学生が70年くらい年を重ねたくらいに落ちてるよ」
「...いままで、どれだけ力を隠してきたんですか?」
「だって、本気出したら世界が...
まぁ、今本気出しても環境が変わる程度だから大丈夫かな...大丈夫じゃないな」
「一人で解決しないで下さい...よ!」
軽く突っ込みを入れながら威力高めの魔法で吹き飛ばそうとしてきた。
僕は放たれた魔法を後ろに下がることで避けると魔法は地面にあたり大爆発を起こした。
「派手に吹き飛ばすね~...!?
このタイミングで来るのは嫌だな」
「次は私達が相手ですよ」
風魔法を纏い爆風から身を守っていると、足元が植物に絡みつかれ身動きが出来ないことに気づいた。同時に後ろからデスタ君が闇魔法と火魔法を混合された剣を腕から伸ばしながら斬りかかってきた。
足に絡まる植物を切るのが面倒だったので、こちらも闇魔法で剣を生成し剣を受け止めた。すると、後ろから矢が何本か飛んできたので、風魔法で叩き落とした。
「見なくてもばれてましたか」
「まだ、策はあるよね?」
「何の用意もなく、ナギア君に突っ込んだりしません」
「レベル下がってるんだから手加減してほしい気分だよ」
「よく言えますね...私の全力の闇炎の剣を軽々と受け止めてるのに。
現魔王として実力も結構ついた筈なのに、ナギア君が相手だと私の実力なんて赤子同然じゃないですか...」
「大げさだよ。見た感じデスタ君含めて皆強くなってるよ...
こんなこともできる様になったみたいだしね」
僕は突然横から現れたレオ君とスクラフーラ君の攻撃を結界で防ぎ、攻撃の止まった2人をそのまま結界に閉じ込めて爆発させた。
その光景を見たデスタ君は驚いたあと苦い表情に変わった。
「2人には悪いと思ってるけど、こっちは余裕がないんだよね」
「...まだです」
「え!?...っ」
白羅君が後退しようとしたので追撃しようとしたした。
瞬間、何もない場所からディーナの声と共に沢山の弓が僕の体を貫いた。
さすがにまずいと感じ、回復魔法を発動させようとしたが発動しようとするが発動しなかった。
「...双葉さんに付与魔法で『一定時間魔法を発動させない』というものを時間を沢山使い、矢に付けてもらいました。
ナギア君の事ですから、完全に封じるものより、一定時間に力を使った方が効果があると思いましてね」
「解説は...ありがたいけど、剣で弓で追撃しながらは辛いかな...」
「...私だけに気をとられても良いのですか?」
「あっ...」
「「もらいました!」」
気がついた時には既に遅く、白羅君の剣とデスタ君の闇炎の剣が僕の首と腹を半分程まで斬っていた...
僕はとっさに切り裂こうとする両方の剣を素手でつかみ、強引に魔力を放出した。
「「な!?」」
「...え?」
魔力が不安定な状態で強引に放出した結果、大爆発が起こり、白羅君とデスタ君、ディーナさんは爆風に巻き込まれて吹き飛んだ。
「...今ので魔法使えるようになったね......危なかった~」
「ナギア君...」
ボロボロになった体を急いで回復しているとリアが声を掛けてきた。
「どうしたの?...って、あれ?
なんで皆いなくなってるんだ?」
ダメージの酷さに目がいってしまい気づかなかったが、周りを見渡すとリア以外誰もいなかった...
「皆、ナギア君の爆発に巻き込まれてやられちゃったよ。
あの爆発を結界内で留めるの大変だったんだからね!」
「え?爆発で皆やられたの?
無理させたのは悪かったけど、竹中も生き残ってたはずだけど、守護神で生き残れなかったの?」
「うん...
一定時間破壊されないという竹中君の最大の魔法を使ったみたいだけど、ナギア君の爆発で跡形もなく消し飛んだよ」
「まじか...」
嘘だろ...
咄嗟の行動だったとはいえ、そんなに威力が出たのか...
「ナギア君...今回の縛りを覚えてる?」
「縛りって確か.........あっ!」
「うん、『強力な魔法の使用禁止』...流石に竹中君の防衛系の魔法を吹き飛ばす威力のアレは強力な魔法と言わざるえないよ...」
「魔力の暴走って...」
「魔法攻撃の一つの手段と見ていいと思うよ。だって、皆いなくなったし...
よって、この勝負はナギア君の反則負けとします」
「...はい」
僕は負けを認め、勇者達や元クラスメイト、ドーイさん達が待っているであろう観客席の所に向かうのだった...
======================
どうも!こんにちは
久しぶりの更新ですね。
試験はまだありますが、検定とレポートが終わり余裕が生まれたので更新します。
たった数日書いてないだけなのに、とても長く感じましたね。
(話を書く時、前回何を書いていたかすっかり忘れてました...)
今日戦いを終わらせられて良かったです!
縛りをいくつか付けた理由は、ナギアにこの展開をさせる為でした。
これ以外のやり方で勝つとしたら、メシルフィアネ様を呼んで来て、全員に加護やスキルをたくさん与えないと勝ち目がないです(ナギアLv.100状態)
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