160 / 203
第4章
トイレとお風呂
しおりを挟む白羅 side
「...は!?」
僕は飛び起き自分の首元を触りながら、光る玉を取り部屋を出た時の事を思い出した。
風の音が聞こえた瞬間には地面が目の前に迫ってきた事から考えると、自分の首が切り落とされたのだろう。
「ん?...あっ」
ふと周りを見ると自分が気絶していた場所は、光る玉が置いてあった部屋で、他の皆も横たわって気絶していた。
皆が起きるのを待っている間、僕はもう1度部屋を確認したが、光る玉が僕の所持している鞄に入れていたはずが、座布団の元の位置に戻っている事しか分からなかった。
「...うっ」
「......ここは?」
「死んだのですね...」
「頭痛い...」
「皆大丈夫?」
しばらく待っていると皆が気分悪そうに起き出したので、光る玉の事を伝え、これからどうして行くか話し合いを始めた。
「あの時、僕の首が落ちたんだよね?」
「...うん、風の音が一瞬聞こえた時には白羅君達の首が落ちたよ。その後、すぐに私の意識も落ちたわ」
どうやら、僕の死を見ていたのは佐倉だけで、他は僕と同じような光景を見たようだ。
「そうなのか...
警戒してたつもりだけど、全く攻撃に気づけなかったよ」
「ねぇ、ちょっと混乱してるんだけど、どうして私達は自分の首が落ちたと分かっているのに、こんな冷静でいれるんだろう?」
峰内が不思議そうな表情をして聞いてきた。
そういえば、普通なら恐怖から発狂してもおかしくない状況なのに平常でいられるのだろう?
「多分、ナギアさんの回復魔法か、このダンジョンの効果か何かかもしれないですね。
ドーイさん達が話していた内容の中に精神すら回復するとか言っていた気がします」
「なるほど、ナギアさんが何かしてくれたお陰かもしれないね。
...そろそろ行こうか。
このダンジョンから皆で脱出しよう!」
「「「「はい」」」」
僕達は作戦など話し合ったり、対策を考えて光る玉を持ち部屋を出た。
「...風の音はないみたいだね。このまま進むぞ」
「...待って!音が...」
......ゴゴゴゴロゴロゴロ!!!
僕達の進行方向から何が転がってくるような音が近ずいて来た。音からして数は一体ではないと分かった。
「戦闘準備!」
...ゴロゴロゴロ!!!
魔道具の光の照らす距離まで近ずいて来た音の正体は岩を身体中に纏ったゴーレムだった。
ゴーレムは転がるのを止めずに、こっちに突っ込んできた。
「皆避けろ!」
僕の合図でゴーレムの攻撃をタイミングよく避けるとゴーレムの体が光出し僕の意識は途絶えた...
「...またか」
「あっ気が付きましたね」
また光る玉の部屋で目が覚めると、既に皆が起きていた。
「あのゴーレムって爆発したの?」
「多分そうです。光に包まれた時には意識が飛んだので、強力な爆発だったのだと思います。
それと、この部屋に風呂とトイレが現れました...」
「...え?」
佐倉達の案内され、光る玉の置いてある場所の奥に進むと、何も無かった岩壁に扉が4つ設置されていた。
「私達が気がついた時には既に...」
1つ目の扉と2つ目のは扉を開けると、トイレが設置されており、洋式で温水洗浄便座だった。更に上の棚にはトイレットペーパーが置いてあり、一部屋200個あったので、合計400個あった。
3つ目の扉には『男』と書かれた暖簾がかかっており、4つ目の扉には『女』と書かれた暖簾がかかっていた。
「...まるで銭湯だね」
「これが設置されているということは、ダンジョン生活が始まるのね...」
「でも、私は温泉があるのは嬉しいな~
異世界って身分の高い人ぐらいじゃないと、風呂に毎日入れないしね」
「早速中見てみよう!」
皆が女湯の中を確認するため中に入っていったので、僕も風呂を確認する為に『男』と書かれた暖簾を潜った。
「うわぁ...」
風呂は想像以上に広く、脱いだ服をいれる籠や体重計、コーヒー牛乳やフルーツ牛乳が置いてある場所もあり、普通の銭湯より良い環境だった。
風呂場に入ってみると、既に湯が張ってあり湯気が上がっていた。
風呂の隣にはプレートが置いてあり少し弄ってみると温度調整が出来た。他にも柚子風呂や電気風呂と様々な設定が出来るようになっていて、ナギアさんの優しさに少し引いた。
「ナギアさん...とてもありがたいけど、ここまでしなくても良かったんじゃないかな?」
僕は光る玉の部屋に戻り、皆と話し合った結果、風呂に1度入った後に脱出する事になり、僕達はトイレや風呂(銭湯)といったダンジョンの雰囲気をぶち壊している様なものを付けてくれたナギアさんに感謝して入るのだった。
この時の僕達はナギアさんがここまで優しい事をしてくれる理由を知らなかった。
このダンジョンの本当に恐ろしいのはこれからだったのだ...
======================
どうも!こんにちは
この回を書いていたら
とても羨ましくなってきました...
コーヒー牛乳とかフルーツ牛乳って美味しいですよね
白羅君達はダンジョンから出てくるまでは、話に登場するかは分かりません。
他の人などの話を書いて話を進めていければいいなと思います。
(クラス転移系の小説も好きで話に加えてみましたが、結構難しいですね。
書く側となったことで、あの時の疑問が解決しましたw)
2
お気に入りに追加
9,441
あなたにおすすめの小説
異世界でのんびり暮らしたい!?
日向墨虎
ファンタジー
前世は孫もいるおばちゃんが剣と魔法の異世界に転生した。しかも男の子。侯爵家の三男として成長していく。家族や周りの人たちが大好きでとても大切に思っている。家族も彼を溺愛している。なんにでも興味を持ち、改造したり創造したり、貴族社会の陰謀や事件に巻き込まれたりとやたらと忙しい。学校で仲間ができたり、冒険したりと本人はゆっくり暮らしたいのに・・・無理なのかなぁ?
異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。
桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。
だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。
そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
*****************************
***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。***
*****************************
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる