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第4章

主との遭遇

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白羅 side

「...うっ...はっ!ここは!?」

「あっ白羅君、起きましたね」

意識を失っていたのか目を覚まし上半身を起こすと、佐倉や月坂、他の皆が心配そうな表情でこちらを見ていた。

「あの魔物は!?」

「大丈夫です。モチが倒してくれましたからね。
先に言っておきますが、ナギアさん達の従魔2匹は、私達の命が危なくなった時しか助けてはいけないと言われているのだと思います...
ドーイさんが言っていた地獄のような修行をすると言うのは本当のようですね」

佐倉は僕が2匹の従魔に怒ると思ったのか、先に理由を説明してくれた。
月坂があんなになる前に助けてくれても良いと不満にも思ったが、ナギアが僕達にこんなに危険なお題を出す理由があったのか疑問を抱いた。

「何でこんな危険なお題を...」

「...わからないのですか?
このお題は、滅失の大陸で従魔2匹の散歩をすることです。
滅失の大陸は危険な場所であると兵士長さんやドーイさん達も言っていたので、強い魔物が出るのは当たり前です。
そして強い敵と戦わせる事で、私達に戦闘経験を積ませるためと考えられます」

「それでも、月坂は死にかけたんだぞ!?」

いくら修行を受けられるかどうかのお題だからと言っても限度がある。
ドーイさん達が言っていた地獄はもう始まっているのか?

「 ...ナギアさんがモチとプニに言っていた内容とドーイさんが私達に教えてくれたことを思い出して下さい。 
そこからピースを繋げるように考えると、モチとプニはSSSランク以上の強さを持っているから、普通にしていると魔物が寄ってこない。だから、ナギアさんはモチとプニに気配を私達にしか出してはいけないと言ったんです。
もう分かりますよね?」

「僕達に気づいた魔物は襲ってくるということか...」

「ここは日本でもなければ地球でもありません。平和な学校生活の教育とは違って、この異世界では命の危険が沢山あります。
だから、強くなる為にこのお題を頑張って乗り越えなくてはいけません」

佐倉は僕達に再確認させるように、ここは異世界であり日本のような平和など無いという事を伝えてきた。

「わかってる...わかってるけど!」

「気持ちはわかりますよ...
今は強くなる事だけを目指しましょう。
いざという時に大切なものを守れないのは嫌でしょ?」

「...うん、わかった」


僕達が色々と話している間、モチとプニの2匹はぴょんぴょん跳ねながら遊んで待っていてくれた。僕達が散歩を再開しようとすると2匹は鳴きながら進み始めるのだった。



岩山や流れの速い川、底の見えない谷などの険しい道を楽しそうに進んで行くモチとプニを僕達は必死に追いかけた。

道中に何度も魔物に襲われ、その度に死にかけてモチとプニに助けてもらうというのを繰り返した。
そのせいか、皆に笑顔を作る余裕が無くなり真剣な表情で周りの警戒していた。


「もっきゅー!」
「きゅっぴー!」

モチとプニは気味の悪い森の奥深くに入って行ったので僕達は後を追いかけた。
しばらく進むと開けた場所に出たが、僕達は目の前の光景に恐怖した。

『ナギアの言っていた勇者か...
ここに来たということは、モチとプニに連れてこられてしまったんだな』

「もきゅ!」
「きゅぴ!」

モチとプニを追いかけた先には、巨大な翼を持つ大きな龍がいた。
人の言葉を話すことにも驚きだが、それ以上に龍から放たれる覇気に僕達は恐怖で身体が震え、喋る事が出来なかった。

『む?...すまぬな。
普段ナギア達ぐらいしか人族とは接してないのでな、力を抑えるのを忘れていた』

大きな龍はそう言うと、力を抑えてくれたのか僕達を襲っていた恐怖は和らいだ。
和らいだと言っても声を出せる程度だ。

「あ、あなたは何者何ですか?」

『我はこの大陸の主だ。
安心しろ。勇者らに興味はないから襲わん』

僕達はこの大きな龍が主だと聞いて、宰相の言葉を思い出して思った。

確かナギアに大きな龍に攻撃をするなと言われたが、この龍がそうなのか?
この主を討伐しなきゃいけないが、今の僕達では攻撃する前に殺られる...
だけど、人族の為にも倒さなければ...

『召喚され何を吹き込まれたかは知らぬが、人族や他種族には興味ない』

僕が異常に警戒してる事を察した大きな龍は僕達に話し始めた。

『お主らは、この世界に召喚されたばかりだと聞く、召喚した者達だけの意見や教えだけを鵜呑みにしては危険だ。
常に柔軟な思考を持ち対応出来るようにしていけ。
聞いただけの情報に踊らされぬよう、己の目で見て判断しろ。
既に男の勇者が我を殺そうと思っている時点で、踊らされていると思うがな』

大きな龍に自分の考えがバレている事に驚き、僕はこの龍に殺されるんじゃないかと考えたら体がガクガクと震え始めた。

『さっきも言ったが勇者に興味ない。
それに、殺気すら抑えられん奴に我を倒す事など不可能だ。

...この世界で生きるには力は必要だ。
しっかりと己を鍛え世界を知れば、元の世界に帰れるかもな』

大きな龍はそう言うと、大きな翼を広げて突風を起こして飛んでいってしまった。

僕達は大きな龍の言った言葉を考えながら、再び進み始めたモチとプニの後を追うのだった...




======================
どうも!こんにちは

興味ないと言いつつ勇者にアドバイスをしているエメラルドさん。
意外と優しいんですよ(^^)


明日は散歩終了してナギアと対話ですね
(早くどういう結果にするか考えなければ...)
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