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第4章
『生き抜いた者』の協力を得る
しおりを挟むドーイと一緒に仲間が待っているという酒場に向かうと、酒場は初めて見た時と変わらず、冒険者達が酒や食事を楽しんでおり賑やかだった。
端っこの方にドーイさんの仲間の冒険者と、竹中のチームが話し合っているのを見つけて歩いて近づいた。
「竹中君大丈夫なの!?」
「あぁ、大丈夫だ。みんな無事で良かったよ」
月坂は竹中の怪我を心配するように声を掛けてきたが、竹中が笑顔で大丈夫と答えると安心した表情を見せた。
「白羅も大丈夫か?あのスケルトンに吹き飛ばされてただろ?」
「...大丈夫だよ、あの時は冒険者達を助ける事に頭がいっちゃったから仲間の事を考えて無かった...本当にごめん」
「次から気を付けるなら許すよ。人を助ける事は良いことだと思うが仲間の事も考えてくれ」
「わかった」
ドーイの仲間の説教が相当効いたのか、白羅にいつもの元気はなく落ち込んでいた。
「勇者殿!ご無事でありますか!?」
冒険者ギルドの扉が開いくと、兵士長が必死な顔で声を上げながらやって来た。
「あっ兵士長、僕達は大丈夫です。とても強い冒険者の方々に助けてもらいました」
「無事で良かったです。助けて頂いたのは『生き抜いた者』の方達でしたか...勇者殿らを助けて頂きありがとうございます!」
兵士長は『生き抜いた者』の人達に頭を深く下げた。
兵士長が竹中達の勇者グループに起こった事を知ったのは、冒険者ギルドの使者から聞いてからだ。
竹中達が助けた冒険者達とは、転移結晶のせいで入れ違いになったらしく気付かなかったのだ。
「SSランク冒険者グループ『生き抜いた者』の方々にお願いがございます。
どうか、勇者殿らに稽古をつけてほしいのです」
「兵士長さん、勇者様達の個人のお願いならまだしも、国からのお願いはお断りさせて頂きます。
断らせてもらう理由も分かっていますね?
この国の王が何を企んで、この世界とは別の世界から人を連れてきたのか...何故です?」
ドーイは兵士長のお願いを断り、勇者召喚をした理由について問いただそうとした。
「私は詳しくは存じませんが、王は勢力を増やしていく魔族と各地に存在する主を恐れています。人族の脅威となりうる存在を討伐して貰うために勇者殿らを召喚しました...」
「魔族の方は私達の師匠の友人が何とか纏めようと頑張っているみたいですよ。それに、攻めてきても私達冒険者や貴方のように強い兵士がいるじゃないですか。
各地の主についても、刺激をしなければ襲ってくる事は無いはずです。
異世界から勝手に人を呼び出す必要はあったのですか?」
ドーイの声のトーンが下がっていくと同時に空気の温度が下がっていった。
兵士長はドーイの圧に額から汗を流し始め顔色が青くなっていく中、階段からギルマスが降りてきた。
竹中達はドーイが話した内容に少し驚いていたが、質問出来る空気では無かったため黙っていた。
「そこまでにして上げなさい。べべレイフは何も悪くないし、むしろ頑張ってくれているのよ?」
「そうなんですか?...少し冷たく接してしまいすみません。貴方の気持ちを考えておりませんでした」
「仕方ありません。私も勇者殿らには申し訳ないと思っておりますし、共犯者の様なものですから」
ギルマスの言葉にドーイは兵士長に圧をかけることを止めて謝罪をすると、兵士長は圧が無くなったことにホッと息を漏らして膝をついた。
「勇者様、私達冒険者ギルドは貴方達が元の世界に帰れるように協力するわ。だけど、この世界には危険が沢山あるから、もっと強くなりなさい。
...ということで、貴方達『生き抜いた者』は1週間の間、勇者達に稽古を付けてあげなさい。ギルマスからの指名依頼としてね」
「...分かりました。教えられる事は教えましょう」
ギルマスの言葉に竹中達は強くなれるチャンスだと嬉しく思う中、白羅だけはドーイ達の強さを見ていないので、少し不満そうな顔になっていた。
ギルマスと兵士長は話し合い、明日から1週間の間、召喚された勇者達はSSランク冒険者パーティー『生き抜いた者』の修行を受けることになるのだった...
魔族 side
大きな城の廊下で男女2人の魔族が話していた。
「なぁ?何で戦争の準備が出来ているのに、人族を攻め滅ぼさないんだ?」
「前にも言ったでしょ?
先輩達が化け物じみた人族を恐れているからよ」
「そんな理由でまだ攻めねぇのかよ!
ちょっと文句いってくらぁ!」
「......先輩達が恐れる程の人族っていったい...」
会話が終わると、男の魔族はイライラしながら急ぎ足で会議室の方に向かうのだった。
バタン!!!
「何でテメェらは人族の国へ攻めねぇんだよ!」
会議室の扉を思いっきり蹴り開けた魔族は、中にいた3人の魔族に文句を言い出した。
それを見た3人の魔族は呆れながら、入ってきた魔族を見るのだった。
「うるせぇ!攻めたくても攻めれねぇんだよ!」
「じゃあ攻めましょうよ!
人族に怯えてたら人族なんて滅ぼせねぇだろ!
いつまで引き篭もってるんだよ!」
「貴様の気持ちも分かるが、その人族の実力は恐ろしいものなのだ」
「だからといって、大人しくしてろと?
俺は攻めさせて貰います!
腰抜けな貴方達とは違って人族を皆殺しにしてやりますよぉ!!!」
文句を言いに来た男の魔族は3人の魔族の忠告を無視し、そのまま出て行ってしまった。
そして、会議室に入れ違いになるように、先ほど廊下で男の魔族と話していた女の魔族がやって来た。
「先輩?無理に連れ戻した方が良いのでは?」
「ふふふ、大丈夫よ~
人族のあの子をみたら思い知るでしょうから」
「それでは、ビルザーナが死んでしまうのでは?」
「あの子は争い事が嫌いだから、1度警告を出すはずよ~。
ビルザーナがそれを無視すれば死ぬでしょうね。
死んだら相手の力量を測ることの出来ない雑魚ってこと」
「...私は心配なので、ついて行っても宜しいでしょうか?」
「勝手にしなさい。
そして、私達が体験した事を味わってくると良いわ」
「ありがとうございます。失礼します」
女の魔族は男の魔族に付いて行く許可を貰うと部屋から出ていった。
「あの子はもう気付いているのかしらね」
3人の魔族の1人は、部屋を出ていく女のを見送った後、部屋の天井を見上げながらそう呟くのだった...
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どうも!こんにちは
問題ごとをもっと沢山出したいのに
ナギアが周りの人に与えた影響が強すぎて、考えるのが難しいですね(^^;;
(とりあえず、勇者様には強くなってもらいます!)
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